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2007年05月29日

「ロング・エンゲージメント」その2 ジャン=ピエール・ジュネ

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今夜になりました。

第一次大戦。ドイツ軍と睨みあうフランス側の塹壕で自らの手を撃ち抜いた5人の兵士がいた。負傷すれば帰国できることを狙った故意の行為ととられ(サッカーでも一番反則とられちゃうね)死刑を宣告される。その処罰はドイツ軍とフランス軍の「中間地帯」に放り出されることだった。

5人の兵士のうち、一番若い兵士マネクには恋人・マチルドがいた。彼女は不自由な足を懸命に引きずりながらマネクが生きている事を信じて探し続ける。

全編が遊び心で溢れている作品だった。戦場シーンが非常にリアルで惨たらしく感じる部分も多いのだが、一方大変にコミカルで明るいノリでやっていく映画なのである。
登場人物も多い上、饒舌な語り口で情報やエピソードが溢れるほどつまっている。
私は初めて観る監督の作品だったが古めかしい色彩と愉快なキャラクター設定、テンポいいストーリー展開など凄く楽しめたのだった。
コメンタリーで知ったことだが、様々な場面で監督が好きだった映画へのオマージュが込められていてその念の入れように驚くほどだ。
だがこのコメンタリーで非常に困ったことに陥ってしまう。大変楽しんで心地よい気持ちになっていた私なのだが、この戦場シーンがスピルバーグの「プライベート・ライアン」を徹底して取り入れられていることを知り、突然熱が引いてしまったのである。
「プライベート・ライアン」はリアルな戦闘シーンを作り出したことで多くの映画製作者に影響を与えている。だが私はあの作品でのスピルバーグ監督の意識がどうしても受け入れ難いのだ。それと本作においてその技術のみに影響を受けたものとは違う(と思いたい)が人を傷つけることへのリアルさの追求とそれを楽しい見世物にしてしまうことにはどうしても反発を覚えてしまうのだ。

本作と「プライベート・ライアン」は違うのだが、監督自身が「大いに取り入れて作った」とあってはそれだけで好きな気持ちが半減してしまうのだった。

もう感想を書くのもどうかと思うほどだったのだが、それ以外はとても好きな作品だった。
マチルド役のオドレイ・トトゥのマネクへの一途な思いも可愛らしい。何かあるごとに「これがうまく行けばマネクは生きてる」という占い(?)をするのがいじらしくて特に出兵するマネクの乗る車より早くカーブの場所へ行けたらマネクは生きて帰ってくる、と願って不自由な足で必死で駆けるところは涙がこみ上げてくるほどだった(今思ったんだけどあのシーンは「初恋のきた道」に似てるような。でもオマージュではないようだ)
そしてついにマネクを探し出した時の眩しい日差しの中にいる彼の姿が愛らしくマチルドと彼の幸福を願わずにはいられない思いだった。
この作品でマネクを演じたギャスパー・ウリエルのキュートなことといったら。彼はいわば助けをまつ姫君なわけで王子が惚れこんで捜し求めるだけの魅力を溢れさせていた。姫の宿命としてそれほど活躍はしていないが、調達の鬼・セレスタン・プーに蜂蜜を塗ったパンとココアをねだるシーン、マチルドの胸に手を当てて添い寝するシーンなど印象的な場面で茶系に調節された色彩が彼の美少年ぶりをより強調しているようだ。じつは「かげろう」の彼よりこちらの方が美形であったようにも思えるが多分姫だったからだろう。無論「かげろう」の方が彼の才能を堪能できることは確かである。

また脇役でジョディ・フォスターの姿を見、彼女の流暢なフランス語を聞けたのは嬉しい驚きだった。
彼女のクールな美貌は目を引かずにはおられない。フランス人ではないジョディなのになぜか他のどの女性より古きヨーロッパを思わせる美しさであったと思う。古風な気品を感じさせてくれるのだ。

というわけでスピルバーグの名前さえ聞かなければ存分に楽しめた一作であった。
問題のコメンタリーもその発言以外は監督がいかに映画に対して多くの思いを注ぎ込んでいるかが伝わってくる。
ゴッホの住んでいた家に日本人が大量に観光に来るという話も関係ないのにおかしかった。私だって行けば観てしまうだろう。後、ジョディのベッドシーンで男性の尻が見えるのは珍しいことなのだとか。日本ではその男性の尻に処理が加えられたとか。DVDでは映ってますが、男の尻すら映してはいかんのか、日本は。ほんとかな。

もう一つ忘れられないのがベッドでマチルドに甘えていた猫。ふくふくと太ってごろごろに甘えていた。なんであんなに甘えてたんだろ。マチルドの手に何か塗ってたのかな。可愛い。

監督:ジャン=ピエール・ジュネ  出演:オドレイ・トトゥ 、ギャスパー・ウリエル 、ドミニク・ピノン 、クロヴィス・コルニヤック
、ドニ・ラヴァン 、ティッキー・オルガド 、マリオン・コティヤール
2004年フランス


posted by フェイユイ at 23:09| Comment(6) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ロング・エンゲージメント」ジャン・ピエール・ジュネ

大変面白く楽しんで鑑賞し終わり、さてどう褒め称えようか、と思いつつ監督のコメンタリーを少しだけ見たら「戦場シーンは『プライベート・ライアン』を参考にした。あれほど凄い戦闘シーンはない。うまくいかない時はスタッフにも必ず見直させた」みたいなことを語られていて急激に醒めてしまった。

作品自体をきちんと見た上で面白かったのだから感想を変える必要はないわけだが知ってしまった以上、もう作品への気持ちが半分くらいなくなってしまったのはどうしようもない。コメンタリーを見なければよかったんだが、褒め称えた後で種明かしを知ったらもっと落ち込んだろうから、まあよかったと言うしかない。
しかし言葉ひとつでこうも関心を失ってしまうんだから私も適当だとしか言いようがないな。

そう言われてみれば(原作ありみたいなので監督の創作ではないのだが)若い兵士を懸命に探すというのが同じだと言えば同じだ。後は違うけど。そして探しだす兵士がどちらも凄く魅力的で可愛らしい。可愛くなかったら探し出してもがっかりだが。

今夜また続きを書くつもりだが、「こんなことってなあ」という気持ちで少しだけ書いてみた。

これも後で知ったが「アメリ」の監督と言うことも少しだけマイナス点に。ってまだ「アメリ」観てないんですが。勝手な思い込みで。
スピルバーグも素直に賛辞してるとこや様々な監督への様々なオマージュを盛り込んでいて映画が大好きな人なんだろうなあ、とそれなりに感心。
確かに凝ってて楽しめる作品だとは思えます。ちょっと残酷な部分が平気ならば。

「プライベート・ライアン」というのは戦闘シーンにおいて多くに影響を与えているのだなあと感心はします。
posted by フェイユイ at 10:24| Comment(4) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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