映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年02月28日

低予算の同性愛映画、DVDでも異例のヒット「後悔しない」

低予算の同性愛映画、DVDでも異例のヒット

「悔いなき恋」となってますが「後悔しない」のことですね。まだ届いてないのですがますます期待は高まりますねー(笑)
写真を見るとなんだか監督さんが一番かっこいいような。
ラベル:同性愛
posted by フェイユイ at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

周杰倫:初監督映画、1日17時間撮影で持病の発作

不能説.jpg

周杰倫:初監督映画、1日17時間撮影で持病の発作

強直性脊椎炎って辛そうです。スポーツマンで健康的に見えるジェイですが、この病気にはいつも苦しんでいるようです。
完璧主義のジェイのことだから手を抜けないんでしょうねえ。
いつ観れるかなー?まずはDVDですね。
posted by フェイユイ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 周杰倫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月27日

「キンキーブーツ」ジュリアン・ジャロルド

キンキーブーツ.jpg

イギリスの田舎町。倒産しそうな靴工場を立て直そうと立ち上がる頼りない若社長の奮戦記。しかも工場復興の為のアイディアがドラッグクイーンが求める良質の「キンキーブーツ」を作ることだ、というのがおもしろそうではないか。
そして大変面白く鑑賞した。だのに文句を言って申し訳ないがやや設定が当然すぎ、展開が当たり前すぎたかなという気持ちになった。

とにかく見惚れてしまうのは靴作りの様子を丹念に美しく撮っている箇所である。手際よく皮が裁断され、縫い合わされ曲線をつけるなどの加工をされる過程は観ていて飽きない。
ましてやそれが美しいブーツならば。実際の従業員たちが動いているという働く場面はとても楽しかった。

主人公チャーリーを演じているのイギリス人ではなくオーストラリア人であるというのがちょっと驚き。ジョエル・エドガートン。襲われている女性を見るとすぐ助けに行くような純粋で素朴な男性。代々伝わってきた靴工場を自分の代で終わらせ、人手に渡すのを怖れている。
「僕に何ができるんだ」とばかり言い逃れするチャーリーは女性従業員ローレルから叱咤されひょんなことで出合ったドラッグクイーン・ローラの靴を作ることを思い立つ。

当然チャーリーは女性従業員ローレル、ドラッグクイーンのローラ(この二人名前が似てるんだね)そして婚約者のニック3人との恋模様が生まれるわけなんだけど、さすがイギリス仕立てだけあってあまり際どくないのだ。それはいいんだけどやはり私としてはチャーリーがローレルとローラどちらに行くのか迷わせるような、少なくとも「この後どっちに行くか判らないよ」という含みを持たせて欲しかった。まあ普通の人の場合はそんな含みなど要らないのかもしれない。

筋立ては判りやすいし葛藤や台詞も丁寧で巧みだし、音楽やローラの働く店のダンスシーンなど楽しくてストレートでノーマルそれでいて倒錯者に理解のある人なら上出来の映画なのかもしれない。それはそうなんだけど田舎嫌いのドラッグクイーン・ローラと普通の男並の偏見を持つチャーリーがここまで心を通わせてるなら何か二人の間にあってもよかったんじゃないかななんてちょっと思ってしまった。
と思ってたらコメンタリーでチャーリー役のジョエル・エドガートンが「最後のキスシーン、ローレルじゃなくローラの方に行ってもよかった」って言っていたのでそうか!出演者はそういう風に通いあってたんだな、と少し嬉しくなった。エドガートンはローラ役のキウェテルにドアを開けてあげたりしてたらしい。騎士道精神で。

そういうわけでとてもまとまったいい映画なんだけどもう少し爆発して欲しい気もしたのだった。
何しろ実話に基づく映画で工場もそこを借りての撮影だったので社長がゲイになってしまった、というんでは申し訳なかったのかもしれない。

それにつながることだが、工場再興に引っ張り出されたローラが利用されただけに終わったのも気の毒で。
「所詮オカマは利用されるだけで捨てられるのね」ってこっちが憤り。
実話の若社長さんの話ではドラッグクイーンの方から「男がはける女性用靴を作って欲しい」という問い合わせがあった、というきっかけだったみたいでこちらの方が利用した感が少なくてよかったんじゃ?

チャーリー役のエドガートンがオーストラリア人らしく大柄で素敵だし(ハンサムなオーストラリア男性はみんなゲイだっていうけどほんと?)ローラ役のキウェテルのドラッグクイーンぶりがまた魅力的だっただけに是非そういう場面が欲しかった。DVDのみのラスト別バージョンでもいいからさ。

監督: ジュリアン・ジャロルド 出演: ジョエル・エドガートン 、 キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェマイマ・ルーパー、リンダ・バセット、ニック・フロスト、ロバート・パフ
2005年イギリス
posted by フェイユイ at 22:37| Comment(8) | TrackBack(2) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月26日

第79回アカデミー賞決定!

第79回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、編集賞が「ディパーテッド」監督賞もマーティン・スコセッシが受賞。
スコセッシ監督は好きですがまさかこの映画で受賞するとは。それも作品賞・監督賞ともに。
本元「インファナル・アフェア」が素晴らしいだけに妙な気持ちです。
まあ、私はまだ本作を観ていないので観たらどう思うのか、それはわからないんですけども。しかしやはりどうしても二番煎じ、しかもごく最近の作品のリメイクですのでねー。
私が見てきた日本でのこの作品に対する評価、特に「インファナル・アフェア」を観た人の評価からはちょっと不思議な結果でした。(褒めてる人でもこの1年間で最高の出来栄えの作品、とまでは言ってないでしょう)
昨年の驚きに続きまた驚きでした。今年は例年になくこれという映画がなかったという評判ですがなんといっても「ドリームガールズ」への注目度が高かっただけに不思議ですねー。またもや妙な勘繰りをしてしまうのだけども。
どちらも観てないので(しょーがねーなー)観てみた上でまた考えてみようと思います。

また、ルビー・ヤン監督の『The Blood of Yingzhou District(中国語タイトル:穎州的孩子)』が短編ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。

追記:新しく書いてもいいんだけど愚痴ばかりになるので、ここに。
もう単なる愚痴なんですが、最近のアメリカ映画、メジャーなものほどリメイクが多い。
今回スコセッシほどの有名監督ですらリメイク映画を作らなければいけなかったというのは酷く空しいことじゃないのだろうか。
そういったリメイク映画多産の象徴として今回の受賞になったという気もしてくるのだ。
リメイク映画を作る理由の一つは一度ある程度利益のあった映画を製作できるという安全策である。
そういったことばかり続けていれば必ず作品はつまらなくなってしまう。
そしてそういったやり方でしか映画を作ることができないということが今のアメリカ映画界の沈滞した状況を浮き彫りにしているではないか。

