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2007年06月17日

「ドラキュラ」フランシス・F・コッポラ

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思いもかけず面白かった。ブラム・ストーカー原作をかなり忠実に映像化したものと思われるが、幾多の改作・パロディをされ続けているこの有名な古典をここまで格調高く美しくエロティックに作り上げたコッポラを失礼ながら見直してしまった。
しかも悠久の時を越えての愛の物語でもある。ある時は怖ろしくある時は滑稽な存在ですらあるドラキュラがかくも一人の女性を愛し続けたのかという悲劇でもある。

「ドラキュラ」にはその物語を構築する為の時代背景というのが不可欠だが、19世紀末のロンドンとトランシルバニアを舞台に登場する人々の恋愛ドラマが交錯する。

ピーター・カッシングの印象が強すぎるヴァン・ヘルシング教授にはアンソニー・ホプキンス。今までのヘルシングを払拭する新たなイメージで登場。
ドラキュラはゲイリー・オールドマン。ドラキュラと恋人との間で揺れ動くミナにはウィノナ・ライダー。ミナは大昔ドラキュラ伯爵の最愛の妻であったエリザベータが時を越え生まれ変わったのだった。
そのミナの現代の恋人がジョナサン・ハーカー=キアヌ・リーヴス。このときのキアヌーは若くて生真面目で一途な青年を演じていて非常に魅力的である。

ミナの友人の婚約者がケイリー・エルウィズ、ドラキュラの一味にモニカ・ベルッチがセクシーな肢体を披露していた。

ドラキュラが好きならまずはこの基本を抑えておかねばならないだろう、と思う以上に瑞々しい作品であった。
宗教に見捨てられ、時を越えて愛し合う二人の男女の姿。
先だって「嗤う伊右衛門」で怪談がこのような愛の物語に変わることに驚きをもったのだが、真に愛する者たちというのはどこか異形のものであり、普通の者には受け入れられない異常な世界でもあるというのだろうか。

醜く変わったドラキュラが他の女の血を吸う場面を愛するミナに見られ「見ないでくれ」と叫ぶ箇所は痛々しかった。

エンド・クレジットで流れる歌が悲しく心を揺さぶる。

監督:フランシス・フォード・コッポラ 衣装デザイン:石岡瑛子 出演:ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー、アンソニー・ホプキンス、キアヌー・リーヴス、トム・ウェイツ
1992年アメリカ


posted by フェイユイ at 00:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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