映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年02月09日

ジェイ・チョウ、日本のTV出演予定!

CURSE OF THE GOLDEN FLOWER.jpg

『王妃の紋章』公式サイト
によりますと

『2月11日(祝・月)、フジテレビ系「笑っていいとも!」のエンディングゲストにジェイ・チョウが出演予定です!
そして、2月12日(火)はNTV系「ズームイン!SUPER」、フジテレビ系「めざましテレビ」に出演予定。お見逃しなく!』

だそうです。
これは見ねば!!!!


posted by フェイユイ at 01:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 周杰倫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ 』三池崇史

SUKIYAKI WESTERN.jpg

DVD鑑賞なので音声は日本語にも英語にもできるわけだが、せっかくなので英語で鑑賞した。
しょっぱなからクエンティン・タランティーノがガンマンとして登場してくる。源氏と平家がとある村に埋蔵されているお宝を巡って抗争を繰り広げる所へ一人のガンマンが流れてくる、という三池崇史監督らしい破天荒な物語である。
作りもコメディであるし、心ゆくまで楽しめばよい、という作品なのであるが、そうそうどっぷりと楽しみきれなかった感もあった。
とんがった批評をする作品でもないし、する気もないし、感想もハチャメチャに楽しませてもらおう。

なかなかに面白かったのはそれぞれの役者がたっぷり楽しんでいる雰囲気でかっこいいのは見ごたえあり。
殆どの英語は誰が聞いても下手にしか聞こえないだろーが私はどーせわかんないから、まあそれはよい。
ただし肝腎のハチャメチャ感が思ったほどには感じられなかった。三池監督は幾つか観てくると感じるが、それほど映画というものにさほどの執着心というものはなくてそこそこ楽しめるものを作ればよい、というタイプのように思える。その辺の適当さがいいといえばいいのだが、それがうまく当たる時と当たらない時があってそれは人それぞれの好みの問題なのだが、今回は私にとっては少々ハズレだったようだ。
とはいえそれでも全然つまらないわけではなく上に書いたように伊藤英明、佐藤浩市、 伊勢谷友介がそれぞれに独特の個性あるかっこよさで安藤政信も入れ歯までしてせっかくの美貌を崩したり、香川照之は相変わらず小技をきかせ動くたびに音がするなどおかしい演出で凝っている。桃井かおりがかっこいい女であった。
なのに何か物足りないしつまらないのはどういうわけなのか。ストーリーなどというとまたそんなものはない世界なのだと言われそうだが、かっこよさ、面白さを追及するためのストーリーは必要なわけでせっかくの源氏・平家と薔薇戦争をかけた面白さが表現できていたのかなと勿体無くも思う。
源氏・平家のパロディといえばすぐに高河ゆん『源氏』を思い出してしまうがあのようなめちゃくちゃさもなかったような気もする。
ガンマンが村にやってきて平家と源氏が二手から出てくる様は黒澤明『用心棒』だろうが、無論この映画と比較するわけにはいかないだろう。
何と言っても源平合戦をマカロニウェスタンでやっているわけだが、マカロニウェスタンを別の舞台に移した映画作品といえば『マッドマックス2』がある。
なるほど、本作は『マッドマックス2』と似ている。というか両方ともマカロニウェスタンが下敷きだから似ないわけはがない。
伊藤英明がメル・ギブソンでお宝がガソリンだった。何となくガソリンと言うほうがこのガソリン高騰の折、切実に感じられもする。
大人の中に一人男の子が登場するのも同じだったりする。
だがめちゃくちゃにスピード感があって恐ろしいほどのかっこよさがあった『マッドマックス2』に比べればどうしても見劣りがしてしまう。
またガンガン人を撃ち殺すのはサム・ペキンパー『ワイルドバンチ』だがこれもまたしかり。
それにしてもこの2作品にしろ、かつてのマカロニウェスタンにしろ、皆シリアスであった。シリアスな残虐さだった。
本作は残酷だがコメディである。コメディというのは「コメディなんだから、そう目くじら立てるなよ」と笑って逃げられる道がある。
題材がシリアスであれば手法としてコメディで笑わせるというのがうまいし、題材がふざけていればあえてシリアスで攻めてみる。
シリアスな作品はシリアスであればあるほどおかしさがこみあげてくるという怖さ、またはこんな残虐なものをシリアスに見せるなんてという非難をあびてしまうという怖さがある。シリアスにこだわりながら破天荒な映画を作るのは難しいだろうが観ているほうはのめりこんでしまうものだ。コメディが格下でシリアスが上等だとかそういうことではなく、とことん酔わせてほしいのだ。
笑ってしまうほどシリアスになって欲しいと思ってしまう。コメディは最初から笑うことを前提としているのでその楽しみがない。
だがここで思い出してしまったのは以前三池監督が「残酷な映画ばかり撮っていたら駄目だと言われた。じゃあどうすればいいと聞くと、お笑いなら残酷でもいいと言う。笑いながら残酷と言うほうがよほど酷いのではと思ったがそうしなければ作れないのでコメディで作る」というようなことを言われていたような記憶があって、確かに三池監督はそうした特長がある。日本ではシリアスにふざけるのが禁止されているのなら、もうどうしようもないが、こういった映画をシリアスに破天荒に作ったのを観れたなら、と思ってしまうのだ。
タランティーノもコメディ側なのでなかなか今シリアスの残酷は難しいのかもしれないが。
前回観た三池監督『ぼっけえきょうてえ』はシリアス度が強かったのが面白かった。

