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2007年07月24日

「小説家を見つけたら」ガス・ヴァン・サント

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何と言っていいのか。一言では言い難い作品であった。なのでいつもだがだらだらと書いてしまう。
まず最初に言っておきたいのは自分としてはとても好きな作品なのである。

だがその内容を分析(なんて難しく言わなくてもいいが)してしまうとまずは物凄く「グッド・ウィル・ハンティング」に似過ぎていて監督は同じガス・ヴァン・サントなんだからどうした事かと考えてしまう。しかも主演のマット・デイモンが最後に登場してくるわけでこっそり真似したとも言えないではないか。
埋もれた才能を持つ少年がある時、突然その才能を見出される。彼に理解のある教育者(ここでは小説家でもあるが)が彼の道しるべとなる。といった具合。しかも頭のいい金持ちのガールフレンドが出来るというところまで同じ。
だがまあ監督が同じであるなら内容が似ているからと言っていけないわけではない。他人と似てるのは問題だが、似た内容を再度作るのはそれなりの意味があるのだろうし、中味がよいなら問題はない(と思う)
しかし正直、天才同士が偶然出会って互いに好意を持ち互いの才能と精神を高めあう、なんていう気恥ずかしくなるような設定は苦手なのである。その辺は「グッド・ウィル・ハンティング」の時も感じたのだが、二人の若造(マットとベン)が書いた脚本ということでまあ納得はした(偉そうだな)あえてガス・ヴァン・サントが同じような話をまた作ったのはなぜなのか、とやはり考えてしまう。

では違いは何かというとウィルには家族がなかったのにこちらには暖かな家族(母と兄)がいることとウィルにはいた親友が逆にこちらのジャマールにはいない。ウィルの時は彼の理解者が友人と二人の教授に分かれてしまってたのがこちらでは小説家であるウィリアム(グッド・ウィルと同じ名前っていうのもややこしい)一人になっているのでその分濃厚な関係になっている。
というならそこの部分がこの映画の描きたい要素であったのか。

ブロンクス育ちの黒人少年であるジャマールとかつて一冊の素晴らしい小説を出版しただけで世間から身を隠してしまった小説家ウィリアム・フォレスターとの出会い。
ジャマールはバスケットが得意でありながら実は隠れて小さな手帳に小説をこつこつと書き溜めていたのだ。ひょんなことからジャマールはウィリアムの部屋に忍び込み、その手帳の入ったバックパックを置いてきてしまう。彼の手に戻ってきた時、その手帳には彼の文章の手直しと批評がびっしり書き込まれていた。

今も読み継がれている一冊の名作を書いた失踪した老作家とこれから成長していく才能ある若者が誰も来ない一部屋で何日も語り合い教え学んでいく。なんという羨ましい貴重な時間であろうか。
若者にとっても老人にとっても掛け替えのないひと時であったと思う。
そんな感慨を持ちながらもそれを支える設定、演出、ストーリーに自分としては不満を持ってしまうのだ。

もう一つ「グッド・ウィル・ハンティング」と大きく違うのは主人公が黒人である、ということだろう。
変な話、主人公を黒人にしたということで予算も観客動員も変わってしまうはずだ。金髪碧眼のマット・デイモンが主人公なのとでは全く違ってくるに違いない。
よく似た話。でもあえて作ったのは少年が黒人ということだったからなのだろうか。

この黒人少年ジャマールを演じたロブ・ブラウンが可愛いったらない。監督がガス・ヴァン・サントなので当たり前だがメチャ美少年なのである。美少年っていうか凄く可愛い男の子なんである。時々はっとするほど綺麗できゅんとしてしまうほどの魅力なのだ。
そのブラック美少年が街中でバスケットをやってる姿は涎が出るほど美味しそうなのであるが、それを双眼鏡で覗き見してる変態親父がショーン・コネリーである。皆は渋いだのどーのと言ってるがこれはもう絶対変態なんであって単に顔がコネリーだからかっこいいだけなんである。
なんという都合のいい事かブラック・ビューティは彼の方から老人の部屋に忍び込む。
そして二人は出会い、二人きりで何度も密会するのである。
なんて羨ましい!!どっちが。よく解らんが、007と美少年が人目を忍んで部屋に閉じこもってるんである。一緒に食事をしたりデートしたりこれに何か作者の陰謀がないとは思えないではないか。

と興奮したりもさせられる映画なのであるが、どうしてもどうしても色々とひっかかってしまうのだ。
最も残念なのはクロフォード教授。彼が単なる悪役というだけで終わってしまったのが空しい。
私としてはコネリーを出さず、クロフォード教授とジャマールの話でもよかったんでは、とも思う。
天才、とかではなく一度本を出しただけのクロフォード。今でも大人気とかじゃなくていいからそれはなかなかいい本でジャマールはその小説を好きだったとか。クロフォードとフォレスターが合わさったような人物で彼自身も変わっていく話などどうだろうか。全てのストーリーが変わってしまうが。(挫折した者にもチャンスをくれ)

そんなんで凄く好きながら残念な気持ちが残る作品だった。残念だけど好きでもある。
フォレスターとジャマールの話をもっと深くやって欲しかったとも思う。

マット・デイモン。彼を見たくてこの映画がずっと気になっていたのだった。
物語のラスト、フォレスターの消息を伝える役。マットは語り口がよいのでぴったりの役である。
笑顔も素敵だった。うれしい。

もう一つ思い出した映画は「苺とチョコレート」部屋の中で話してるっていうだけで別に共通点はないんだけど。

監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ショーン・コネリー ロブ・ブラウン F.マーリー エイブラハム アンナ・パキン バスタ・ライムス
2000年アメリカ


ラベル:教育
posted by フェイユイ at 18:27| Comment(2) | TrackBack(0) | マット・デイモン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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