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2007年09月21日

『シェルタリング・スカイ』ベルナルド・ベルトルッチ

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本当ならばまず愛と死について、登場人物の行動と思想についてなど語るべきだろうが、私には映画と言うより自分が旅をしているかのように感じられる作品だった。

まさしく我が『放浪記』にぴったりの映画と言わせてもらいたい。あてどもなく旅を続ける夫婦と一人の青年。
サハラの町の情緒も豊かに流れてくる音楽。彼らの旅の行方は決して甘く優しいものではないのだが、自分もそこへ行きたいと酷く惹かれてしまうのだった。

自分と愛する人を見失い愛し合いながらも何故か互いにすれ違いを感じている10年目の夫婦。殆どの夫婦がこの主人公達に共感できるのではないかと思うのだが。嫌うわけではないが何か心の中にもやもやとしたものがある。怒鳴り殴りあうわけではないがかつてのようなときめきは薄れてしまっているのだ。
そんな二人が彷徨うのはサハラ砂漠。今まで当たり前だった便利な生活から切り離され周囲にあるのは砂嵐、ハエなどの虫の大群、不衛生な環境、不味い料理。
だが目の前に広がる風景のなんと美しいことか。そこは何もない砂。どこまでもうねる砂漠の波。「知恵は砂漠からやってくる」と『デューン砂の惑星』に書かれていたが何もない砂漠の中で人は考えるものらしい。

最後にキットが元の店に戻り着いた時、その時彼女達を見送った老人(声=原作者ポール・ボウルズ)が彼女に「迷っていたね」と声をかける。随分長い迷子だったわけだ。
冒頭には「旅行者(ツーリスト)と放浪者(トラベラーズ)は違う」という台詞がある。旅行者は最初から帰ることを考えているのだと。
彼らは放浪者となり3人で出発したが最後には一人となった。

月の砂漠の場面も美しい。駱駝のキャラバンのシルエットもまた。
若い時観たらあまりよく判らなかったのかもしれない。それに女性には特に心惹かれる映画ではないか。ハンサムな青年まで連れているわけだし。私としてはマルコビッチがとても好きなのでずっと彼と幸せでいたいけど。

幻想的で異国情緒溢れる映像と音楽も合わせて心に残る物語だった。
これは忘れられない作品だ。

監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:デブラ・ウインガー ジョン・マルコビッチ キャンベル・スコット ジル・ベネット ティモシー・スポール
1990年イギリス


posted by フェイユイ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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