佐藤浩市=清盛はぶっ壊れていて楽しかったが、 伊勢谷友介 =義経は不満がある。いや、とてもかっこいいとは思ったのだがそれだけにもう少しゲイ的な要素をいれて欲しかった。
最初、ガンマンに「かわいい奴」などと言っている雰囲気でそういう方向かなと思っていたらそうでもなくてせっかく石橋貴明=弁慶が女になってしまって義経にせまってくるのにとことん嫌ったりせず、そういう関係になってみてもよかったのではなかろうか。
『マッドマックス2』でもヒューマンガスの懐刀みたいなモヒカンがゲイで美青年とタンデムしてるのがアメリカン暴走族とはちょいと違うテイストで好きだったのだが、日本の義経もゲイな魅力を持っていて欲しかった。三池監督案外意気地がないのでは。ていうかサービス精神が不足。大人のウェスタンなのだからその辺是非トライして欲しいものだ。

などとあれこれ注文をつけながら考えてみるのも他にない可能性のある映画だからこその楽しみであるだろう。

塩見三省氏は本作でネイティブアメリカンの役だと思うのだが、どうだろう。

監督:三池崇史 出演:伊藤英明 佐藤浩市 伊勢谷友介 安藤政信 石橋貴明 木村佳乃 香川照之 堺雅人 小栗旬 クエンティン・タランティーノ 桃井かおり
2007年日本
ラベル:コメディ
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2008年02月06日

『ケリー・ザ・ギャング』グレゴール・ジョーダン

NedKelly2.jpgNed Kelly.jpg

オーストラリアで絶大な人気を持つという実在した人物、ネッド・ケリーをヒース・レジャー、その仲間の一人をオーランド・ブルームが演じている。

オーストラリアの歴史といえば知っていたのは「犯罪者の流刑地であったこと」と「白豪主義」だったということ。
この映画はまさにその歴史の物語である。
教科書だけの知識とこんな風に映画でそれが一体どのような状況だったのかを知るのはまったく違う。
こうして観るとイギリス人の権威は絶対的なもので中国人移民、流刑されてきた人々やその家族に対しての暴虐がとんでもないものだったことが判る。もともとの住民アボリジニに対する描写は殆どなかったが、想像を絶するものであったのではないか。
本国においてもイギリスのアイリッシュに対する差別意識の酷さは『麦の穂をゆらす風』などに表されているが、遠く離れたこの土地でも、というか離れたことでさらに無法状態なまでの圧政になっているのではないだろうか。
ヒース=ネッド・ケリーはイギリス人警察の言いがかりで3年の刑に服役させられたのが10代の時である。
ようやく出所して懸命に働こうとしてもそちらの方がよっぽど無法者としか言えない警官達から馬を盗まれ、妹にちょっかいを出され、母親を投獄され、反抗すれば犯罪者になってしまうというどうしようもない状況に追い込まれていく。あまりのなす術のなさに観ているだけで苛立ってくるがイギリス人自身が法という社会なので虐げられた存在でしかないアイルランド人たちには同じ人間としての発言権など微塵も与えられないのだ。
愛する母親を投獄され行き場もないネッドは3人の仲間を連れ、ギャングとなって銀行強盗などで金を奪い貧しい人々に与えていく。
焦りだしたイギリスは破格の賞金をネッドと仲間にかけ、大勢の捜索隊を構成して彼らを追い詰めていった。