大体リメイクって何なのか。もともとの映画を観ればすむのにわざわざアメリカ仕立てにしなければ鑑賞できない国民って何なんだろう。
特に中国・日本・韓国などアジア圏の映画をリメイクしたがるのはその辺の映画など観ようともしてないからなのだろう、と思ってしまう。そうしないとわかんないんだよあの人達、とせせら笑うしかないのであるが。

しかもアカデミー賞の会場で「ディパーテッド」の元映画は日本映画で、という説明があったとかでもう適当なものである。アメリカ人にとってアメリカ以外は混沌としており、アジア・アフリカ・ヨーロッパくらいの区分けしかないのだろう、とまたため息をつくのみである。(と言う私もさほど地理に詳しいわけじゃないから人のことは言えないが)
ラベル:映画賞
posted by フェイユイ at 15:29| Comment(5) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月25日

「満城尽帯黄金甲」観た

ついに観ました「満城尽帯黄金甲」勿論DVD中文字幕で。

ということなのでストーリーに関する感想は今回はなし。とても眺めてるだけで判る内容ではないし。どうせ書くなら日本語字幕で観てから書きます。とにかく今度は日本語字幕で観るのが楽しみ。

でここではやはりジェイ・チョウのことについて。杰(ジエ)王子という名前がかわいいっ!いや全く、初めてこういう大規模な古装物に出演したとは思えないほどの活躍ぶりではありませんか。しかも母親思いの息子役というのはなんともジェイにぴったりなわけで。「ムーホウ(母后)」と呼ぶ声の可愛い事。ジェイの歌声はいつも聞いているのですが、こういう演技をする時の声もとても素敵でした。欲目があるのですが本作ではリウ・イエよりよかったのではないでしょうか。というよりリウ・イエが少し割を食っていたようでした。
おまけにこの映画のジェイは目茶目茶強かった(笑)この辺はまるで彼のMVそのものでした。

感想は書ききれないのですが、中国伝統の家族のあり方特に父親に焦点があたっている物語だと思うのですが、そういったこじんまりしたテーマなのにこの派手さ、人数の多さは物凄い。結局主要人物は2家族だけしかいないのに登場する人間の数ときたら未曾有というのはこういうのでしょう。
そしてタイトルにもあるようにいたるところ隅々まで黄金が敷き詰められ張り巡らされています。
チャン・イーモウ監督は色彩にこだわって映画作りをすることがありますが今回は黄金色。コン・リーの化粧もゴールド系でしたし。
家族関係を描くのに、一体このような凄まじい色彩と数にこだわるのも何故なのか、もう一度観て考えたいです。

女性の衣装、皆さん胸が強調されておりました。そういえば唐の時代はふくよかな女性が美人だったんじゃないですかね。胸が薄いと今回使ってもらえなかったんじゃないかなー。

そして最後のジェイの歌。これは結構来るものがありました。わけもわからずうるうる。うーん、やっぱりちゃんと内容理解して観たいですね。

追記:観てる時思ってたのを思い出した。
鎧が金だったり銀だったりするんだけど「聖闘士星矢」のゴールドセイント、ブロンズセイントって感じだった。それだけ(笑)
posted by フェイユイ at 23:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 周杰倫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月24日

「赤い橋の下のぬるい水」今村昌平

赤い橋の下のぬるい水a.jpg

観ている間、すっかり主人公の中年男と、出合った女性に同調しいい気持ちになっていた。先日観た若き日の(と言っても50代)作品の行き場のないやりきれなさと違い、今村監督にとって最後の長編映画となる本作はそれまで何もいいことのなかったような中年の男女が偶然出会い肉体関係を持つことから次第に互いの存在がなくてはならないものになっていくのが滑稽でもあり悲しくもある語り口で描かれている。

失業中で妻からは生活費だけを要求される何の取り得もない中年男を役所広司が演じていて相変わらずしがない男の悲哀を演じていてうまい。
一方、いつの間にか体内に水が溜まり、溜まると万引きをしたくなり、そのときに性器から水が流れ出てしまうと言う奇癖を持つ中年女性を清水美砂がやっていて軽妙である。
しかも彼女メイクラブになるとさらにその「水」が物凄い勢いで噴出し当たり一面が水浸しになりその水が家の外へ流れ出し川へと注ぎ込まれる、というなんだか神話の一挿話のようである。しかもその水の為に川の魚が集まってくるのだ。この辺、実際観ると凄くおかしい。

とまあ、至極ユーモラスでゆったりのんびりした映画で映画監督として最後を(実際はもう一つあるのですが)飾るに相応しい理想郷を詠った物語なのであろうか。

何しろ観ている間はその潮吹きセックスに呆れたり、それまで女に溺れる事もなかったような平凡なサラリーマンがそのセックスをしたいが為に(一応人助けという名義ではあるが)黒人マラソン選手より早く女の家へ駆けていくという純情さに感心したり、次第に強く求め合い愛し合うようになる二人が羨ましかったりで見終わったのだが。
ちょっと考えてみるとかなり都合のいい話でもあるのだ。

まずは冒頭でお亡くなりになるタロウ氏。哲学的浮浪者というのがいかにも人生指南の師らしい設定である。
サラリーマンである主人公がこういう人と友達になるというのも意外と難しいのではないかと思うのだが、人生に疲れた主人公には浮世離れした師というのが必要なのだ。この時点でもちょっとあり得ない感じでしかも川べりののんびりした生活がすでにいい感じなのだ。
そのタロウ氏が言い残した「赤い橋のたもとの家に仏像を隠している」という謎も楽しい。
そして能登半島の海辺の町で主人公は不思議な雰囲気を持つ美しい女と出会い、いきなり体を求められる。そんな馬鹿なー。アフォンがいきなりロンズにキスしたときも驚いたが(いきなり何の話だすまん)こんな少女マンガかポルノグラフィかというような展開でいいのだろうか。ブスならまだしもこんな美人にまさか。しかもキスだけじゃなく肉体も、しかも彼女は感じると物凄い潮を噴き上げ男はこのセックスに酔いしれてしまう。
彼女が手鏡でピカピカ合図を送ってくると必死で走ってくる、可愛い。男って涙ぐましい。
ひょんなことから漁師の仕事も見つかり、田舎町で最高にハッピーな生活を送っていると奥さんから離婚してくれと電話が入る。男は嘆いてるけど私ならそんな金のことしか言わない女房、すぐ離婚したいけどね。
女性は細々と経営している菓子屋に住んでいて最後同居中のお婆ちゃんは死んじゃうので邪魔者もいなくなる(酷い言い方でごめん)
と言った具合でいいこと尽くめ。これが奥さんが割り込んできたり、二人のどちらかが心変わりすると悲劇になるのだが、終始いい話ばかりで二人の気持ちどこかに行ってしまったりはしないのだ(嫉妬はしてるけど)

