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2007年11月20日

『夜叉ケ池』三池崇史

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DVDであるとはいえ、芝居というのはどうしてこう面白いものなのだろう。同じ空間でさほどの背景があるわけでもなく幾人かの人間が出たり入ったりして台詞を語るだけなのに、情景が見えてくるのはどういうことなんだろう。これを映画として場所を選びCGなど駆使して作り上げたならここまで豊かに感じることはできないのだろうが。

武田真治、田畑智子、松田龍平、松雪泰子という若い役者たちがメインの芝居ではあるがなかなか面白かった。特に武田真治はぞくりとするような色っぽさがあって一つ一つの動作から目が離せないのだ。
松田龍平も独特の台詞回しが面白く味わいのある演技をしている。
田畑智子が絶世の美女と思しき若妻・百合を演じているのも面白いし、松雪泰子が魔物の世界の姫君・白雪というはまり役である。
また丹波哲郎、萩原聖人、遠藤憲一、きたろうといった個性派が脇をしめる。
丹波哲郎氏は黄泉の国から現れいでたるという雰囲気でまさにぴたり。伝説の鐘を撞き続けてついに命尽きる老人と魔物姫の乳母役であるが声がやはり素晴らしい。
きたろう氏は姫の恋人の手紙を運ぶエロくて情けない坊主役と百合の叔父でなんとも性根の腐った男役。彼がこの劇の一番の悪役であり重要なのだがさすがに巧い。
萩原聖人と遠藤憲一の二人組みがおかしくて、姫にいれこんでいる鯉(萩原)とその彼をひそかに愛している蟹(エンケンさん)という設定なのである。
全体にギャグやら駄洒落やらがちりばめられていて飽きないし、それがまたちょっと色っぽくておかしいのだ。
かと思うと人間と魔物の間の約束が断ち切ることができない悲しさや苦しみ。二組の恋人達の深い愛が激しい口調で語られて感動させてくれる。

泉鏡花原作の芝居ということで様々な組み合わせで映画化・舞台化されているのではあろうが、演出が三池崇史、脚本に長塚圭史。そして武田真治と松田龍平の共演というこの作品の魅力はちょっと他に変えられない。
武田真治の作品をそれほど観ているわけではないが、とても好きである。なんだかちょっと腐った感じのするところが素敵なのだ。

演出:三池崇史 脚本:長塚圭史 美術:会田誠 原作:泉鏡花
出演:武田真治 田畑智子 松田龍平 松雪泰子
2004年日本


posted by フェイユイ at 23:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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