政府にとっては反逆者であり強盗だが、貧しい人々にとっては英雄だったネッド。
ついに捕まった時は3万もの助命嘆願署名が集まったらしいが刑は執行され25歳の若さで亡くなったという。
が、その人気は絶えず忘れられる事もなく次々と映画化されミック・ジャガーもネッドを演じて有名だったということでイギリス圏でのネッド人気というのは相当なものなのだろう。特にオーストラリア本国での人気は不動でオリンピックの時も鉄甲と鎧をつけたネッドのイメージキャラクターが大勢でオープニングを行進したというのだ。

ヒース・レジャーはネッドに似た部分があると言う。家族思いで反骨精神があり、信念のために戦う勇気を学んだと。
同じように20代半ばで命を失ってしまったとは。

ネッドの死に逝く時の様子は奇妙でさえある。不恰好な鉄の鎧と甲を身につけピストルを撃ちまくる。
生い立ちと状況を知らないなら笑ってしまいそうだ。
その姿はどう抵抗しようもない強大な圧政に何とか立ち向かう力なき者の反逆の形なのだ。
そんな格好をしても結局は負けてしまうとわかってはいても彼らはそれしかなかったのだ。
乗りこなせない荒馬を撃ち殺せとイギリス人が命令する。「どうにかします(から、殺さないで)」と申し出るネッドの言葉を無視して馬を撃ち殺してしまうイギリス紳士。
この時、ネッドはその馬と自分を重ねただろう。

ネッドが10歳の時、溺れかけた少年を助けたお礼として与えられたサッシュ(腰に巻く布)をずっと巻いていた為に博物館に残されたそれには血が付着しているという。

語り継がれた英雄譚の映画化のためか作品自体はそれ以上の何かを訴えるまでにはいっていないようで、この歴史を知ったうえでの方が感動が湧くように思える。
どうしても日本と重ねて観る時、圧制を強いていた側という歴史があるため、このような作品により心を痛めてしまう。
理屈もなく人間の尊厳を無視したこういう社会がないことを願う。

本作のヒースは大柄で髭面のネッドになりきっている。『ブロークバックマウンテン』にも伺えるが、荒くれた生活を送る無口な男を演じるのが似合う。本人は非常に繊細な人のように思えるのだが。
オーランド・ブルームという人気俳優が出演しているのも面白い。女性にモテモテの二枚目という役だ。勿論、抜群に似合っている。
ナオミ・ワッツ。ネッドと恋に落ちるイギリス人・人妻。人種差別もあるが女性の立場も悪そうだ。他に13歳の少女と同衾している男も登場するし。何もかも荒れているように感じる。

監督:グレゴール・ジョーダン 出演:ヒース・レジャー オーランド・ブルーム ナオミ・ワッツ ジェフリー・ラッシュ ジョエル・エドガードン
2002年オーストラリア
posted by フェイユイ at 22:26| Comment(2) | TrackBack(0) | オセアニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オダギリジョー主演、キム・ギドク監督最新作の公開が決定!

オダギリジョー主演、キム・ギドク監督最新作の公開が決定!

いつも観るまでに時間がかかってしまうキム・ギドク映画ですが、今回は日本人俳優しかも超人気オダギリジョーということで対応早いですねー。
ちょっと笑ってしまいますが、これでDVD化も早いでしょうし、楽しみです。
ラベル:キム・ギドク
posted by フェイユイ at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月04日