そんな風で、おいおいこんなうまい話ばかりでいいのかなあ、と思ってもみたのである。
ただ、この二人がそれまでは結構辛い人生を送ってきた末出合った幸せっていうのも勘定に入れてみなきゃね。
壮絶で悲哀に満ちたものだけが上等なのでもないし、こういうほのぼのとしたファンタジーが人生にあってもいいのじゃないか、ということでやはりいい映画であった、と最終的には決着したのだ。死ぬ間際にはこういう夢を観たいよね。
「チンポが硬い内にもっとやっときゃよかった」という監督の悔いなのでもあるのか。(凄い言い方したけど作品中の言葉より、です)
つぼの中に隠した仏像の意味もまた面白し。

作品中に出てくるスーパーカミオカンデ。ニュートリノの説明とともに興味深い。
超純粋の水は不味いのだね。

監督:今村昌平 出演:役所広司、清水美砂、倍賞美津子、北村和夫
2001年日本
posted by フェイユイ at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月23日

「盛夏光年」フォトアルバム欲しいなら

しつこいんですが(笑)「盛夏光年」フォトアルバム欲しいヨオと叫んでましたら、yesasiaさんで再び販売。
老婆心ながら気づいておられない方の為にもう一度紹介。

「盛夏光年」もろもろ

やはり少しでもお安く手にいれたいですものね。大好きな張孝全くんのためとは言え。ごめーん。

私も色々ありましたが、やっぱこちらで。再注文。
ラベル:張孝全
posted by フェイユイ at 21:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 張孝全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キム・ギドク監督『Breath』、完成前に10カ国以上へ販売

キム・ギドク監督『Breath』、完成前に10カ国以上へ販売

さすが、いつもながら凄いですね。キム・ギドク監督のチャン・チェン、楽しみです。
パク・チアさんはキム・ギドク監督作品によく出てる方のようですね。ふむふむ。
ラベル:キム・ギドク
posted by フェイユイ at 20:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月22日

「復讐するは我にあり」今村昌平

我にあり.jpg

こんな風な直球ど真ん中、という男らしくて骨のある重厚な映画というのは最近の日本映画ではないものだろう。
犯罪そのものも金目当てであり、最近よくある異常心理による変質的性的殺人などではない。従って変わった行動をして観客を混乱させるような殺人方法などではないのだが、それだけにより現実的な痛みを覚えてしまう。金槌で頭部を殴る(しかも一発では死なず何度も叩く)キリで体を滅多刺しにする、紐で首を絞めるなどである。詐欺や殺人により手にした金が大した額ではないというのもリアルであり空しい。

カメラは連続殺人鬼である榎津巌の行動を追っていくのに徹していて心理描写を露骨にする事は避けているようだ。
この乾いた語り口も現在の多くの作品とは違っている。主人公の生い立ち、父親との確執、母親との繋がりなどは観る者が想像していくしかない。
父親は厳格なカソリック教徒で主人公もそれに属しているのだが、なぜ殺人鬼となってしまうのか、映画では宗教と父親の性だと言う描写はしていないのだが、主人公が神様をいらないといい、父親こそが殺したい人間だったということで彼の少年期がどういうものだったかを考える手がかりとなる。対して母親は極端に甘やかしていたようなのも通例だが関係しているのだろう。

終始リアルな展開なのだが、時々はっとする印象的な情景が入り、一つは榎津が偶然タクシーに乗り合わせることになった老人弁護士に巧妙に近づくという話。「一緒にすき焼きでもしましょう」と言って次のシーン、榎津が一人で肉などを買った後に金槌とクギを買っている。何をするのかと恐ろしい気持ちでいると弁護士の部屋へ戻った榎津が買い物袋をどんとちゃぶ台の上に下ろすとその反動で側の箪笥の戸がギイと開きそこにご老人が死んで押し込まれているのだ。その衝撃。こんなぞっとする場面というのは今までそうそう出合ったことはない。
もう一つは榎津が大学教授を騙って泊り込んだ小さな宿屋。懇意となり情を交わした女将を殺し、次にその老いた母親に手をかけようと階段を登りかけると、下の廊下を老婆が歩いてくる。2階へ行ったはずの婆ちゃんがなぜ、と思っているとその老婆が覗いた部屋の中に榎津の父親と嫁・娘達がいて食事をしているのだ。いつの間にか宿が榎津の実家に転換していて宿の老婆は榎津の母になっていたのだ。ここはリアルのみだった本作の演出の中で不思議な場面展開になっている。今にも老婆を殺そうとする榎津とその老婆と同じ年くらいの実母が交錯し榎津の家族が映し出されることでその二つが切り離せない関係にあることが描きだされているのだ。
逮捕された息子にそれまで温厚な顔しか見せていなかった父親が「お前には私は殺せない。恨みもない人しか殺せん種類だ」と唾を吐きかける。この言葉で息子が自分に深い恨みを抱く事があったのを物語っている。

最後の場面。榎津の父親と嫁が榎津のものであろう骨壷を抱いてロープウェイに乗り上へと登っていく。交差して白装束のお遍路さんが鈴なりに乗ったロープウェイが降りていく。これも奇妙な演出だ。この二人は敬虔なクリスチャンなのだが何か意味があるのだろうか。
頂上の展望台で二人は榎津の骨を下界に放り投げる。この意味も私にはわからないのだ。

この榎津の父親と嫁は危うい関係にある。互いに男女として惹かれながらもカソリックとして間違った行動は取れないと肉体関係は持たないのだが関係を断とうとはしないのだ。しかも嫁を咬んだということで犬を生き埋めにして上から煮え湯をかけたという話もでてきてそういう残酷性というのはどういうことなのかまた疑問を持ってしまう。

今村昌平監督の力ある演出は無論だが、出演者がまた迫力である。殺人鬼・榎津巌は緒方拳がなんとも色気ある男っぽさで演じている。こういうぎらぎらした男というのは今現在の役者にはないものだと思う。
掴めない性格の父親に三國連太郎、母がミヤコ蝶々、宿屋の胡散臭い老婆が清川虹子 、女将の恋人に火野正平などである。
榎津の嫁役・倍賞美津子、そして榎津と肉体関係を持った末に殺される女将・小川真由美 は二人ともどろどろと色っぽい。
今まで私は今村昌平監督作品では「楢山節孝」しか観た事がなく、それがまたどろどろとした男女関係や人間のしがらみのような物語で当時若かった私には最も苦手な手合いだったためにもう観ようとは思わないまま今に到ったのである。
本作の男女も愛などというよりどうしようもなく行ってしまう男女の営みは美しいものではなく爛れ膿んだものであり、やはり若い頃に観ていたなら筋の面白さは判ってもそういう男女の性的な関係の醜さがたまらなく嫌だったろう。
いつしか年齢を経て男女と言うものがそういったものであることを平然と観てしまえるのは悲しい事なのか、いいことか。大好きではないが面白いな、と思うようになってしまったのだった。

