映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年05月06日

「SWEET SIXTEEN」(スイート・シックスティーン)ケン・ローチ

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スイート・シックスティーン

えと、今「SWEET SIXTEEN 」を観終わったとこで、普通なら考えまとめて次の日に書いたりするんだけど、ちょっとこれに限っては一日置きたくなくてまとまらないまま書き飛ばしている。
ていうのは、この作品の主人公リアムが可愛くて泣きたくてしょうがなくなってしまったからで一日気持ちをほったらかしに出来なかったからなんだけど。
一応これは社会派映画ということで貧しく環境も整わない家庭で成長する少年の姿を描き、恵まれない少年にも学習と就業の機会を与えてと社会に告発する目的があるらしく勿論その役目は充分に果たしているんだけど、私が感じたのは別にリアムが貧しい家庭の少年という枠だけでなく多くの少年少女の心にある反発心、孤独感といったものを体現しているということなのだ。
この感覚は同じく社会派と言われるアラン・パーカーの「ミッドナイトエクスプレス」や「バーディ」を観た時に感じたものと同じだと思う。社会的問題を訴えた映画といわれて観ていても自分が見ていたのは孤独な心で強い抑圧と戦い傷つく若者の姿で、それは「そこでの問題」ということでなく普遍的な少年期の成長の為の戦いなんだと思えた。
本作でのリアム少年のなんて魅力的なことか。大人になろうと無理に背伸びし悪ぶって見せる。
家族を愛し、うまく行くようにと取り計らう。でも本当はまだ幼くてお母さんに甘えたくてしょうがない子供なんだ。
まだ子供で母や姉の本当の姿に気づかず勘違い、無理強いをしてしまい逆に人を傷つけてしまう。まだ取り繕う事の出来ない魂はむき出しで怖ろしい世間の刃に当たって血を流しひりひりと痛む。
思わず抱きしめて、いいんだよ、君が悪いんじゃないんだ、と慰めてやりたくなる(無論この状況でこの言葉が正しいかどうかはわからないが)
それはリアムを演じた殆ど素人と言っていいマーチン・コムストンの魅力そのものなんだろうけど。本当にリアムはそこで動き話しているのであってマーチンと言う少年が演じているのか彼がリアムその人なのか自分にはわからなくなってくるほどなのだ。
それほど私にはリアムが可愛くてしょうがなくなってしまった。

リアムが愛する母と姉の姿のリアルさはどうだろう。いくらリアムが求めても母親が欲しているのはリアムではないという事実。
そして姉はすべてを知っていた。子供のリアムにはまだ判らないのだ。それが愛おしく切ない。

リアムが親友ピンボールをどうしたか、はっきりとは描かれていない。勿論リアムがピンボールを殺すわけはない。
絶対に私は信じる。

この後、リアムが強く生きていけるように。ピンボールとまた仲良くやっていけるように。
お姉さんとは仲直りして。お母さんとは距離を置いて仲良くして。
そう願うし、そうなると信じている。

涙愚者愚者(ぐしゃぐしゃって変換したらこうなった。まさに私のこと!)で書いちまってしょうがないなあ。

監督:ケン・ローチ(この一作で愛してしまった)
出演:マーチン・コムストン(この一作で愛してしまった)
ウィリアム・ルアン、アンマリー・フルトン
2002年イギリス・ドイツ・スペイン



posted by フェイユイ at 23:38| Comment(12) | TrackBack(1) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「陸軍中野学校 竜三号指令」田中徳三

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物足りなかった2作目と大きく変わって3作目は椎名が上海へ飛ぶ。

日中戦争を終結させるための平和交渉へ向かった使節団がテロで殺害されたのだ。
次いで2度目の使節が向かうことになるという。中野学校・草薙中佐は平和交渉を阻む組織の調査・竜三号指令を椎名に命じる。
椎名はすぐ上海へ向かい調査を開始する。が、2度めの使節は飛行機の故障で不時着してしまい、反対派のテロリスト集団に捕らえられてしまう。調査半ばにして椎名は使節救助へと送り出される。

椎名次郎(市川雷蔵)が怪しい中国人に変装したり中国語を駆使したりして実に楽しい。
一体どこで撮影されたのかは判らないが大陸を移動しての大活躍である。草薙中佐がアジアの平和のために中野学校がある、という意識があり、椎名が戦争強硬派の日本軍人と対立する場面があったり、親日派の中国人や放送局に勤める秋子と姉妹のような中国娘もいたりして違和感を感じず観れてよかった。謎の中国女性スパイに松尾嘉代。
昔の日本映画は作品中でばんばん中国語を話したりするのが感動的なのである。かえって最近のものは外国語を話したりしないのではないか、と思うんだがどうだろう。

二人の使節を救助に行く箇所は特に緊張感があって面白い。「日本人は顔を洗う時手の方を動かす(中国人は顔を動かす)」という説が元で正体を見破られたり、逃げる時車のイグニッションキーがないのでコードをつないで発車するのも懐かしいような場面だ(自分がやってたわけではない)
ここで相棒的存在だった杉本が地雷で自ら命を落とす。悲しい最期だった。

いつもながら市川雷蔵と加東大介の存在感で見せてしまうな。大規模な正月映画ということらしいのですが、充分面白いんだからこれでいいのでは、と思えてしまう。金さえ使えばいいということではないのだ。

「成仏」って言葉、中国語の「死」として成り立つのかな?

監督:田中徳三 出演:市川雷蔵、加東大介、松尾嘉代
1967年日本
ラベル:スパイ
posted by フェイユイ at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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