『続・西太后』李翰祥 

続西太后.jpgThe Empress Dowager.jpg
西太后/The Empress Dowager

『西太后』の続編。
前回に比べるとかなりスキャンダラスでエロティックな内容になっている。とはいえ中国映画なので露骨にセックスを描いたシーンはないもののある意味それ以上にキワドイ雰囲気を感じてしまう。
まずは夫である前皇帝を亡くし未亡人となった西太后の入浴シーンでちらりと小さく裸体が映るだとか、寝室であえぎ声がするのをカメラが映すと西太后がお気に入りの宦官・小李に足指をマッサージさせているのだとか、色っぽいのかナンなのか、何しろ西太后ももう40歳を間近という年齢でもあるし熟女趣味の者にしかあまり興味も持てない色気と言う気はするが。
しかしこの宦官・小李は実は偽宦官で西太后はその子供を生んでいるというのだからこれはスキャンダルだ。その子供はどうなったのだろうか。
それにしても西太后が女性のおっぱいを吸っている場面はどういう意味があるのだろうか。つまり直接乳房からお乳を飲んでいるのだが。
美容と健康のために母乳を飲む、ということなのか。それともレズビアン的な行為を暗にほのめかせたシーンだったのか?他に意味が?

今回の皇帝・同治帝は陳道明が演じている。大好きではあるがこの時彼は30代半ばだろうに、同治帝は17〜19歳ほどの時期。「もう子供ではない」などという台詞を言わねばならないから凄いなあ。
しかし皇帝とは名ばかりで実際の権威を持っているのは二人の母親、東太后と西太后である。彼の実の母は西太后なのだが、彼は優しい東太后の方にばかり甘えていくという不思議な関係である。

若い同治帝は召使の一人桂連という少女(コン・リー)を気に入ってしまう。
桂蓮が宮中の奥に向かうのを目にした同治帝は後を追う。そこは華やかな宮中とは違い寂れ果て年老いた女性達がたむろしているのだった。彼女達は前皇帝の側室の成れの果てで絹のクズを集めて刺繍の内職をし、宦官に街で売ってもらいなんとか暮らしていっているのだった。

西太后は同治帝が桂連に夢中になっているのが気に入らず、小李に頼み彼女を外へ出してしまう。小李はとんでもないことに桂連を我が物にしようと企む。だが言う事を聞かない桂連に腹をたて売春宿へ追い込んでしまうのだ。
とことん気の強い桂連をコン・リーが演じている。といってもこの映画に出てくる女性は皆本当に気が強い。というか荒々しいというか。コン・リーはいつもそうだが、似合っている。

さらに西太后は同治帝の皇后になった娘も気に入らず(その娘は東太后が選んだ娘なのだが、自分の選んだ側室を同治帝がまったく相手にしないので怒ったのだ)会うことすら禁じてしまう。
同治帝はお忍びで街へ出ては花街へ向かう癖がついてしまい、性病を患うことになるのだ。
またこの時妊娠していた皇后に対し、西太后は殴る蹴るの暴行を加ええる。
心優しい東太后は西太后のあまりの冷酷さにさすがに怒りの声を上げる。他には傲慢な西太后も東太后には歯向かうことができない。東太后は前皇帝から「東太后を守るように」という命令が入った小箱を持っていていざとなればそれを用いて西太后に罰を下す事ができるのだ。西太后はその力には対抗できなかったのである。
東太后の怒りはついに西太后に落ちようとしていた。だがここで彼女はいかに自分が憎まれ役となって皇帝と国を守ってきたかを訴える。言い終えて倒れた西太后の足から血が流れる。側女がその血は東太后を救うために西太后が自らの太ももの肉を切って特別の飲み物を作ったのだという。東太后は西太后の思いやりに涙し、前皇帝の命令書を焼き捨てる。西太后の口元にうっすらと笑みがこぼれる。

以後、西太后は同治帝の皇后に拷問を加え殺害。東太后は謎の死を遂げる。
それ以降。西太后はさらに権力を増していくのだった。

皇帝とは名ばかりで西太后の前で跪かねばならないし、非常な緊張をしいられている。天然痘で亡くなった、と言う建前だがじつは性病が原因だったという話。
東太后の死も西太后の仕業だったのかそでうなかったのか。
また西太后が本当にこのような残忍な性格だったのか、と疑えばきりがない。
ひ弱な10代の皇帝を陳道明が演じている。やはりステキである。
劉暁慶の西太后は本当におっかない。こんな女性だったように思えてくる。
コン・リーはいつもチャーミングな女性だ。

同治帝のお忍びシーンで当時の風俗を感じられて楽しい。これではお忍びもしたくなるというものだ。

監督:李翰祥 出演:劉暁慶 陳道明 コン・リー
1989年中国

ラベル:歴史
posted by フェイユイ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間 』デヴィッド・リンチ