もう一つ、余分な話だが、かなり前にテレビドラマで「実録事件シリーズ 恐怖の二十四時間 連続殺人鬼西口彰の最期」というのを観た記憶がある。役所広司主演の面白いものだった。
この殺人鬼西口彰というのが本作榎津巌のモデルなのだが、この主人公役所広司演じる一見やさしそうな弁護士が実は殺人鬼であると一人の幼い少女だけが知ってしまうという大変に恐ろしい物語なのだ。
観終わった後怖くて夜の戸締りにいけなかったという妙な記憶がある。そこに役所広司が立ってるような気がしたのだ。今思っても怖い。
こちらはテレビドラマなのでもう一度観たいと思っても観れるものではないだろうが機会があれば再観したいものである。

監督:今村昌平 出演:緒方拳、三國連太郎、ミヤコ蝶々、倍賞美津子、小川真由美、清川虹子
1979年日本
ラベル:犯罪 家族 男女 宗教
posted by フェイユイ at 23:57| Comment(1) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月20日

神G侠侶・第28集

騒然となった全真教。やはりここは教主代行に従おうということになる。甄志丙は控えめながらも全真教教主ならこの場合どうするか、師の教えに従いたい、誇りのためなら命も惜しくはないと言う。趙志敬は、では勅命を受けないと言うのだなと言い捨てる。
甄志丙はクドゥに勅命を受けないことを伝える。趙志敬は代わりに自分が勅命を受けると言う。大ハーンからの勅命は趙志敬を教主に任命するということだった。趙志敬は深く礼を言うが周りの弟子達は蒙古の言いなりにはならないと剣を抜いた。

その頃、楊過はさらった郭靖・黄蓉の息子を腕に抱きながら馬を走らせていた。
そして重陽宮に小龍女がいると見込んで洞窟に赤ん坊を隠し、重陽宮へと急いだ。
あんな場所に赤ちゃんを置き去りにするなんて。いくらすぐ帰ってくるって言っても授乳はどうなるのか。もうすでに泣いてるし。

重陽宮に金輪が現れ趙志敬に歯向かうものたちを跳ね飛ばし、趙志敬を教主にすると断言した。
甄志丙と趙志敬に逆らった者を縛り上げた。一人ずつ処刑し始めた。甄志丙の番になった時現れたのが小龍女であった。
甄志丙は自分で殺すと言うのだ。それに肯いた趙志敬にも刃を向けた。
小龍女はただ一人で全真教そして金輪たちと戦おうとしていた。金輪の力をもってしても小龍女を倒すのは簡単なことではない。
だがクドゥたちが小龍女と戦う隙に金輪は彼女めがけて攻撃を仕掛けた。それを観た甄志丙は小龍女の傍に立ちふさがった。金輪の攻撃を感じていた小龍女は勢いあまって甄志丙を刺し殺してしまった。
それを見た全真教の者たちが驚いていると小龍女は外へと飛び出した。そこには楊過が来ており飛び出してきた小龍女を抱きとめた。
とうとう会うことができた二人。小龍女は楊過の右腕がなくなっているのに驚き心配した。楊過は郭芙が右腕を切り落としたことを話し、もう永遠に離れないと誓った。

それを眺めている金輪たち。勝手にしろと言う感じ。だが甄志丙を殺した小龍女と楊過の態度に文句をつける。言い返す楊過に趙志敬たちが飛びかかるが修行を積んだ楊過にもうかなうわけもなかった。趙志敬は逃げ出し、金輪は跳ね飛ばされ助けに入ったクドゥも逃げ出した(おいおい)
楊過は金輪に行ってしまうよう促した。全真教らも楊過たちに過ぎたことは忘れてもう責めないことにしよう、と言い出した。

逃げ出した趙志敬は蜂で遊んでいた周伯通に見つかった。老頑童はすぐさま蜂を仕掛ける。逃げ出そうとする趙志敬を動かないようにしてから毒蜘蛛のお礼だとばかりに蜂に襲わせたっぷり刺させた。

楊過は重陽宮の中で小龍女との婚儀を行った。全真教たちはさすがに呆れ怒ったが手出しはしない。
そこに蜂をうまく扱えず周伯通が趙志敬を抱えて逃げ込んできた(ほっとくといいのにね)蜂が後を追いかけてくる。周伯通は鐘の下に潜り込んで蜂を避け小龍女は蜂を操って全真教たちを襲わせ逃げ出した。
周伯通は趙志敬に鐘をかぶせて皆の前で起こった。どうしたのかと言う師匠に趙志敬は裏切ったのだと皆が言いつけた。趙志敬はわざと蒙古に寝返ったふりをしたのだと喚いた。そして甄志丙が小龍女を汚したのだと言い放った。

断崖絶壁にある重陽宮から逃げ出すには小龍女の力は残っていなかった。楊過は彼女を箱にいれ崖に綱を渡し滑り降りていくことにした(ロープウェイみたいなもんですな。箱は綱の上に乗ってるけど)皆があっと驚く間に楊過と小龍女を入れた箱は断崖の間を滑っていった。後には蜂の毒消しが残されていた。
下に降りると楊過は古墓に戻る為泳げない小龍女を再び箱に入れた。今度は郭襄も一緒に(よかった。忘れてなかったよ)
楊過は箱に綱をつけ水のなかに潜った。

小龍女を信じさせるのはなかなか大変でしたー。小龍女って楊過がいない方が強いみたい。
ラベル:金庸
posted by フェイユイ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 神[周隹]侠侶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月19日

神G侠侶・第27集

楊過は大鷲のG兄と修行を続けていた。G兄のおかげで重剣の扱いも次第に上達してきた。
楊過はG兄に感謝しながらも腕の仇である郭芙に会い、姑姑を連れて戻ってくる事を約束した。

襄陽の城では郭靖と黄蓉が子供達と楊過のことで言い争っていた。郭靖はいつも冷静な黄蓉が何故子供の事になると判断できなくなるのかと問い詰めていた。そして黄蓉の口ぶりで郭芙が戻っているのに気づいた。
郭芙に会った郭靖は楊過が義侠心に厚く自分たちの命を何度も救ってくれた事若くして志の高い事を語った。郭芙が楊過の悪口をまた言うと、郭靖は楊過はその気になればお前の腕などすぐ切れたのだ、と言い自分がその腕を断ってやる、と剣を振り下ろした。さっと助けに入ったのは黄蓉だった。
郭芙に再び逃げるよう言い、郭靖が動けないように点穴した。
一部始終を楊過が聞いていた。

