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2007年05月21日

「春香伝」イム・グォンテク

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韓国の古典を巨匠イム・グォンテクがパンソリの歌声も高らかに映像化した名作である。

久し振りに再観したら以前観た時よりは何か微妙な違和感を感じた。というのは最初観た時は韓国映画をかなりの情熱で観まくっていてこの映画も新鮮な驚きを持って観たからなのだろう。
違和感、というのがどういうものなのか、うまく一言では言えないが、ある意味、昨日観た「母たちの村」に関係した感覚でもある。つまりどうしようもない性差別というのを見せ付けられてしまい、古典だからしょうがない、とは思いつつもやはりなんだか嫌になってしまうのだ。

「母たちの村」と違う救いはあちらが今まだ進行形の現実であるのに比べ、こちらは古典なのであり遠い昔話だということをパンソリの調べが教えてくれるからだ。そのまま「春香伝」という物語を映像化しただけのものだったらもっと拒否感が生じただろうが舞台で歌うパンソリの歌い手の姿がこれは遠い昔話ですよ、と教えてくれることで最後まで観れた気がする。お伽話であれば両班(貴族)の若様にあっという間に妻にさせられ、3年待たされ新しく赴任した領主に逆らったといって拷問にあうという苛立つ話も納得させられてしまうのだ。

と言ってもその国の古典と言うものは是非読んだり映画で観たりして損になるわけはない。
主人公たちや春香の母親の言動など他の国のものと違う面白さがある。身分の差があるといっても結構しっかり自己主張してるとことか、最後、母親が自分の娘を自慢しまくってるとことかなかなか楽しい。
昔の韓国の良家の子女というのは全く外へ出ないもののようなので女性が活躍するにはキーセンでないとうまく行かないのかもしれない。
しかも春香はキーセンの娘であるだけでキーセンではない、という説明がつくところがちょっとおかしい。それなのに結局キーセンの娘だからということで男の前に連れ出されるのが情けない。
お伽話だから仕方ないといっても、若様がやってきたらすぐに結婚してしまうというのもなんだかいやだし、最後出世した若様と結婚して都に行くのでハッピーエンドっていうのも何だかな、と言う感じ。お伽話だから、お伽話だから。
しかし初夜では恥ずかしがっていた春香が幾日か過ぎればすっかりいちゃいちゃしている大らかさとか(でもここ、若い時観たら嫌いだったかも)粗末な身なりで春香の母の家に帰ってきた若様が物凄い勢いでご飯を食べる場面は好きである。あの食べっぷりは他の古典ではちょっとない気がする。

若様の密使ぶりが日本でいうと水戸黄門様みたいでやっぱりこういう悪代官みたいなのを懲らしめてくれる正義の味方が突然現れて欲しいなあ、という庶民の願望なのであろうか。こちらは随分若くてハンサムな黄門様だけど。

他の映画でもちょっと使われていたりとかする時もあるし、やはり古典は観ていたほうが何かと役にたつものなのだ。うるさいCGなんかも使われないし、携帯電話も出てこないのがうれしい(映画で携帯電話使用禁止にして欲しいくらいしょっちゅう使われるのだ、あれ)

しかしこれって2000年製作なのだね。もっと昔の映画のような気がする。

監督:イム・グォンテク 出演:イ・ヒョジョン, チョ・スンウ, イ・ジョンホン
2000年韓国








posted by フェイユイ at 23:48| Comment(4) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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