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2007年09月28日

『300 <スリーハンドレッド> 』ザック・スナイダー

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非常に興味深い映画だった。何と言っても面白いのはここでのペルシャ軍の姿というのはまさしくアメリカ軍隊であり、ペルシャの王クセルクセスはブッシュにしか見えないということだ。

と言っても普通に考えればペルシャを中東(西アジア)の姿、白人であるスパルタ人にアメリカの姿を重ねてしまうはずだ。なのにそう思って観ると全く逆転して見えてくるのだ。

映画ではアジア諸国と言ってるが世界の国々を味方に引き込んで「我に跪け!」と仁王立ちしているクセルクセスはブッシュとしか思えない。
一方、命を捨てて(若い息子の命も犠牲にして)突進するのみのスパルタ王レオニダスとその部下はテロリスト集団そのものである。

そうなるとこの映画がアメリカでは物凄く受けている、というのは奇妙にも思える。
『シン・シティ』の作者でもあるフランク・ミラーの原作コミックを私は読んでいないが、そういった逆転の意味合いは含まれていないのだろうか。偶然なのか。
そう思わずに作ったのにそうとしか思えないというのだったらそれも奇妙なことである。

単に美しい映像と目を見張るアクションを楽しめばいい、というのもいいのだが、私にはそっちの方が面白かった。

あの凄まじい矢の攻撃を見た時、チャン・イーモウ監督の『英雄』を思い出した。中国の武侠ものには表向きの娯楽の面と裏でしか言えない中央に対しての抗議の意味がある。
アメリカでは別にこうした裏に隠した意味などという表現をしなくとも表現の自由はあるのだが、あえて面白がって作ったのでは、とさえ思えてくる。

で、この作品の感想だが、上にも書いたように美しい映像は一場面ずつが絵画のような素晴らしさで作り上げた体も見得を切った仕草も表情も見惚れるばかりだ。
残酷なはずの殺戮も血飛沫も全てに形式美が当てられて観る者を堪能させる。
レオニダス王の髭にも見惚れたし、クセルクセスがかっこよかった。

だがその戦いぶりは片方がブッシュで片方がテロリストなので私としてはその両方に感動できない。
そうは言っても攻撃されたのだから反撃すべきだろう、といわれるだろうが、これは映画なわけであえてこの話を選んでいる、こういった話に作り上げている、そのことに感動できないということだ。

ところでレオニダス軍の作戦は狭い峡谷で大軍を阻むというものだがあの位置だと効き目があるのか、ちょっと不思議だった。
確か黒澤映画(『七人の侍』だったか)で一人ずつ敵を入れて殺していく、というのがあってそれだと判るが本作だと一番前の人が疲れるだけのような気がする。(ま、大軍の数が凄いので一人ずつは大変だけどあっちは敵が少なかったから)

私としては『墨攻』の方が好きだ。あっちは一人対10万人だったな。
決して攻めない。無理なことなのだろうか。

監督:ザック・スナイダー 出演:ジェラルド・バトラー レナ・ヘディ デヴィッド・ウェンハム ドミニク・ウエスト ミヒャエル・ファスベンダー
2007年アメリカ

追記:書き損ねた。
かっこいいクセルクセス王はロドリゴ・サントロであった。あの大きさは嘘だろう。美しい人である。

ところでスパルタと言えば年上の男と少年がペアで戦う、というイメージでなにか怪しいものを期待したのだがなかった。残念。


ラベル:戦争
posted by フェイユイ at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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