黄蓉は娘を城から外へ出した。

楊過は二人の後をつけた。黄蓉は郭芙似食事をさせながら一人旅の為の食料を買いに席を立った。
そこで黄蓉は偶然、李莫愁に出会った。その腕にはさらわれた赤子がしっかりと抱かれているではないか。
黄蓉は李莫愁の後を追った。
人里離れた場所で黄蓉は李莫愁を呼び止めた。赤子の事を訊ねると李莫愁はこれは小龍女と楊過の不義の子だと答えた。抱かせて欲しいと頼む黄蓉におかしなものを感じた李莫愁は身をかわした。黄蓉が追い、戦いが始まった。
赤子を庇う李莫愁に黄蓉は子供連れを倒してもしょうがない、その子供を始末してから勝負しようなどと言い出す。
黄蓉は藤蔓で赤子を取り巻いた。そして李莫愁にもう赤子には触れないと言う。
黄蓉は李莫愁がかつて父を侮辱したからと桃花島の技で赤子の回りに九宮八卦陣を張り巡らせたのだ。李莫愁は赤子の傍にどうしても近づけなくなった。
李莫愁がどんなに攻撃しても打狗棒を自在に操る黄蓉の敵ではなかった。放った毒針が李莫愁の手に刺さり毒が彼女の体を襲った。李莫愁は自分は殺されてもいいから赤子だけは助けて欲しいと言う。黄蓉は李莫愁の懐から解毒剤を取り出した。そして死の間際に娘を気にかけてくれたことに対し毒消しを飲ませた。
ほっとした黄蓉が襄の傍に寄ると娘の姿は消えてしまっていた。

李莫愁はいつも強くてなかなか誰も太刀打ちできないのですが、黄蓉とは雲泥の差のようです。滅茶苦茶かっこよかったです。
と言っても黄蓉は娘の命を救おうと必死だったでしょうから物凄いパワーが出ていたのだと思います。それだけに再びいなくなった時の動揺は可哀想ですね。

襄を盗んでいったのは楊過だった。赤ん坊を抱えて楊過は馬に乗り郭芙の前に出た。驚いた郭芙は剣を抜いた。
楊過は黙ったまま袖でその剣をばらばらにした。

郭芙は母・黄蓉と李莫愁が連れ立って来るのを見つけた。襄は楊過が連れ去ったのを告げ、毒消しの為に絶情谷へ向かったのだと言い張った。黄蓉は郭芙がまだ楊過のことがわからないのを咎め、楊過は自尊心が高く妹をさらったなどと言いがかりをつけられたのでさらったのだと答えた。ほとぼりが冷めれば戻してくれるでしょう。
そして郭芙に楊過は小龍女に会うため終南山に行くだろうから後を追って心を込めてあやまるのだといいつけた。
だが郭芙は向こうが悪いのに何故謝らねばいけないのかと言うばかりだった。
もうこの辺観ててはらわた煮えくりかえらない人いませんよね。わがまま娘とは知ってましたがここまでものがわからないとは。とても郭靖と黄蓉の子供だとは思えません。黄蓉ももう少し厳しく躾けて欲しいものです。

終南山では帰ってきた趙志敬と甄志丙を他の弟子達が出迎えた。師匠と私淑は修行中で甄志丙を教主代行として全権をまかせるよう言い付かったと伝える。
その様子を趙志敬はじっと見つめた。

重陽宮に戻った趙志敬と甄志丙は師匠たちが全真教の力の足りないのを案じ修行しているのだと知る。
そこへまたクドゥが登場した。大ハーンからの勅命を受け取られよ、と言う。
教主代行である甄志丙はひとまず皆で話し合ってからでないと受け取るわけには行かないと答え、クドゥを別室に待たせ協議に入った。
蒙古からの勅命を受けようとする趙志敬と別の弟子とのあいだで言い争いとなる。
そして敵である蒙古の勅命を受けるものは悪党であり、罪人だという言葉に趙志敬はかっとなり手を出してしまう。たちまちつかみ合いになり甄志丙はやめろと叫んだ。

久し振りのクドゥちゃん。かわいいですー。しかしいつもほんのチョイ役なんだよね。今回少しは長く出てくれるのかしらん。
ラベル:金庸
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神G侠侶・第26集

盗もうとした旗がなく苛立つ周伯通に趙志敬は金輪の策略どおり洞窟に誘う。最初は自分で見つけると言い張った老頑童も趙志敬の後を追った。
ところがそこには金輪が仕掛けていた毒蜘蛛がうようよ待ち伏せており、周伯通は手を刺されてしまい苦しむ。
突然の出来事に驚く趙志敬に金輪は邪魔になるだけだから最初から老頑童を殺すつもりだった。お前に言うと義理堅く助けるかもしれないと思ったのだ、と言う。
毒蜘蛛に刺され動けなくなった老頑童を助けに入ったのは小龍女だった。小龍女はあっという間に手に張り付いた毒蜘蛛どもを針で刺し落とし、襲ってくる金輪の攻撃に反撃した。
小龍女、さすがにこういう場面、かっこいいです。攻撃がなんとも美しくて強くて見惚れますねー。金輪も小龍女には勝てないのですから古墓派の技というのは凄いものですね。
それにしても小龍女に毒針を打ってもらって毒蜘蛛の毒を消す時の老頑童はちょっとマゾっぽいです。

楊過はG兄に手厚い看病をしてもらい、傷は癒え、気力を取り戻していた。
ある日。G兄は楊過を剣塚に連れて行く。そこは独孤求敗の剣塚で生前愛用した剣が幾ふりか収められているのだった。それらの剣の下には独孤求敗の剣への思想が書き刻まれていた。
G兄は楊過に一番重い剣を使うように伝えた。

老頑童の体内の毒は内力を使い出そうとしてもなかなか消えずにいた。
洞窟の中、毒蜘蛛が近づけぬよう小龍女は毒針で二人の居場所を確保し座り込んで周伯通の様子を見守った。
周伯通は右手と左手を別々に使って一人で戦う遊びを教える。小龍女はそれができれば左手で全真剣法、右手で玉女剣法を使い玉女素心剣法が完成して金輪を倒せる、と考えた。
老頑童はこの技法は頭のいいものは使えない。だから黄蓉はだめだったが郭靖はすぐ使えるようになった、と言う。だが小龍女はすぐそのコツを飲み込んでできるようになった。
これはなるほどでしたね。小龍女は純真すぎる人ですから、むしろ郭靖に似てるところがあるのですねー。楊過の方は知恵が回る役どころなんですね。
そして小龍女は蜜の壜で山蜂を誘いこみ、金輪たちを追い払った。その上、まだ毒の消えない周伯通に山蜂の毒で毒消しをした。
周伯通はまた痛がりながら喜び、是非技を教えて欲しいと頼む。終南山に行こうとする小龍女についていこうとするがやはり襄陽に言って郭靖を助けねば、と悩んだ。小龍女はいつか必ず技を教える事を約束して分かれた。

