映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年03月20日

「ロスト・ハイウェイ」デヴィッド・リンチ

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デヴィッド・リンチの映画はいつもどこかで「コオオオオオオオ」という音がしている。

デヴィッド・リンチを自分のブログに書いたのは初めてなのかな。とはいえその出会いは「エレファントマン」の時からで、若かった私は(今観てもそうだろうがしかし)物凄い衝撃を受けたものだ。かの映画が上陸した時はヒューマンドラマとして評判だったのだが、実はこれは「こういう世界」が好きな「フリーク」な人々がいるのだと初めて知ったことで二重の衝撃を受けたのだった。この映画で評判になった為にその後「イレイザーヘッド」を観る事ができた。それゆえに「エレファントマン」がヒューマニズムを隠れ蓑としたフリークの為の映画だと言うことが確信できたのだった。なんといっても「エレファントマン」の魅力の一つはその映像の美しさであり創作者の愛情が込められているのである。それは一般にいう愛情とは大きく違うものなのだが。

初っ端からリンチは私に「隠したいが隠せないもの」という人間の心理を教えてくれたのだった。
見てはいけないものを見たくなりそれを好きになってしまうこともある。差別や禁止といった歯止めが余計に人の欲望をかき立ててしまうのだ。

冒頭に音について書いたが遠い昔のことだが「イレイザーヘッド」でもコオオオオという音がしてたような気がする。

またリンチの映画には(一般的に言って)非常に醜いものと非常に美しいものが登場する。差別的発言を危惧するためになかなか触れにくい部分ではあるが(しかしまたそのタブーがまたリンチなのでそれなしには語れないのだが)飛び切りの美男美女が登場するかと思えば体に障害を持つ人々もまた多く登場してくるのだ。
「ツイン・ピークス」を思い出すとリンチ監督の趣味が実にわかりやすくなるだろう。
映画版には「この世で一番美しい死体」というキャッチコピーがついていたのではなかったろうか。この言葉がまさに見てはいけないが見たいもの。欲望を持ってはいけないが持ってしまうもの、という心理を表している。
ドラマには美男美女が様々な趣向で登場しまた奇妙な人々が勢ぞろいしていた。田舎町というのは濃厚な世界である。
ドラマとは思えないほど摩訶不思議な出来栄えだったが凄い人気だったのはうなづける。私も大変にのめりこんで観ていたフリークの一人である。

なかなか「ロストハイウェイ」にたどり着かない。この辺で切りかえよう。

とは言えだからといってここからこの映画の謎解きをするわけでもない。
ただこの悪夢の物語に酔わせてもらったのは確かだ。

観初めてすぐあの「コオオオオオオ」という音にとり憑かれた。前に進めば進むほどわからなくなってしまう迷路からもう逃れられないように物語の中に引きずり込まれてしまう。
心の奥底に暗黒を見る恐怖がある。
主人公フレッドが闇の中に入り込んで出てきた時には何者かに変わっていた。
妻を殺害した後、フレッドの精神が崩壊しピートという若い男になるという妄想を始めるが無論その以前、物語が始まる前から彼の意識は変化していたのだろう。
しかしまあ時系列の組み換えの云々も楽しいが他では滅多に味わえる事のないこの奇妙な快感にゆっくりと浸りたいではないか。

あおる奴が大嫌いなエディー氏の爆走には参った。おかしい。

監督:デビッド・リンチ 出演:ビル・プルマン、パトリシア・アークエット、バルサザール・ゲティ、ロバート・ブレイク、 ロバート・ロジア、ゲイリー・ビューシイ、リチャード・プライアー、ジャック・ナンス、ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・マッシー
1997年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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