映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2007年09月26日

『Jの悲劇』再び ロジャー・ミッシェル

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で、今夜は『Jの悲劇』である。
今回も『ザ・トレンチ』『レイヤーケーキ』に続いて半分(ま、4分の一くらい)ベン・ウィショー目的ありである。
ベンがどこに出てたのかなど全く覚えてもいなかったのだが、観てなるほど。またも相変わらず変人的な様相の学生君であった。

しかもかなり目だった演技でやや力入りすぎかも、というくらいなのだが、痩せてて不気味で(主人公を付け狙うストーカー男に勝るとも劣らない)いかにも友達いなさそうである。しかも『レイヤーケーキ』同様ここでもダニエルに近寄って行ってすげなくされる可哀想な奴なのだ。
幾度か出てくるが特に最後のシーンはせっかくダニエルに近づいていくのにあっさりふられてしまう惨めな学生なのだった。

この作品は私がダニエル映画を初めて観たものでそのせいもあって一度目の記事は殆ど手探り状態。これもよく判らずに妙な事書いてて赤面であった。
今こうして観なおすと、ダニエルのよさが凄くよく出ていると思う。冒頭の気球に飛び掛り飛び降りる他にはアクションというようなものはなくそれほど体も露出していない。
つまりは007的な魅力は封印されているのだがそのくせ不思議にセクシーなのである。
精神の奥底まで追い詰められて崩れていくインテリ男が実に合っている。嫌っているはずなのに却ってその男の事ばかり考えてしまわざるを得ないのが皮肉である。
“恋愛”についての講義をしている作家でもある講師が恋愛とは何か、全くわからなくなってしまう。
不気味な男がひたすら自分に言い寄ってくる。これは恋なのか、違うものなのか。

のどかな郊外の草原で恋人とくつろいでいたジョーは操りそこねて浮き上がろうとする真っ赤な気球を追いかける老人とそしてその中には少年が一人残っているのに気づき助けに走る。
まさに飛び上がろうとするその気球に何人かの男達が飛びついた。
なんとか取り押さえたと安心した瞬間、突風が吹き再び気球は少年と周りにしがみつく男達と共に浮き上がってしまった。
誰からともなく男達は手を離し地面に降り立ったが、ただ一人医師である年配の男性だけがその手を離さなかった。
ついに我慢できなくなった時、その医師は地面に叩きつけられたのだ。
ジョーは手を離した自分を悔い、医師の死を受け止めることができなかった。

衝撃的な導入部に惹きこまれジョーが苦悩する男であることがわかる。その後、同じく気球と共に舞い上がった正体不明の男ジェッドから執拗に追いかけられることになる。
ジェッドはジョーと自分を同類化してしまい、次第にどれを信じているのか嘘なのかわからなくなってしまう。
クレアという恋人がいてインテリであるジョーは付回されるうちに精神と行動が異常なものになっていく。

姿が見えたり見えなかったり、カーテンで合図を送っているという実しやかな幻想も嘘か実かなにもかもが不明瞭になっていく。

事件が解決した、と思ってもクレアの心が引き寄せられるかはわからない。そしてエンドロールの後にジェッドの姿が映し出される。
小奇麗になって施設のような部屋で何かを書いている。
その笑顔からはまだ彼の“恋”が終わったわけではない=ENDURING LOVE (原題)なのが判るのだ。

監督:ロジャー・ミッシェル  出演:ダニエル・クレイグ サマンサ・モートン ビル・ナイ スーザン・リンチ ベン・ウィショー
2004年イギリス


posted by フェイユイ at 23:31| Comment(2) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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