楊過はG兄の教えを受けて滝で修行を積んだ。片腕でも重剣を扱えるようになり腕前は上がっていった。

蒙古の王子は金輪の口添えを受けながら趙志敬が全真教の教主の座につけるよう約束をするのだった。
もし全真教が逆らうようなら攻撃するから安心しろというのだ。この論理、おかしんんだけどね。
しかし喜んだ趙志敬は訝る甄志丙をせかして重陽宮へ戻る準備を始めた。急ぎ馬を飛ばしたが、その二人の後を小龍女が追ってきた。二人は再び逃げ出した。
ラベル:金庸
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2007年02月18日

「ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決」ゲイリー・フレダー

ニュートラ.jpg

確かに面白くはあるんだけどドタバタ慌てマクって咳き込んでちょっと落ち着けよと言いたくなる映画であったよ。早回しで見せられてるみたい。静かで退屈と言われるくらいの映画が結構好きだからかもしれないけど。
同じ話をもう少し静かなトーンで暴力シーンも画面のせっかちな切り替えもうるさい音楽もなしでやってくれたらもっと好きです。

「レインメーカー」の作者でもあるジョン・グリシャムが原作で元は肺癌で夫を亡くした妻がタバコ会社を訴えるというものが映画では銃器メーカーということになっていてその分全体的に暴力的な雰囲気が充満しているのかもしれない。
確かに銃器とタバコ。どちらがより人の生命を奪っているのか、まあ数だけの問題ではないのでどちらがより深刻ということはないだろうが。ただ日本人ならタバコは吸う側の責任と考え一方的に会社へ責任を押し付けないだろうし、銃で撃たれた被害者への同情の方は強くてメーカーへの疑問も高いだろうから日本的には映画の題材の方が共感しやすいのかも。

それにしてもこういうのが厭きさせない映画作りなのか。無駄と言うか余計な情報の映像まで積み上げて物凄い速さで見せられていくし、主人公の男女が正体不明の悪党じみてて最後突然正義の味方になってしまうのがちょっとあざとく感じられる。
ストーリーはいいんだけど演出が大仰過ぎてもっとシンプルに地味にやって欲しかった、と思うのは私の趣味なので派手な展開が好きな人ならなかなか面白い作品なのでは、と思う。

主人公ジョン・キューザックは今まで意識したことのなかった役者だったのでより面白く観れたと思う。
レイチェル・ワイズ演じるマーリー。彼女が強くなかったらこの話成り立たなかった。
フィッチ役のジーン・ハックマン。悪い役だけどかわいい。ダスティン・ホフマン、しかしこの二人が出てるんだからホントにもう少し地味に作って欲しい。(売れるかどうかは別の話)

裁判員制がもうすぐ現実のものとなる日本なのでこういう陪審員の話というのは気になる所。こういうのを観てるとやりたくない人だとか買収問題だとかどうしても様々な問題は予想できるわけですね。自分が、という可能性も絶対にあることなので少しは知っててもいいんじゃないでしょうか。この映画みたいに絶対こっちは悪みたいに描いてあると気が楽ですが、現実はどうなのか。どっちが正しいのか自分に判断できるものなんでしょうか?

監督:ゲイリー・フレダー 出演:ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ワイズ 
2003年アメリカ
ラベル:法廷
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2007年02月17日

「ヴィタール」塚本晋也

ヴィタール.jpg

あんまり好きになってしまってなんと言っていいかわからない。最近になって続けて塚本晋也監督作品を観ていってるのだが、観るごとに好きになる。従って本作が今最高に素晴らしい。

記憶を失った青年が現実と意識の世界を彷徨いながら一緒にあった交通事故で一人死んだかつての恋人を少しずつ思い出していく、という物語はさほど目新しいものではない。
そして主人公である青年がそれまでは敬遠していた医学の道を進み解剖実習の献体がその恋人であり、彼は恋人を解剖する事で次第に記憶を呼び覚ましていくという過程にぞくぞくするような快感、あるいは安らぎを覚えてしまうのは不思議なことだろうか。

それは解剖の行程の整然とした美しさのせいもある。もともと画家を志望していた青年は解剖をしながら見事に精密な解剖図を描く。その献体が恋人と知ってからは全てを見逃すまいという熱心さで。筋肉の一つ一つ、組織の一つ一つを。眼球を取り出して優しくメスを入れ中から透き通った物質(水晶体?)を取り出す。
揺らぐ事のない青年の恋人への思いの深さでもある。

しかしなんという明晰な美しい物語なのだろうか。死んだ恋人は海辺で青年の訪れを待ち続けている。
そこはあの世とこの世の狭間なのだろう。「この世界が本当だった。もう向こうへは帰らない。ここで君と子供を作るよ」という言葉は青年の願いだったはずだ。

青年の解剖への傾倒ぶりは周辺の者達を戸惑わせ不安にさせる。とうとう解剖の実習が終わった。(献体を元通りにし丁寧に棺に納める。解剖の後、このように心を込めて火葬の準備をするとは思いもよらなかった)
恋人の棺を火葬にする時、青年が何か思いつめた行動を取ってしまうのでは、と怖れてしまった。
だが彼は最後まで彼女の傍を離れようとはしないものの死んでしまうようなことはしなかった。むしろ火葬された後、美しい木々の緑葉のざわめきが心地よく聞こえた。
恋人が青年が医学を学びいつか自分を解剖する事だけを望んでいたのなら、それが終わり死の世界へ向かった時二人は愛の儀式を終えた安堵感があったのだ。

この映画の中ではこの二人のことだけでなく二人の両親との関わりが実にうまく混ぜ込まれている。
青年の両親は医者で画家志望だった一人息子が医者を志したことに微妙な不安と期待がある。息子の恋人だった少女の希望をかなえる橋渡しをする。
そして素晴らしいと思ったのが恋人の父親との関係。青年が運転する車に同情した娘の死を受け入れきれず青年に怒りをぶつけるが、娘の思い出話をずっと交わし続けるうちに少しずつ怒りが解け、同じ思い出を共有するものとして安らぎを持つようになる。

