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2007年06月20日

「グラスハープ/草の竪琴 」チャールズ・マッソー

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この前のカポーティ原作映画がよかったので今度は「グラスハープ・草の竪琴」ロマンチックなタイトルである。内容もアメリカ南部を舞台にした叙情味あふれるものでとてもよかった。
一昨日「ストレイト・ストーリー」でトロいと言われている駄目駄目人生を送ってる中年女性を演じていたシシー・スペイセクがここではバリバリのキャリアウーマン役。どちらもぴったりなんで恐れ入る。どっちが似合ってるんだろう?やっぱりどちらもうまい。
他にウォルター・マッソーとジャック・レモンが対照的な男性役で登場。かつてそういう役柄もありましたっけ。そして本作の監督はウォルター・マッソーの息子・チャールズ・マッソーだけあってお父さんはいい役である。
主人公コリンを演じるのはエドワード・ファーロング。美少年であるが、つまりは原作者トルーマン・カポーティの少年時代を演じているわけである。とはいえカポーティが美少年であったことは確かなので彼でいいのだ(それがあーゆー奇怪な老人に変貌していくとは)
コリンが憧れているという美青年も出てきたりして別に何もないけどこれはカポーティのサービスなのであろうか。
が、主人公コリン少年が人目で恋に落ちたのは美青年じゃなく、これまでの人生をずっと家の中で過ごして来たと言う内気な年配の女性ドリー(パイパー・ローリー)なのである。
彼女はやり手の妹ヴェレーナ(シシー・スペイセク)からいつも馬鹿にされながら家事と薬草作りだけに生きてきた。厳格で仕事一辺倒の妹の前で姉ドリーはおどおどとしているだけ。そんなドリーを支えているのがインディアンのハーフだと言い張る黒人女性キャサリンなのであった(彼女に言わせるとリンカーンも黒人・インディアン・白人の血を併せ持つらしい)
両親が亡くなってしまい父親の従姉妹に引き取られることになったコリンは優しくロマンチックなドリーに一目惚れしてしまうのだった。(コリンは少年でドリーはおばあちゃんに近いくらいなんだけどね。この辺の設定は「遠い声、遠い部屋」と同じ。孤児になった少年が引き取られ、片方は近寄りがたく片方には打ち解ける。そして黒人女性が側にいる)
ドリーのイメージはカポーティ作品のミス・スックと重なる。内気でイノセンスな女性。
カポーティの理想の女性はそういう人だったのだろうか。(カポーティはまたマリリン・モンローにもイノセンスを感じ取ってフェアチャイルドと呼んでいる)

妹に人に会わせるのも恥ずかしい、と言われたドリーはコリンと仲よしの黒人メイドのキャサリンと共に木の上の家に家出する。
なんだか本当に子供みたいでおかしいがそこにはコリンの憧れライリー(ショーン・パトリック・フラナリー)やクール判事がやって来て仲間となっていく。
妻を亡くしていた判事は優しいドリーに惹かれてキャサリンやコリンも一緒に引き取って結婚を申し込みたいという。
ドリーは快く引き受けるが勿論妹は反発。
だが口争いするうちに妹ヴェローナはドリーが羨ましかったのだと泣き出してしまう。ドリーは妹を抱きしめながら離れないわと約束した。判事は二人の間に入ることは出来なかったのだ。

カポーティが郷愁を込めて描いたほのぼのとして悲しい物語。出演陣が素晴らしくさすがに見ごたえあり。綺麗なエディくんはその横顔だけでも惚れ惚れなのでこれもまた観る価値あり。自分のガールフレンドとライリーが一緒に出て行った時に台詞はないのだが、どちらに嫉妬していたかはカポーティということで考えてみれば自ずと判るというもの。
カポーティ作品はちょっと変わってて面白い。小説の信奉者はあの美文は映画に出来ない、と思うものだろうが、私としてはこのアメリカ南部の雰囲気が好きでもっと見せて欲しいと願うものである。

監督:チャールズ・マッソー  出演:エドワード・ファーロング ショーン・パトリック・フラナリー パイパー・ローリー シシー・スペイセク ウォルター・マッソー ジャック・レモン メアリー・スティーンバーゲン
1997年アメリカ



ラベル:家族
posted by フェイユイ at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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