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TWIN PEAKS: FIRE WALK WITH ME


さてさてついにやっと観ることができた『ローラ・パーマー最期の7日間 』これはTV版ツインピークス全話を観通してから観た方がよい(少なくともシーズン1は)
時間としてはTV版の直前の話になるわけでドラマシーズン1の最後にわかる犯人ががここで登場してくるのである。またドラマの中の謎が解き明かされていくのだが、だからと言ってTV版のもやもやがこの映画ですっきり晴れるかといえばますます謎めいて判らなくなってしまうのがデヴィッド・リンチならではの味わいとなっている。

冒頭のパートではツイン・ピークス/ローラ・パーマー事件よりさらに一年前の殺人事件が問題となる。17歳の白人少女が何者かに殺害されたのだ。
この事件を担当するのはクーパーではなくチェット・デズモンド。だがこの捜査官もクーパー同様、独特の才能を持っているのだ。
別件を扱っていたデズモンドを飛行場で待っていたのがでかい声でお馴染みのゴードン・コール(デヴィッド・リンチ監督その人)と優秀な検視官サム・スタンリー(なんとキーファー・サザーランド。丸顔で可愛い。いい人っぽい)そしてゴードンが用意していた女性リル。
真っ赤なワンピースのリルは奇妙な動きをしてみせ、慣れないサムを驚かせる。コンビを組むことになったデズモンドは事件現場の町まで走らせる車の中でリルの謎を解いていく。
しかめ面は現場の町の警察から歓迎されないということ、瞬きは上層部とのトラブル、手をポケットに入れているのは何か隠し事がある、足踏みは足を使った捜査になる、服が縫い直されているのは麻薬が絡んでいる胸についた青い薔薇の意味は説明できない、と言う。
この説明できない、と言う言葉がまた奇妙だが、青い薔薇はこの世に存在しないものでありそれを胸に着けているというのは存在しないものがそこにある、ということになる。説明できないものを捜査しに行く、ということになるのではないだろうか。
ローラ殺人事件1年前のテレサ・バンクス殺害事件から恐怖が始まっている。実際の事件でもよく言う言葉だが、このテレサ・バンクス事件で犯人が捕まっていればローラの悲劇は起きなかったかもしれない(彼女の場合は起きたかもしれないが)
優秀なFBI捜査官であるデズモンドの謎の失踪によってすべてが断たれてしまった。
キーファーの検視官ぶりもよく、この冒頭部分だけでも見ごたえ充分。
クーパーが監視カメラを使って不思議な確認をやっているところへ2年間行方不明になっていたジェフリーズと言う男(デビッド・ボウイ)が突然帰ってきて監視カメラに映りこむ。
だがゴードンに赤い部屋へ行った顛末を話している間にまた消え去ってしまったのだ。
デズモンドの後を引き受け捜査に乗り出したクーパーはテレサの爪の間に入れられていたTの字の書かれた紙から事件が連続するだろうという予感を覚えた。

そして1年後。
舞台がツインピークスに移り、後に殺害される女子高校生ローラ中心のドラマとなる。
TV版ツインピークスで美しい死体となって登場し思い出の中だけでの出演だったシェリル・リー=ローラの7日間が描かれていく。
麻薬に溺れ、開放的性生活また買春も行っていたローラの日常と苦悩が描写され、TV版でも語られていたことがローラ自身の行動を観る事でより具体的に感じられる。
ローラの苦悩は幼い時から積み上げれらたもので、彼女はいつ「ボブ」に体を奪われるかと怖れている。
「ボブ」は悪そのものでありその姿を見れる者は少ないがローラと過去所の母親はそれを感知できるのだ。
「ボブ」が父親だと知った時のローラの驚愕。
リンチのこの表現は様々に受け止めることができるのだろうが父親から性的虐待を受ける少女の恐怖を表しているように思える。
ローラ自身そのことを以前から知りつつ、確信できずにいたようだ。12歳の時からボブの姿を見ていたと彼女は言う。
その恐怖が彼女を麻薬に溺れさせ、他の男とセックスすることで父親から感じる性的な圧力から逃れさせていたのかもしれない。
だからこそ親友ドナが自分と同じ行動を取ろうとした時、そういった恐怖のないドナが「する」必要はない、と訴えたかったのではないか。
ローラの母もそのことを薄々感じながら認めたくない気持ちがあり二人のその気持ちが「ボブ」という悪魔の姿を見させていたように思える。
実の父親の自分に対する異常な性愛を認めざるをえない少女ローラの葛藤はどのように深いものだったか。
この映画のローラは狂ったように騒ぎ、走り出し、笑い、泣き出す。その激しい精神の不安定さ。まだ少年のジェームズは彼女を愛してはいるがその苦しみを背負ってあげる力がない。TV版でもローラはジェームズの純真さに物足りなさを感じ精神科医に頼るがそれでもローラを救うことはできなかった。
映画において近親相姦という題材がさほど衝撃でなくなった感もあるが、やはりそれは異常で怖ろしいことであり、被保護者であるローラのような少女が父親という権威から逃れる事はできない悲しさがある。愛している、という気持ちがあるためにそれが性と重なった時、子供はどうしようもないのだ。
ローラが父こそがボブであると確信し、父親から強姦された挙句殺される運命にあると感じる。それでもなんとか明日までは逃れたい、と願いながらローラは男達のところへと出向くのだ。
その願いも空しく、父親リーランドから見つかった時のローラの嘆き。引き裂かれるように叫ぶローラの悲しみ。
この場面は他ではないほどの恐怖に満ちている。父親から殺害される娘ローラの絶望の叫び。
赤い部屋でクーパーと共にいるローラの前に天使が現れる。
様々な「悪い行い」をしていたローラだが、それは逃れられない恐怖からくるものだった。惨たらしく殺されてしまった憐れなローラに消えてしまったはずの天使が現れたのだ。
ローラは笑う。
だがなんとなくこの笑いに悲しみも溢れているように思えてならないのだが。

原題は『FIRE WALK WITH ME 』火は私とともに歩む
業火に苦しむローラ、そしてリーランドのことも含むのだろうか。

監督:デヴィッド・リンチ 出演:カイル・マクラクラン シェリル・リー デビッド・ボウイ モイラ・ケリー メッチェン・アミック ヘザー・グラハム レイ・ワイズ ダナ・アッシュブルック ジェームズ・マーシャル キーファー・サザーランド
1992年アメリカ

posted by フェイユイ at 22:08| Comment(2) | TrackBack(0) | ツイン・ピークス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月01日

『ツイン・ピークス』シーズン 2 Vol.6 第28・29章 最終回 デヴィッド・リンチ

twinpeaks33.jpg

とうとう最後の2話を観てしまった。

一度(といわない回数だが)観たものではあるが、確かにこの終わり方は壮絶である。
ドラマというものはそれまでばらばらだったものがまとまり、謎が解明され恋が成就し物事が決着するものだが、すべてのことがより破壊されどの謎も解き明かされないまま終わリを告げる。

その最たるものはデイル・クーパーその人のことだろう。それまで正義の人だったクーパーがここで闇と悪の象徴であるボブに姿を変えてしまうのだ。
「ミスツインピークス」に選ばれた恋人アニーがウィンダム・アールに誘拐されてしまう。その跡を追ったクーパーは「赤い部屋」にたどり着く。そこでクーパーは様々な人に出会う。小人、ローラ、老ボーイ、巨人、マデリーン、リーランド、アニー、キャロライン、アール。
その人々は不思議な言葉を話す。逆さまから話す言葉を逆回転したものだ。クーパーは赤いカーテンの部屋を行き来しているうちにもう一人の自分と出会い、逃げようとしてつかまってしまう。
ボブがアールと笑っている横にクーパーも笑いながら近づいてくる。
アニーは「私を殺した人を見たわ。私の夫よ」という謎の言葉を告げる。これは将来のクーパーのことなのか。

キャサリンの兄とピートは謎の箱の中から貸金庫の鍵を見つけ出し銀行へと向かう。そこではオードリーが森の開発計画阻止運動として貸金庫の扉に自分の腕を鎖でつないでいた。
キャサリンの兄とピートが貸し金庫を開けると爆弾が作動した。
これでピートたちとオードリーは死んでしまったのか。

ドナは自分は母親とベン・ホーンの間の子供ではないかという秘密を嗅ぎつける。すっかり善人になったベンは嘘がつけない。
泣きじゃくるドナの前で父親はベンを殴りつける。ベンはどうなったのか。

ネイディーンが高校生のマイクにぞっこんになり、エドとノーマはやっと結婚できるか、というところでネイディーンの記憶が戻ってしまった。すべては元の木阿弥か。

シェリーはボビーから求婚される。喜ぶシェリーだが、その頃夫レオはアールの仕業でタランチュラの入った吊り下げられた虫かごのその吊りひもを必死で歯で引っ張りあげていた。力尽きて口を開けてしまえば自分の身の上に毒蜘蛛が落ちてくるのだ。

ツインピークスの災いも何も終わってはいない。
そしてクーパーはハリーが見守る中で違う人格に変わってしまった。アニーは命は取りとめたが傷を負って病院にいるという。
やがて退院し、アニーの言葉通りの悲劇がおきるのだろうか。

『ツイン・ピークス』シーズン2が終わった。もう随分前のドラマだが、こうして見返してみても古さというものをまったく感じない。(一つ違うのは携帯電話が出てこないことだが。私はあの携帯電話のシーンが出てくると取り上げてうるさくて投げつけたくなる。便利には違いないが、映画ドラマに出てきて欲しくない。とはいえ、でてこなければ嘘になるし。もう時代劇だけしか観ない事にするか)
都会から切り離されたような田舎町の物語だが、ホームズやミス・マープルが言っていたように田舎でこそ怖ろしい事件が起きるのだ。一見穏やかで人のよさそうな人々も裏の心を持っている。
多くの人々、多くの事件が起きていくが、どれを取ってみても人間には二面性があるということを語っている。ここではそれがホワイトロッジ、ブラックロッジという言葉で表されている。そしてその間をつなぐ赤い部屋がある。
正義の人であったクーパーが悪の顔になり、悪の見本だったベン・ホーンが善人に変身した。ローラ、ジョシー、ハリー、ネイディーンもドナもレオもジェームズも他の皆も一つの側面と違う側面を併せ持っている。
クーパーの才能が華々しかったシーズン1と違いウィンダム・アールの出現でシーズン2のクーパーは苦悩に満ちている。その代償のようにクーパーの心を和らげるアニーが登場するのだが、彼らの将来は闇の中にある。


監督:デビッド・リンチ David Lynch
マーク・フロスト Mark Frost

出演:
デイル・クーパー FBI特別捜査官…カイル・マクラクラン
ハリー・S・トルーマン…マイケル・オントキーン
アンディ・ブレナン…ハリー・ゴアス
ルーシー・モラン…キミー・ロバートソン
トミー・“ホーク”・ヒル…マイケル・ホース 
ゴードン・コール FBI地方捜査主任…デイヴィッド・リンチ
リーランド・パーマー…レイ・ワイズ
セーラ・パーマー…グレイス・ザブリスキー
ローラ・パーマー、マデリーン・ファーガソン…シェリル・リー
ベンジャミン・ホーン…リチャード・ベイマー
オードリー・ホーン…シェリリン・フェン
ジョスリン・“ジョシー”・パッカード…ジョアン・チェン
キャサリン・マーテル…パイパー・ローリー
ピート・マーテル…ジャック・ナンス
Dr.ウィル・ヘイワード…ウォーレン・フロスト
ドナ・ヘイワード(テレビシリーズ)…ララ・フリン・ボイル
ノーマ・ジェニングス…ペギー・リプトン
ハンク・ジェニングス…クリス・マルキー
レオ・ジョンソン…エリック・ダレー
シェリー・ジョンソン…メッチェン・アミック
ジェームズ・ハーリー…ジェームズ・マーシャル
エド・ハーリー…エヴァレット・マッギル
ネイディーン・ハーリー…ウェンディ・ロビー
ガーランド・ブリッグス少佐…ドン・S・デイヴィス
ボビー・ブリッグス…ダーナ・アッシュブルック
マイク・ネルソン…ゲイリー・ハーシュバーガー
マーガレット・ランターマン(ログ・レディ)…キャサリン・E・コールソン
ロネット・ポラスキー…フィービー・オーガスティン
リチャード“ディック”・トレメイン…イアン・ブキャナン
エブリン・マーシュ…アネット・マッカーシー
ウィンダム・アール…ケネス・ウォルシュ

posted by フェイユイ at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ツイン・ピークス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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