そういった演出に感心しながらも本作で描かれるのはいつもの塚本監督作品で感じた江戸川乱歩的な雰囲気であるということが嬉しい。恋人のからだの奥底まで意識の内側まで入り込むようなことはやはり異常な愛ということになるんだろう。
そこが滅茶苦茶に好きだ。

監督:塚本晋也 出演:浅野忠信、岸辺一徳、國村隼、串田和美 、木野花、利重剛、柄本奈美、KIKI
2004年日本
posted by フェイユイ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月16日

「シビル・アクション」スティーブン・ザイリアン

シビル・アクション.jpg

この作品で一番驚いたのは弁護士が訴訟の費用を全部支払うことがあるということだった。(これはアメリカ映画なので日本がどうなのか知らないが)裁判は費用がかかると言うのは訴訟を起こす当人。そして弁護を受ける当人だと決めつけていたのでこれは初めて知ったことだった。本作では訴訟を求めた被害者側の弁護士となるのだが。

主人公シュリットマンは己の弁護士としての能力に自信とプライドを持っている。それは次第に驕りとなって自らを破滅へと導いてしまう。
ジョン・トラボルタ演じるシュリットマンが実に面白い。敏腕弁護士は訴訟人に同情などせず常に冷静であるべきとし且つ負け試合となる裁判などは絶対にしないと断言しながらどんどんその道へと走っていってしまうのだ。
子供を失った被害者の悲しみに心が揺らぎ、相手弁護士ファッチャー(ロバート・デュバル)の掴みどころのない老獪さにいらだち示談として提示された大金をはねつけてしまう。
スマートな身なりと理想を持つ青年弁護士が重なる調査費用に借金まみれになり裸に剥かれてしまう顛末は惨めなものであった。

映画としての作りはとても軽快で非常にわかりやすく楽しめるものとなっている。
配置されたキャラクターも個性的である。特にシュリットマン法律事務所の金庫番であるゴードン(ウィリアム・メイシー)は勝つ見込みのないまま突き進んでいく彼の為にやや半狂乱になりながらも費用を捻出する様が憐れにも滑稽にも見え、いたく気の毒であった。法廷映画というものでこのように弁護士が訴訟の費用を払うことに涙ぐましい努力をしているというのは見たことがなかったと思う。
そして何と言ってもロバート・デュバル演じる老獪弁護士ファッチャー。ボストン・レッドソックスを愛し、部屋の片隅で一人ひっそり野球中継を聞くことを楽しみにしている。アメリカ映画にありがちな敵意に満ちた傲慢な相手ではない。むしろ主人公シュリクマンの方が結婚したい相手に選ばれている自信家として描かれているのだからこの辺は微妙な味わいがあると言うものだ。

シュリットマン法律事務所に問題を持ち込んだのはボストンより北の小さな村に住む幾人かの家族であった。
その村では癌に侵され死んでいく子供の数が異常に多いのだった。
その中の一人、息子を失った母親がシュリットマンの事務所に連絡をとったのだ。
彼らの願いは「補償金はいらない。原因を究明し謝罪して欲しい」ということ。
金にならない話に一旦は断りかけが、水質汚染の原因と思しき会社が大手であることに気づいたシュリットマンは莫大な和解金を搾り取れると乗り出したのだ。
シュリットマンに訴訟を持ち込んだ母親が終始冷めた表情をしているのは同情深げに接する彼の腹を見透かしているからだが、そんな金儲け主義のシュリットマンがどっちつかずに心を動かしてしまったり、ファッチャー弁護士の狡猾な持ちかけに熱くなってしまったりする姿はぞくぞくするような面白さだ。
雨の中、両親が死にかけた子供を車で運ぶ時、泣き叫ぶ為にガラスが真っ白に曇り嘆く親たちの影だけが映る演出。
ファッチャーが法廷の廊下でシュリットマンにドル紙幣を見せ「これにゼロを6個つけよう」などと持ちかける。プライドを捨てて2000万ドルで手を打つか(事務所は火の車である)己のプライドにかけて「真実の証明」をするか。シュリットマンの揺れ動く心がその後の彼の人生を決めてしまう。

結局シュリットマンは僅かな金を分配し会社からの謝罪も得られない。訴訟を頼んだ村人達からは冷ややかな視線を受けたのみである。

裁判後に仲間とも別れ一人きりで法律事務所を開きながら原因究明を続けるシュリットマン。熱くなってしまった頭も冷め落ち着いた目で見ていくうちに真相が見えてくる。
驕り高ぶっていた敏腕弁護士が新しい人生を歩み始めるところで幕が閉じる。
無一文の弁護士シュリットマンにあきれ「何があったのです」という質問に一気に答えられるはずもなく絶句したまま微笑むしかないラストが言わせない。

監督:スティーブン・ザイリアン 出演:ジョン・トラボルタ、ロバート・デュバル、トニー・シャローブ、ウィリアム・メイシー、ジョン・リスゴー、シドニー・ポラック
1999年アメリカ

追記:役者について何も言ってなかった。
ジョン・トラボルタ。何しろ私にとっては彼のイメージというと「サタデーナイト・フィーバー」若き日の彼はあまりにもお顔が派手でして真っ黒な髪と光るような真っ青な目と割れた顎。初めて見た時はその迫力に怖気をふるってしまったものです。その後の何作かもあまり好みではないと思ってるうちにあまりぱっとしなくなったなと思ってたら「パルプ・フィクション」で復活!と言うより私にとっては初めて好きになりました。うん、年をとってから素敵に思えることってあるんですねーやっぱり。
本作でも決して正義の味方ではないしクールな悪者でもない男をいわばかっこ悪く演じていて見ごたえ充分!ロバート・デュバルの老獪弁護士の味わいに押され気味とはいえ魅力的でありました。しかしデュバルが凄すぎてね、観るの楽しいんだもん。
posted by フェイユイ at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月15日

いつの間にか「盛夏光年」出てた!!(涙)

えーんもうなにがなんだか判りません!!!
先日「盛夏光年」は5月発売だから待ち遠しいヨオ。と書いてたのに今日覗いたら「廃盤」なんて書いてあるじゃないですか!販売してもないのに廃盤って。慌てマクって探したらそれはDVD+写真集のことみたいです。がーん。写真集があったのか(涙)
でも一応DVDのみはあるみたいです。→ここ

情報がガセになってしまってすみません。すぐ見に行ってください!!

どういうことだったのか判らなくてあせりまくりです。

後、小説や主題曲CD+VCDもありました。

こちらもありますが→こちら

追記:その後,A子さんの情報により急遽こちらへ!→百楽園
だって写真集が欲しいんだもん。まだお返事がない。

追追記:お騒がせしておりますがまたまたyesasiaさんでフォトアルバムつきで販売されております(笑)
またまた私も再考。しょーがねーなー。なんとかなるかな。
posted by フェイユイ at 18:37| Comment(12) | TrackBack(0) | 張孝全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

ベン・アフレック語る(初映画監督作品とか)マット・デイモンのことも

ベン・アフレックへのインタビュー記事で役者としてまた初監督作品について語ってます。

マットについての話もあるかなーと期待してたらちゃんとしてくれてました(笑)
2・3年後が楽しみです〜。
posted by フェイユイ at 23:09| Comment(2) | TrackBack(0) | マット・デイモン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神G侠侶・第25集

お久し振りです。前の記事・24話目が1月3日なので一ヶ月以上になるのですがもっと長い間だったようにも思えますね。ではまた暫く楊過たちの物語を楽しんでいきましょうか。

楊過の口からでまかせをすっかり信じてしまい悲しみに沈む小龍女は楊過と対の剣を郭芙に預け出て行く。楊過を頼むと言い残して。
小龍女は郭芙と別れてすぐ、別の部屋の中で全真教の趙志敬と甄志丙が言い争っている声が聞こえてきた。「主席であるお前が自分だけ女と楽しんでいるとは何事だ」というわけ(師兄の嫉妬ですな)小龍女はここで自分を最初に抱いた男性が楊過ではなく甄志丙だった事を知る。趙志敬に剣を向けた甄志丙だったが師父に全てを打ち明けると告げた。そこへ小龍女が姿を表し、血を吐いて倒れこんでしまう。それを郭芙も聞いていた。

武兄弟のために毒を吸った楊過は倒れ手当てを受けていた。毒に詳しい師叔によると楊過は強い2種類の毒を体内に入れたため互いに消しあったのだと。楊過は是絶情谷の毒の期限を過ぎていたのに死ななかったのだ。
だが姑姑を思い出した為にその毒が効き目を表す。突然苦しみだした楊過に驚いた武父は師叔に楊過を助けてくれるよう頼み込む。師叔は絶情谷へ行って毒消しを作る事を約束する。
師叔落ち着いてます。隣で楊過が苦しみ悶えても「大丈夫。善人は救われます」って。さすが人間ができてらっしゃる。
心配する皆とは違い郭芙は自分の妹を放り出してしまった(と思い込んでる)楊過を罵る。

郭芙は武親子が楊過と自分が結婚すると思い込んでるのを知って驚く。ぶつぶつ文句を言っているとその様子を見た父・郭靖は武兄弟を無意味に決闘させそのせいで楊過が苦しむ事になったのはお前のせいだと言ってきつく叱った。
それまで怒られた事のないわがままな郭芙は全ては楊過の仕業だと考え小龍女から受け取った剣を取り楊過の部屋へ走る。
郭芙は激しい怒りを楊過にぶつけた。嘘をついたことを楊過は謝るが郭芙の怒りは治まらず妹を絶情谷へ連れて行き毒消しをもらって助かろうとしていると叫ぶ。あげくには小龍女の悪口を言い出した。小龍女が道士と関係があるとばらし「ふしだら」と罵った。
楊過は愛する姑姑の尊厳を傷つけられたまらず郭芙の顔を叩いてしまう。親にも叩かれたことのない郭芙は怒りに燃え「妹の仇を討つ」と言って楊過の腕を切り落とした。

事の次第を聞いた黄蓉は郭靖は許さないわと娘・郭芙を逃がす。郭靖が慌てて楊過の部屋に入った時、楊過の姿はすでになく血の吹き溜まりの中に腕が落ちていたのだった。

小龍女に話を聞かれた趙志敬と甄志丙は馬で逃げ出した。小龍女は黙ったままその後を追う。その追撃はどこまでも続いた。
その彼らの様子を金輪国師が見つけた。金輪は趙志敬に小龍女を追い払い全真教の教主の座につく手助けをすると約束した。金輪国師は道士たちを蒙古まで連れて行く。
途中、周伯通がこともあろうに蒙古の旗を盗んできて喜んで掲げているのに出会う。
金輪は「私の留守中を狙ったのだ」と言うと老頑童はでは堂々と盗みに行く、と言って返した。

金輪は一旦蒙古の殿下に旗を返す。そしてまた旗を盗んできて洞窟に隠し、趙志敬が旗の居所を教えれば全真教の長老格である周伯通は趙志敬を教主にしてあげるだろう、というのだ(そんなもんか)
しかし蒙古の殿下の前で趙志敬は礼をしたが甄志丙は蒙古は全真教の敵だと言って踵を返したのだった。
文句を言う甄志丙だったが、ここまで追われてきたのはお前のせいだと趙志敬に返す言葉がない。趙志敬ちょっぴり甄志丙がかわいそうになってしまうのだった。

腕を切り落とされた楊過は彷徨い、いつの間にかG兄の元へたどり着いていた。G兄は親切に楊過の看病をし蛇の肝を飲ませて助けようとした。腕の痛みに苦しみながら楊過はG兄の言うとおり肝を飲み込んだ。

夜になり、周伯通は蒙古のパオを飛び越して旗を盗みに来た。が、すでに旗はそこにはなかった。

原作:金庸 製作:張紀中  監督:于 敏
出演:楊過=ホアン・シャオミン、小龍女=劉亦菲、甄志丙=程皓楓、郭 靖=王洛勇、金輪国師=巴音、黄 蓉=孔 琳、李莫愁=孟广美、郭 芙=陳紫函、郭 襄=ヤン・ミー、公孫止=鐘鎮涛、霍 都=高 虎、郭破lu=銭博、陸无双=楊蕊、武敦儒=王 寧、武修文=趙錦涛、周伯通=趙亮、欧陽鋒=huo乃社、
柯鎮悪=馬杰林、裘千尺=李 明、丘処机=陳継銘、耶律楚才=張紀中
耶律斎=張鴻飛、公孫緑萼=傅miao、一灯=王衛国、孫婆婆=李名qi、洪七公=大 力、孫不二=孫xiao燕
ラベル:金庸
posted by フェイユイ at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 神[周隹]侠侶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チアン・ウェン新作映画『太陽再次昇起』、スチール写真初公開!

チアン・ウェン新作映画『太陽再次昇起』、スチール写真初公開!

姜文監督、次の作品まだかなあと思ってたらもう撮ってしまってたんですね。
ともあれ楽しみです。また延々と演技繰り返させて役者を苦しめたのかな。
作品未完成なのにもうカンヌ映画祭にノミネートされたっていうのは凄いですね。

なお音楽は日本の名作曲家・久石譲氏。ジェイ・チョウも彼の音楽が好きだといってましたねー。これも楽しみです。
ラベル:映画監督
posted by フェイユイ at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする