映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年06月30日

松山ケンイチ『発見。角川文庫 夏の100冊』

『発見。角川文庫 夏の100冊』.jpg

『発見。角川文庫 夏の100冊』で松山ケンイチさんがイメージキャラクターになっているのだが、たまたま夏目漱石『坊ちゃん』が買いたかったのでちょうどいいやと買いました。さすがにオビ目的で本買うわけにもいかないし、表紙に写真が使われてる太宰は嫌だし。太宰に松ケンが使われるのは青森出身だから?私的には寺山修司がよかったがなあ。
でも買わなくとも小冊子がもらえるのは嬉しいですね。

サイトの写真も素敵だなあ。
ラベル:松山ケンイチ
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2008年06月29日

『乱歩地獄』 竹内スグル 実相寺昭雄 佐藤寿保 カネコアツシ

乱歩地獄.jpg

浅野忠信さんのカテゴリ作ってたら勿論そこにいれるべきなのだが、大森南朋さんが出演されていたのでこうなった。

江戸川乱歩は大好きでまた数多くの創作者が彼の小説を映像化しているのだが、正直言って小説で読む以上のぞくぞくする喜び楽しさおぞましさというのはまだお目にかかれてない気がする。
これもどうせ、みたいな気持ちがしてなかなか観ないでいたのだが、短編にされていた為なのか、なかなか面白かった。それでも小説には及ばないと思ってしまうのは思い入れが強すぎるのだろうか。

第1話『火星の運河』監督・脚本・撮影: 竹内スグル  出演:浅野忠信 shan  森山開次  加賀谷香
浅野忠信はほんとに綺麗だな。タイトルからして乱歩としては不思議だが、殺人者の孤独感を描いたもの、ということでいいのだろうか。

第2話『鏡地獄』 監督: 実相寺昭雄  脚本: 薩川昭夫  出演:浅野忠信 成宮寛貴  寺田農  寺島進
実相寺監督作品なので安心して鑑賞。オーソドックスな乱歩世界であり、浅野忠信の明智小五郎が見れるというのもお楽しみ。こんなイメージの明智ってないような。しかもちゃんと小林少年が傍についていたのが嬉しい。基本的に自分にとっては江戸川乱歩は日本のメジャー小説の中でも突出してゲイを扱っているのが重要であるのに、映画化されるとなぜかあまりそこには触れられていない気がする。この映画でもゲイ要素は感じられない。実相寺監督のみが妖しい美少年と小五郎とのゲイ的な雰囲気を漂わせてくれている。他の方も頑張って欲しいのだが。『孤島の鬼』をやってくれないかな。
成宮寛貴が充分にナルシストな美少年ぶりを発揮してくれているし、彼と明智小五郎の目のやり取りがなにやら妖しげで傍にいる小林少年がそれに気づいて無言の嫉妬をしているという熱の入れ方である。

鏡というのが美少年をさらに美しく演出している、みごとな乱歩絵巻。

第3話『芋虫』監督: 佐藤寿保  脚本: 夢野史郎  出演:浅野忠信 松田龍平 岡元夕紀子  大森南朋
乱歩というと『芋虫』を思い浮かべてしまう人も多いのではなかろうか。想像してはいけない危険なエロティシズムなのである。
『ヴァイブレータ』でなんともいえない快感を味わせてくれた大森南朋が芋虫になってしまう須永中尉を演じている。戦地へ赴き四肢を失い話すこともできなくなった夫に倒錯した愛情を抱く妻を岡元夕紀子が演じていて美しい。
また二十面相と呼ばれている男に松田龍平。彼の美貌は乱歩にぴったりだ。もっと演じて欲しい。
あの色っぽい肉体を持ったナオさんが手足を失って転がっているとは勿体ない話だが、美しい妻にここまで愛されているというのはさすがにモテる男ということかな。
危険な性衝動に昂ぶる妻が愛する夫をますます傷つけて残された目まで奪ってしまう。
また夫も妻を許し愛を受け入れているのだ。
その現場を覗き見る松田龍平という倒錯劇。
乱歩世界がおぞましくも美しく再現されている。
惜しむらくは小林少年らしき人物を女性が演じていることでこれは実相寺監督と同じくきちんとやって欲しかったなあ。

第4話『蟲』監督・脚本: カネコアツシ  出演:浅野忠信 緒川たまき 田口浩正
これはかなりぶっ飛んでいて特に浅野忠信が見ていいのかな、と思うくらい自分を壊していた。
観ていくうちにおかしくもなってしまい、悲しくもなってしまう。他人と接触することが出来ないアレルギー性皮膚炎を起こしているタクシー運転士が恋をしてしまった美しい女優を殺害、自分の家へ連れ帰りホルマリン注射をする。
そうはしてもどんどん色がどす黒くなっていくので彩色し、それでも今度は腐って膨れていってしまうのがどうにも滑稽なのである。
彼女の腐ったからだから出てくる蛆虫に「蟲ーっ」と叫びながら己が首の皮膚炎を掻き毟るのが痒そうで辛い。
蟲って感じって虫がいっぺんに3匹もいるのが不気味だよね。
緒川たまきさんが物凄く綺麗な死体になっている。
現実の女性と接することができないオタクな青年像でもあってこの作品中で浅野忠信が一番ノリノリでやってるのかもしれない。でなきゃヤケクソで。かっこいい浅野さんがー!って感じなのである。
次第に狂っていく過程が怖くおかしい作品だった。

『ユメ十夜』も楽しかったがこういうある作家の作品をオムニバスで作るというのはとても面白くて好きだ。
短編だから退屈もしないし。どれかは好きになれるだろうし(全部駄目だとどうしようもないが)
こういう企画ってもっとやって欲しいなと思う。

2005年日本

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2008年06月28日

『ヴァイブレータ』廣木隆一

ヴァイブレータb.jpgヴァイブレータ.jpg

映画観てて主人公が羨ましくてたまんなくなる、ってそんなことあんまりない。覚えてない。でもこの女性“レイ”は羨ましかったなあ。

というのはムロン大森南朋さんがすげえ素敵だからだが。

コンビニで「あ、ちょっといい男」ってレイが彼を見るとこから思い切り感情移入。もうメチャ好みなんでホントホントって感じで観続ける。

だもんだから唐突にレイが見知らぬトラック野郎に相乗りしていきなり関係を持ったとしても自分的には何の違和感も感じないのであった。
いいなああ、羨ましいレイになりたいよお、ってそれだけ。

レイはあんまり可愛くないし(寺島しのぶってほんとに綺麗じゃないよね、でも見てるとどんどんいいと思えてくるの。不思議)今の女性らしく考えすぎで神経質で嫌な部分が時々出てしまう。
トラック運ちゃん・岡部はそんなレイに優しくて絶対怒ったりしないし。
レイは頭の中の声に怯えていて過食と嘔吐を繰り返してる女。運ちゃんを気に入って「触りたい」って言ってセックスしてしまう。
途中まではすっごく楽しくやってたのに急に頭の中で声が聞こえて気持ち悪くなって吐いてしまう。
レイを気遣って優しく擦ってあげようとする岡部をレイは「気持ち悪い」っていって突き飛ばしたりする。
でも全然怒んなくて近くのモーテルみたいなのに連れていってくれてお風呂に入れてくれる。レイが気持ちいいと思うぬるま湯で。
うーん、こんないい男っているのかなあ。またいじけてわざと溺れそうにするレイを引っ張り挙げて抱きしめてくれるんだもん。
映画観ててもこんなに優しい人だーと思う男ってそうそう見ないよ。おまけに一緒にお風呂入ってる時のナオさんの体が逞しくってすべすべしてて凄く綺麗で見惚れた。しかもレイの体を抱きしめる手が大きくてがっしりしてて素敵なの。気持ちよさそうでさ、なんて羨ましいの。

いじけてひねくれてがさがさになってるレイはいきなり乗り込んだ男のトラックで旅をする。流れていく景色、移り変わる時間。朝日、夕暮、夜の光の中で。窓を開けて叫ぶレイを笑いながら見ている男。
多分セックスしても凄く気持ちがよくてがさがさになった心が溶けていくみたいな感じ。いいなあ。

レイがまたいじけてしまって「私のことぶって」って言っても「好きだからぶてないよ」っていう男。
食堂で「また吐くから食べない」っていうと「食べないと吐けないから食べろよ」って言ってくれる。
泣いてしまいそう。

最後にコンビニの前に降り立ったレイが物凄く可愛いの。今までこんなに可愛く見えてなかったのに物凄く可愛い。どうして。すっきりしちゃったって顔して。
口笛を吹いて最後の挨拶。
あーあ、降りちゃって。勿体ねえ。
次私乗りたい私。←馬鹿。
ナオさんじゃなきゃやだけどさ。

物凄く気持ちいい映画だった。
てことはこの映画のヴァイブレータで私はいっちゃったわけだな。

旅にでたいなー。

ナオさん煙草吸ってるだけで色っぽい。

監督:廣木隆一 出演:寺島しのぶ 大森南朋 田口トモロヲ 戸田昌宏 高柳絵理子
2003年日本
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『曼谷愛情故事 Bangkok Love Story』

バンコック5.jpgバンコック6.jpg

Bangkok Love Story (US Version)
2008年8月26日発売予定となってますが、字幕がついてないような。英字幕欲しいですねー。

ネット動画で見れますがDVDで落ち着いてみたいのですがね〜。まだ日がありますし、違うパターンで出てくれないでしょうか。
ラベル:同性愛
posted by フェイユイ at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 東南アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月27日

『L change the WorLd complete set[DVD3枚組]』よりメイキング&お楽しみ

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『L change the WorLd complete set[DVD3枚組]』という奴を購入してたのでメイキング及びお楽しみディスクというのを観てみた。3枚目の挨拶辺りはさすがに全部目を通してないが。

ところでその前にちらっと『DEATH NOTE』前編など覗いてみたんだけど僅か2年前とはいえ松山くんが若い!声もまだなんとなく幼い。というかLに成り始めの声、ということだろうか。未完成なLというのか。でもやっぱりこちらのLがLらしいといったらいけないだろうか。
顔自体が華奢ですべすべでほんっとに可愛くて女の子みたい。体も細いんじゃないかなー。
私としては2年後のLのほうが好きかもしんないが、原作的にはやはり少年らしいLであって欲しいのだろうなあ。聞いてはいないけど松ケン的にも逞しくなっていく自分とLとしての理想に苦しんだりしたのではなかろうか。
『DEATH NOTE』前編の松ケン=Lは表に出慣れてない雰囲気がらしい感じを深めていたのだし“L”というのは作品が続けば続くほどらしさは薄れてしまうものなのかもしれない。

まあこれでも“L”は終わったのだから松山くんにはもっと太くなって男っぽくなってもらいたいし髭も育成させて欲しいものである。
髭は物凄く似合っているので作品としてもやって欲しいんだけどなあ。

さてさてメイキング。なんと作品の時間と同じくらいをかけて製作されている。メイキングって作品が物凄く好きならもしかしたらあまり観ない方がいいのかもしれない。映画作家志望とかでなければ。
私としてはそのどちらでもないので楽しんで観させていただいた。
“L”っぽくなくなったのでは、などと書いたが自分としては凄くステキになっていく松ケン=Lである。Lの時のケンイチくんは本当に綺麗でもうじーっと見つめずにはいられない。
ところで最後に松ケン、二階堂真希役の福田麻由子ちゃんから「Lも大好きだけどほんとはロボの方がもっと好き」と
言われずっこけていたのがおかしかった。うん。私もLよりロボが好きだからわかるなあ。
しかも麻由子ちゃん「写真撮らせてください」といって携帯を持った松ケンの手だけを写真に撮ってもらってた。凄い感性の少女である。確かに携帯持ったLの手は印象的だもんね。

いつもながら映画撮影状況というのは物凄いエネルギーの固まりみたいである。しかも殺人的猛暑の中の撮影。しかもタイでの撮影もあり。観てるだけで暑そう。『DEATH NOTE』の時も猛暑の中で撮影してたみたいでどうしてそうなるのかな。本作の後半でLとBOYとマキちゃんが屋上でご飯&お菓子食べるシーンは観てても暑そうだったが本当に酷暑だったようで。凄いもんだ。

感想記事で書き損ねたがこの映画で見惚れていたのが工藤夕貴。昔まだ彼女が少女という年齢の頃を覚えててなんかちょっと不思議な感覚の人で周りと溶け込んでないように見えてたらアメリカでばかりやってるみたいな感じになって殆ど観ることもなかったんだけど数十年(って言うと大げさか)たってみたら凄く綺麗で落ち着いた女性になってたので驚いた。地で話すところを見ると昔と変わらないみたいだけどねー。いやあ驚きました。女性って年とったほうが綺麗になるもんなんですねえ。

タイでの撮影隊の食事時、松ケンはよくみる帽子姿。私あの格好とても好きなんですが、他のファンの方としてはどうなんでしょうか。なんだか時代がよくわかんなくなるような不思議な世界に入った気がしてしまうんですが。背が高くて痩せててあの帽子だとなんか不思議な人みたいっですよね。

さて3枚目のお楽しみディスクは全部は観てないのだが、『outside of file No.15』というのがよかった。
蜷川実花さんによる松ケン=Lの写真集のメイキングである。
あの写真集に載っている撮影現場の雰囲気が見れて面白かった。射的は一発もあたらなかったそうである。おかしい。
それにしても普段朴訥とした印象の松山ケンイチさんだが蜷川さんに撮られていると次第にじわーっと色っぽさが滲み出てきて目もうるうるしてくるし、肌も微笑みもえもいえぬ色香が漂ってくるのだから写真家と役者というのは驚くべきものだと映画以上に感心して見てしまった。遊園地や街の雑踏の中でLが動いていく様子も不思議でうーん、これをそのまま映画にして欲しいような気持ちになってしまった。23日間、ウィルスから世界を救うというより自分自身を見つめていくLというのでよかったんではないだろうか。ま、子供向け作品なのでそういう地味さでは集客できないだろうけど。大人版Lというのをもう一度撮ってくれないかな(笑)いやいいんですけどもう。

ところで松山ケンイチさんがこの中で「ライトや久條さんは間違っているけど一番希望に満ちている。そういう人は本当の悪じゃない」ということを言っていて(正確ではないけど)やっぱり映画に引っ張られているとは思いますねー。悪人は希望に満ちてたりするもんでしょう。希望とは言わず、野望というのだろうが。
彼もまだまだ成長すべき余地があるということでしょうか。
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2008年06月26日

『網走番外地』石井輝男

網走番外地.jpg

何故唐突にこれを選んだのか自分でも覚えてないのだが。ずっと観なきゃと思いつつ今回初めて観たのであった。
映画自体は観てなくとも物凄いインパクトのあるタイトルで重くて怖ろしいイメージを持っていたのだが、実際観てみると意外やとても明るく(といっても刑務所ものだからね)想像するような陰惨なものでもなくひょうきんな健さんを観ることができたのだった。
事実がこのようなものなのか判らないが他の刑務所ものに比べると所内の雰囲気もそんなに悪くないし、壮絶なイジメだとかがあるわけでもない。特に新入りに対しても穏やかだったのでほっとしたり(なにほっとしてんだか)少々拍子抜けだったり。強姦をやった奴なんかは得意げに自慢話を始めるがブラジルの『カランジル』だと電流流されてたからなー。男として許されないらしい。
何事にも完璧なイメージのある高倉健だが、ここではまだ若く思ってもいない悪さをしてしまう自分を馬鹿だ馬鹿だと責めていたりする。
刑務所ものをやたらと観てしまう自分だが、突然歌が流れてきたりしてびっくりさせられるもののそんな所も独特の味わいとして(といっても昔はこういうの多いような)びしっとまとまって人情に溢れたいい映画だった。

雑居房連中の脱獄計画を阻止する老人(嵐寛寿郎)が凄みがあってかっこいい。馬鹿をやってしまうが真面目でやさしい橘(高倉健)を老人も保護司の妻木(丹波哲郎)も守ってやろうとするのである。
ある日、雑居房内で脱獄計画が始まる。橘には病気の母親がいて早く会いに行きたいのだが刑期はあと僅かなのだ。
同房の依田に引きずられ仕方なく脱走してしまう羽目になる橘。しかも依田と橘の腕は鉄鎖で結ばれてしまっているのだ。
アメリカ映画にそういう設定があるということだが自分は未観。雪深い北海道の平野を鎖で離れられないまま逃げる二人の男。
なんだか危険な関係になりそうだなと思っていたら凍える夜に依田がくっつかないと凍死するぞということで抱き合って互いの体を擦るうち健さんの頬にキスしたのには参った。健さんにキスするなんてふてえ奴だ。
途中恩義のある妻木の奥さんを依田が殴って怪我をさせてしまう。妻木たちが追いかけてくる中、二人は雪原をトロッコで逃げていく。ここはなかなか迫力ある場面だった。
飛び降りて妻木をまいた二人は線路で鎖を断ち切ることにする。走ってくる機関車で鎖を断ち切らせたが、依田がその際に転げおちて怪我をしてしまう。やっとおっかさんの所へ向かおうとするが怪我をしたままの依田を放っておけない。ぐずぐずする間に妻木が追いついてきた。
最後は橘、依田、妻木3人ともが相手を思いやる心を見せる人情厚い物語なのだった。
男っぽくて温かいエンディングにこうこなくちゃなあとじんとしてしまう。橘が依田を助けようとする気になったのが彼がつぶやいた「おっかさん」という言葉だったというのも泣かせる。ほんとは寂しがり屋なんだってさ。
健さんも丹波さんも嵐寛寿郎さんも男らしくてかっこいい。そんな映画だった。

監督:石井輝男 出演:高倉健 南原宏治 丹波哲郎 嵐寛寿郎 安部徹
1965年日本
ラベル:人情
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2008年06月25日

新井浩文についての告白2

ぼくなつ.jpg

というわけでレンタル&購入できる範囲で新井浩文作品を観てしまった。今はネットで動画を観ることもできるからも少し作品観れそうだが一応すべて観たというところ。
いやー作品面白かったし、新井さん観れば観るほど好きになってしまいますねー。勿論惚れこんでしまった『青い春』の若い頃も(ってまだ若いですが)ステキですが最近のでれっと疲れた感じで少し肉がついてきたのもまたひとしお魅力を増しておられます。好みなのですわ。
髭&もしゃっとした髪型もいいです、ふふふ。
出演している映画がかなりの確率で好きな分野なのは嬉しい限りです。

また近々蒼井優主演作品でも観れるし『ぐるりのこと。』も凄く期待できそうな感じなので(すみません、映画館に行けないのでDVD待機中)もー嬉しいばかりです。
昨日松山ケンイチ=L観て新井浩文観ると身長は同じくらいですが漂う雰囲気なんかが物凄い違うのでくらくらしそうです。
松ケンくん綺麗だけど、申し訳ないけど浩文さんの色っぽさにはまだ達していないのだよなー。頑張ってほしいものです。(余計なお世話ですね、すみません)

で、ちょこっと探してたら早速こういうの見つけてしまいました。これもいいなあ、映画にして欲しいっす。

『ぼくのなつやすみ3』特別企画中島哲也演出「いま、夏休みの大人たちへ」
ラベル:新井浩文
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『ガリレオ 3』第5・6話

cap181.bmp

TVドラマ『ガリレオ』放送中一切観てないが、第6話「夢想る」に新井浩文さんが出演していたのでそれのみ観ることにした。

と思ったのだがちらっと見たら第5話「絞殺る」に大後寿々花ちゃんが出てたので急遽観ることに。モチロン松ケンと共演した『セクシーボイスアンドロボ』でファンになってたからである、
とりあえず、こちらの感想を言うと大後寿々花ちゃんは少し成長してるんだけどまだまだあどけない顔立ちでしかも性格はしっかりしてるというギャップが面白いのだった。『セクロボ』また観たいなあ。
さてこのドラマは福山雅治が天才的物理学者で四角四面の発言ぶりと感情派刑事(そんな言い方あるか)の柴咲コウの掛け合いが面白い、という奴なのだろうな。柴咲コウはまだいいとしても福山にはまったく興味を持たない自分なので彼が活躍しているとこは早送り。
謎解きは大好きなのでこういうドラマを観るのは嫌いではないがそれにしてもなんだかなあ。弓矢のトリックは成功するのかどうかは私にはわからないものの面白いとは思うけど、何も知らされていない奥さんが突然ホテルでダンナがベッドに横たわっているのを見て冷静に手紙を読むかなあ。しかも深く愛し合ってるという設定なのだ。まず手紙なんぞ目にはいらないまま助けを求め、救急車を呼んでしまうと思うけどね。まったくの他人なら却って読むかもしれないが、愛するダンナでしょう。まだ助かるかもしれない、と思わないのか。医者でもないのに。
まあお遊び的に面白かったかな。でもまだ『コナン』のほうが面白い気がする。

さてさて本命の第6話「夢想る」
なにこれ。新井浩文の出番が少なすぎる!!!(泣)だから福山見たくないって。(っていうわけにはいかないか)もー新井さんが湯川さんならいいのに(って無理だろ)でもまあ、なんか犯罪者でいつもの新井さんらしいとも言えるし、物凄くサイケな衣装でいつもと違う感じも観れて楽しかった。もじゃもじゃ髪似合っててすてきさ。
謎解き的には一体どういう理屈なのか、納得していいのかどうかよくわからん。水に浮かぶ文字にいたっては何故そこまでしなければいけないのか不可解。
それに閉じ込められた原因って福山だろ。てめえがのこのこ来るからいけないんじゃないの。ここんとこまったく計算できてないよな。二人が会った時点でどうこうしてもよかったんじゃねえの。なんで柴咲が謝るのかわからない。
話のすべてが破綻してるとしか思えん。言いたいことはわかる気もするがもっと話をよーく練りこんで欲しかった。人間関係の説明が適当すぎるんだもん。
ま、いいか。とにかく新井浩文のサイケな占い師姿を観れてうれしかったです。

出演:福山雅治 柴咲コウ(RUI) 北村一輝 品川祐(品川庄司) 林剛史 福井博章 伊藤隆大 渡辺いっけい 真矢みき 大後寿々花、新井浩文
2007年日本
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『L change the WorLd 』中田秀夫

L change the WorLd.jpg

どういうわけか注文していたDVDが早く到着したので早々と観る事ができた。パッケージの裏に「これを見て、今日もいい一日にしてください。」と書いてあるのでなんじゃら、と思ってたら内容を観て納得。なるほど(そう感動することもないが)

とはいえ実は今日これを観るのはかなり迷ったのであった。なにしろここ最近新井浩文作品に凝ってしまってたので、想像するに子供っぽいに違いない『デスノート』のその後『L change the WorLd 』を観れるだろうかと。
ところが意外や観はじめたらそれは杞憂に過ぎず、結構楽しんで観ている自分がいた。
無論、予想通りの子供っぽいとしか言いようのない物語で気楽に観れるといったらまだお世辞であって時々あまりの緊張感のなさに却って眠気を催してしまう。Lの命があと23日しかないんだ、という悲壮感というか寂寥感というようなものがまったく漂わない内容でそれでいいのかどうなのかよくわからない。あんまり盛り上げすぎるのもどうかと思うが結局Lが死ぬことに嘆き悲しむ人はまったくいないわけで、それこそが悲しいことなのだな。以前『ガッチャマン』を観た時、地球の平和を守る為に戦い続けたガッチャマンが死んでも誰も悲しむ者はいないのだ、彼らはそういう存在なのだから、という言葉があってもう涙が溢れてしまったものだが、Lもそういう存在なのに映画自体が実にあっさりして現代風というかドライというか、昔の物語のように涙を誘わないのだなー。ま、いいか。そういうやり方が受ける時代なのだと己に言い聞かせる。
それはいいとしてもとにかく『デスノート』時代から物凄く狭い世界の物語なのは変わらず。タイだ、アメリカだ、日本中の人々を巻き込んでいくのだと騒いでいるのにも関わらず物凄く近所だけで何人かだけのやり取りのみで進行していくように感じてしまうのは何故なんだろうねえ。なんだか、舞台劇を観てるような気持ちになってくるのだ。設定やストーリーが非常に子供向けなのは子供向けの作品なので文句をいう筋合いもないと納得しよう。
それよりもこの作品で描かれているのはLと二人の子供の関係なのだ。今まで誰も(ワタリですら)Lに命への希望、生きたいという願望を持たせなかった。Lに生きる楽しさ、希望を教えてくれたのは幼い少女と少年だったのだ。大人相手だった時、何の感動もなかったLが幼い命を相手にした時、彼らを守りたいという気持ちが彼自身も気づかないうちに芽生えてしまったのだろう。子供が自分より小さな存在を感じた時、急に大人びた気持ちであやしてしまう、そんな風に見えるのだ。
ただそれに気づいた時、Lの命はもう終わっていたのだ。でも彼の最期の微笑みは彼が初めて感じた喜びだったんじゃないかな。

まあ自分的には松山ケンイチを観たいという目的だったわけで、これは申し分ないほど彼を中心に動いていく様が描かれていたわけで(時々メインが少ししかでないような作品もあると思えば)充分満足いく作品だったのだ。
さすがに3度目のLというだけあって松山ケンイチのなりきりぶりは通常のそれを凌いでいるし、行動的なLという設定も楽しいものだった。
まさにLの最期を描く為だけの設定・物語・進行だったと思える。ワタリとの幸せそうな生活の様子だとか、いつものLらしい仕草(パソコンを打つわざとらしい手つき)相変わらずの服装、猫背はますます酷くなっているようだ。いつもは大人相手だったのであまり感じなかったが今回子供と比較してしまうのでL(つまり松ケン)って意外と大きくて逞しいのだなとバレてしまったんじゃなかろうか。
それにしてもLってほんとにワタリだけからしか愛されなかった人間なのだ。それがホントに可哀想だ。Lがいなくなるということで誰も寂しくならないような気がする。これで終わりでもどこかほっとしてるような(私がってことか。Lが大好きでLを恋人とか親友にしたいって人もいるのかね。大体松ケン自身友達になりたくないって言ってたしね。ほんとに可哀想な人だ)

Lになってる松山ケンイチはとても綺麗で見惚れてしまう。最期を迎えたLの心が少しずつ息をしているように思えて切なくなってしまうのだ。生きたい、という希望を持った時、Lは死を迎える。そんな変化をとても繊細に表現している。
子供のような作品だけどやっぱりLという存在は松山ケンイチという役者を通して他にない魅力的なキャラクターであることは確かなのだ。

監督:中田秀夫 出演:松山ケンイチ 工藤夕貴 福田麻由子 南原清隆 福田響志 佐藤めぐみ 平泉成 鶴見辰吾 高嶋政伸
2008年日本

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2008年06月23日

『青い春』豊田利晃

青い春nn.jpg青い春d.jpg

読み返してはいないんだけど、一回目観た時の記事もめろめろで書いてたんだよね。
でもそん時はさ、まだ新井浩文のことも知らなくて松田龍平が好きじゃないという状態で観ててそれでもぐさりとやられてしまったんだった。2度目観ると感動が以前ほどじゃなかったりする時もあるけど、これに関しては(1度目がめろめろだったうえで)それ以上に打ちのめされて観てしまったよ。

まあどうなるのか知ってっからもうただひたすら青木と九條の顔を見てたんだけど。
ただひたすら青木の九條への告白の映画なんだよな。
青木はもうずーっと九條が好きで好きでどうしようもないくらい好きなんだけどさ、うまくそれが言えないんだよね。
そりゃ男が男に「好き」って言うのはちょっと難しい。彼の場合は恋愛というんじゃなくて友達として好きなわけだけど、でも唯一無二な関係になりたくて九條にそれを言って欲しいんだよ。「お前は他の奴とは違う。お前とはずっと一緒だ」って。でもそれを言うのも恥ずかしいし、どう言っていいのかわかんないの。
馬っ鹿だなあ。言えばいいのにさ。
九條が青木に「どこか行っちまえ」って言った時青木は「ここが大好きなんだよ」って叫ぶけど「ここは」の部分は「お前が」って言うべきだったのに。

屋上で九條に髪を切ってもらってる時の青木の嬉しそうな顔ってないよね。
「アー、シアワセ。この幸せがずっとずっと続けばいいのに。もうこのまんま屋上に九條と一緒にいたいよ」って思ってる。九條もしゃべりながら青木の髪切っててなんか楽しそうだし。間違えて切っちゃっても「おいおい」って言ってるだけだし、青木。

どっかで青木がうざったくなってしまった九條と自分から離れていこうとする九條を青木は怖れはじめる。
九條を振り向かせる為に青木が取った行動はまるで子供みたいなこと。嫌がることをしたら九條が来るんじゃないかって。九條の冷たく動かなくなってしまった心を青木は動かしたかった。自分のところへ来て欲しかっただけなんだ。
放課後、九條が帰っていくのを屋上から青木がじっとみている。じっと見て九條が来るまでここを動かないって思って屋上の柵を握りしめながら意地で立ち続けている。日が暮れて真夜中になり星が動き朝が来ても。ずっと。

朝になり九條が登校してきて青木はベランダゲームを始める。
九條より多く手を叩いたらきっと俺のところにきてくれる。そう思って。

九條、俺も連れていってくれよ。

九條はやっと気づいて走ったけど、階段を駆け上がって転んで柵を越えて走ったけど。間に合わなかった。

青木が残した影の上に桜が舞い散る。
青春ってそんな時間。

今観てると松田龍平はかっこよくてさ、青木が惚れるだけの男に見えちゃうんだよ。クールで。クールだから好きなのに自分にだけは優しくして欲しいんだな、青木。
ずっと馬鹿やっていられたらな。九條はいつもかっこよくて人の上に立つ奴で自分はそいつの一番の友達って言ってほしかった。
青木の願いはそれだけだったのに。
青木が可愛くてせつなくてどうしようもない。
馬鹿だなあって思うけど。

一度目に書いた文章とそっくり同じか違ってるか、わかんないけど、こんな感じだった。
馬鹿馬鹿って思ってしまうよ。

新井浩文をずーっと観てきても一度これ観て。やっぱりこれは凄くいい。これだけ観るとあんまりよくて新井=青木でなくなれるのかと思うくらいだけど。
ちゃんと違う方向へも行ってることはもうわかってるから凄いや。
『ゲルマニウムの夜』は違うしね。
これと『ゲルマ』のどちらがいいか、というのは苦しい。っていうか、主演だからそりゃ新井浩文的には『ゲルマニウムの夜』のほうがいいんだけど、これの青木はもう何かと比較できないくらい自分の中で愛しい奴なんで。
大好きだよ、青木。

青木と九條が煙草をつけあうとこはキスの意味だよね。殴り合いがラブシーンだし。青木がニワトリ野郎って罵られるのは勿論オカマ野郎って言われてんだけど。


監督:豊田利晃 出演:松田龍平 新井浩文 高岡蒼甫 大柴祐介 忍成修吾 山崎裕太 塚本高史 KEE 鬼丸 小泉今日子 新井浩文 大柴裕介
2001年日本
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2008年06月22日

『GO』行定勲

go.jpg

久し振りに観た。歯切れのいい展開、台詞回し。窪塚洋介がびんびんにかっこよかった頃だなあ。

在日朝鮮人である主人公・杉原の日本人少女とのラブ・ストーリー。脚本も演出も申し分ない出来栄えの楽しい映画なのだ。「これは僕の恋愛に関する物語だ」と主人公が何度も念を押すのだが、実際に面白いのは彼女との恋愛部分より、父ちゃん母ちゃんのアツアツぶりだとか、喧嘩早い主人公の親友が学校一の秀才で杉原に落語からシェイクスピアまで教えてくれるとこだとか、何と言ってもボクサー親父との喧嘩シーンは印象的なのである。このシーンが凄くよかったので私はこの行定監督と言う人はアクションが得意な人なのかと思っていたのだが、特にそういうわけでもないようで逆にびっくり。凄くかっこいい殴り合いだと思う。
日本人少女とのラブ・ストーリーは、一風変わったところのある美少女に杉原が惹かれていき、とてもうまくいってたのに「僕は日本人じゃない。国籍が韓国なんだ」と打ち明けたところで突然彼女の態度が変わって別れてしまい、半年後彼女からの電話で再会し、再び打ち解ける。というところで終わっている。
ラストシーンでいつも巧く飛び越えていた門の柵を杉原が飛び越え損ねて転んじゃうのが何とはなしに未来を予感させもするし、彼女の父親の中国・朝鮮韓国人への差別意識を聞かされた以上、困難は絶対やってくるのだろうな、と判っている。
それらをもうしっかり認識した上で少年と少女は雪の夜を笑いながら進んでいく、うまいラストなんだよね。

とにかく彼女との恋愛物語なのだが、杉原=クルパーと親父の関係、そして秀才の友人・ジョンイルとのつながりに惹かれてしまう作品なのである。作品の冒頭にも出てくるのだがクルパーがジョンイルから借りたシェイクスピアの一節「薔薇の名前が変わってもその香りは同じ」という言葉はぐっときてしまう。

さてさて新井浩文はこれが映画デビュー作のようだ。杉原が日本人の高校へ行く以前、同じ朝鮮人学校にいた。短髪で喧嘩早い奴なのだ。
その後の彼のイメージの原型みたいな感じだろうか。
それほど印象的な場面はないのだが、朝鮮語を話しているのを観れたのがよかったかなー。
それにしても新井さんの作品はデビュー作からしてスゲエ面白い映画なわけでなんだかそういうとこでも感心してしまう。

監督:行定勲 出演:窪塚洋介 柴咲コウ 大竹しのぶ 山崎努 山本太郎 キム・ミン 新井浩文 細山田隆人 村田充 大杉漣 塩見三省 萩原聖人
2001年日本



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『少年たち3』第2話〜第5話

少年たち.jpg

第1話では少々退屈を感じたが2話〜5話は一気に鑑賞。非常によくまとまった優れたドラマであった。
とはいえ、自分は『悪(ワル)』なものに惹かれる性(サガ)であるゆえ、こういうまっとうなドラマが大好きとは言い難いわけで(ムロンこれはドラマの中の話なので実生活とは違う。大人の脳で考えてもらいたい)あるが、それでもなかなか涙したりさせられたのであった。特に可愛いサユリちゃんの話はぐっときてしまう。彼女の母親が本当に更生したことを願いたい。どうしても信じきれない自分なのであった(ドラマ中に母親の暴力シーンがあったら、殴ったり煙草の火を押し付けたり、火傷させたり、などを見せられたら視聴者としてはその女を信じるなーと叫ぶだろうが、そういう場面が一切なかったのでいまいち騙されている気がするのだ。かなり年上のお兄ちゃんが一緒だから少しはいいが)
若干、こううまく行くかな?という気もするがそれでも正義感溢れる主人公の行動力は観ていて楽しいものであった。
沢田老人はいいんだけど自分としてはちょっとウザいところもあるわけで。しかし彼がいなくて広川一氏だけでは他の少年はいいとしても北川少年のようにまでなってると出会ってすぐの男にそうそう心を開くものでもないだろうから、その辺でどうしても必要な役だったのだろう。
実のところ、私としては新井浩文演じる北川と沢田老人の関係のみが深く描かれているドラマが観たいわけである。
男同士の関わりというのをやらせたらもうたまらなくいい新井浩文なのであるが、このドラマでもしっかりそういう関係を成り立たせていたのだとちょっと興奮気味の自分なのであった。
北川を追いかけていくなら必ずその体に刃をつき立てられると判っていながら彼を放っておかなかった沢田老人。その愛情をためすかのように沢田老人にナイフを向けずにはおれなかった北川の心の揺れが狂おしく感じられる。映画だったらこの箇所に焦点をあてて描けたのになーと思うわけなのだが、それでも沢田老人と北川少年の心のつながりには、びんびんと共鳴してしまうのだった。
そしてこれが映画へと向かったのが新井浩文主演映画『ゲルマニウムの夜』なのだろう。あの中で沢田老人は罪の子・朧の懺悔を聞く神父へと姿を変え、再び苦しむことになる。そういえばここでの新井浩文の不良ぶりは他の映画での不良姿と違い、『ゲルマ』の朧に似通っているのは偶然だろうか。ほっそりした美しい少年のイメージなのである。

ここまで新井浩文の朧と重なるイメージを以前のドラマで観れるとは思ってもいなかったので実に嬉しい驚きだった。
おまけに自分はモーターサイクルライダーに惚れる癖があるのでその意味でも落ちてしまったのだった。

というわけでドラマ自体の出来栄えも感心できるものだったし、新井浩文鑑賞としては思いがけずも涙モノだった。

ドラマとしてはなんといってももたいまさこさんの裁判官は特筆すべき。彼女の裁判官ぶりはもっとたっぷり観たいほどだった。時間が短すぎる。彼女の裁判官シリーズも作ってもらいたいものだ。

演出:岡崎栄、磯智明、田中正  脚本:矢島正雄  出演:上川隆也 麻生祐未 新井浩文 成宮寛貴 佐々木和徳 遠藤雄弥 小林桂樹 金田明夫 浅野和之  近藤綾子
2002年8月17日から9月9日まで放映。全5回。
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2008年06月20日

『少年たち3』第1話

少年たち3.jpg

数年に渡って数話ずつ放送されたNHKドラマ『少年たち』の第3弾。

家庭裁判所の調査官・広川一(上川隆也)が先輩である小田朋子(麻生祐未)のいる中信濃支部へ転任するところから始まる。
正義感が強く大らかな感じの広川さんは前知識がなくともすんなり観れたが、先輩の小田さんがややテンション高めでちょっと掴みきれない。観ていけば慣れてくるのかもしれないが。
昨日まで観ていた同じくNHKドラマ『クライマーズ・ハイ』とは違い、いかにもドラマというのんびりした雰囲気。
その上判り切った展開、というのが続くので少々苛々したりもする。
おまけに新井浩文が全然出てこない。もしかしたら同姓同名か、勘違いか、と思ってたらかなり後の方でやっと数秒。
2002年ドラマなので凄く若くて細くてかっこいい。モチロン、不良役だ。金髪だし。出演なしだったら、怒りまくりだったが数秒でも観れたからいいや。

たいして深いつながりもない若者達がつるんで親父狩りをしたのは何故か、という物語(この少年たちの中に成宮寛貴がいる)
その内の一人の少女が中年男をメールで呼び出し、まんまとやってきたところを少年4人がぼこぼこにして金を奪っていたのだ。被害にあった男が警察に訴えたところ、その少女が自分の娘だったという話。少女は父親だとわかった時「殺してもいいよ」と少年たちに言うのだ。
まだはっきりとはしてないが他の少年にも親たちへの憎悪があり、その感情が彼らを結びつけている、という話のようだ(まだ先は観てないけどね)
少年の一人はまだ小さな妹と二人暮らし。母親は男と別居していて、妹を連れ帰っては暴力を振るうのでまだ16歳の兄は新聞配達をしながら妹を守っているのだが、この事件を犯してしまうのだ。

頼りない大人達と迫害を受ける子供達、それらの摩擦から生まれる犯罪が絶え間なく繰り返される。
ドラマそのもの、というより実際の世の中の事件について考えさせられてしまう。

第1話目だからか、くどさを感じさせられるがどういう展開になっていくのだろうか。
新井浩文の話はまだちらりとしか出てきてないし。新井演じる北川晃一が沢田虎一(小林桂樹)に金をせびりに来て、次の場面で沢田老人が顔を腫らしているのである。
広川氏と先輩の関係もよく判ってないし、次の話が楽しみである。

親父狩りにあってた最初の親父が蛭子能収さんだったのがおかしい。まさか蛭子能収さんが。

演出:岡崎栄、磯智明、田中正  出演:上川隆也 麻生祐未 新井浩文 成宮寛貴 佐々木和徳 遠藤雄弥 小林桂樹 金田明夫 浅野和之 近藤綾子
2002年8月17日から9月9日まで放映。全5回。
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2008年06月19日

『クライマーズ・ハイ』清水一彦(前編)、井上剛(後編)

クライマーズ・ハイ.jpgクライマーズ・ハイ2.jpg

DVDが全編・後編で分かれていたので二夜で観ていくつもりがあまりに面白くて一気に観てしまった。
タイトルの『クライマーズ・ハイ』は危険な山登りをしている時、気持ちが高ぶりすぎて危険を危険と感じることもなくなってしまい一気に登っていってしまう状態のことをいうとのこと。怖ろしいのはその高揚感が切れた時。もしまだ登山途中ならもうその場から動けなくなってしまうのだと言う。
ドラマの中で登山ではないのだが、気持ちがその状態になってしまう状況が表現されている。またこのドラマ自体が物凄いハイスピードで展開していく為に観る者もハイな状態になってしまうようだった。

もしかしたらもう少し長く時間をとって余裕のある構成作りをした方がよかったのかもしれない、と思うほど中味がぎゅっと詰め込まれた感のあるドラマで出だしなどかなり集中力が必要だった。
非常に面白いエンターテイメントであると同時にそれだからこそ考えさせられる部分もある。
物語の始め頃と終わりにつながりのあるエピソードが語られる。地方の新聞社に務める主人公・悠木(佐藤浩市)が部下に命令を下すのだが、それがもとで(と悠木は思った)部下が事故死するのだ。
その数年後、世界最多の死亡者を出す日航機墜落事故が起き、全権デスクに任命された悠木はそれに没頭する。
その途中でかつて事故死した部下の従姉妹という少女が悠木に「大きな事故だけが騒がれ、小さな死亡事故は問題にされない」という投書を絶対に新聞に載せろと詰め寄るのだ。
原作者・横山氏は実際に新聞記者をされていた、ということで実際にあったことかもしれないがなんだか妙にひっかかるエピソードなのである。

この話は少女という形を借りた作り手側の言い訳(というのが問題なら釈明)のように思える。
少女の従兄弟である事故死した青年は「事件・事故の被害者の写真を何故載せる必要があるんですか」という疑問を持っていた。
そして少女の事故の大きさによって扱いが違うという疑問。
それは報道が商売である以上当たり前のことなのだが、反面携わる人々にも葛藤があるのだということがこのドラマで語れていくのだ。
「凄い事故だ。売れるぞ」と言いながらこれでいいのかと自問する。
その答えが架空の少女の告発という形で表現される。飛行機事故の遺族からの怒りの声と少女からの反省の電話ということで決着するのだ。
この時の悠木氏の行動はかなり手酷い。こうなることは明らかだったはずなのに少女の投書を掲載し、同時に飛行機事故で亡くなった人の最後の手記を掲載する。少女は己の考えの間違いに狼狽するという結末になっている。なんとはなしに「告発するとこういうことになるかもしれないぞ」と釘をさされたようである。
無論、当の悠木氏もミスを犯した、ということで山奥の会社(ってなんだ)へ左遷されることになるのだが、却ってそこで悠々自適の登山生活を始めることになるのだから、よかったのである。
長々と苦言を書いてしまったようだが、面白い話の中にさりげなく自分の思い(原作者、報道者、ドラマ制作者全部の)を語ってしまうとは巧いものだと思ったのだ。

さて以上は前置きなのだが(長すぎ)エンターテイメントとしての部分は(いくら言い訳してもやっぱり面白い話として観てしまうのだ)見ごたえたっぷりだった。
新聞社というのはとんでもなく忙しく荒っぽい所だというイメージがあるがそのとおりの慌ただしさと人間関係の険悪さがどろどろに漂っていてこんな場所自分は絶対ご勘弁だが、観てる分には物凄く面白い。ホントにあんな嫌な社長がいるんだろうか。他のも凶悪なのばかりで松重豊さんだけが頼りだわ。販売部ってなぜあんなに険悪なのか。
今現在もそうなのかもしれないが少し前の男の世界、という匂いぷんぷんである。
少し前、と言えばここには携帯電話が存在しない。携帯電話がでてくるドラマが大嫌いな自分なので嬉しいことであるが、「貧乏会社じゃ通信機器も買えない」といちいち公衆電話の場所まで走って電話をかけ、電話の前でかかってくるのを待ち構えているのを見るとさすがに携帯電話の普及というのは世の中を変えたのだな、と確認してしまう。
でもドラマ的にはやはりない方が盛り上がるではないか。

思うように行かない家族との関係、登山仲間・安西(赤井英和)との友情、などもこの忙しい墜落事故担当の数日間にめまぐるしく関わってくる。そして会社内での確執、報道者としてのプライド、地方新聞社ということの劣等感。先述した少女との問題。
上司たちとの大喧嘩、焼肉屋での罵りあいの後、なにか通じ合う心のつながりを感じる男達。
会社での軋轢、反抗的な長男に心痛める父親に優しく話しかける小さな娘の「お父さんも優しいね」という一言で突然我慢していたものが崩れてしまい泣き出してしまう悠木。人間って罵られるより、優しい言葉をかけられた時が泣いてしまうものだ。
そういった戦いに日々を送った40代の悠木と60歳になった悠木が友人の息子と登山する話が織り込まれていく。
まあよくこの150分間のドラマの中にこれだけ盛り込めたものである。色んな意味を持った力作なのであった。

さてさて、ムロン、このドラマを観たのは登場人物の中に新井浩文さんがいる為である。しかも大森南朋と一緒だ。しかもいつもくっついてる役であった。ふっふっふ。
今までの作品とは全く毛色が違うので役柄も台詞も大人びて(やっぱり口は悪かったが)新たな魅力だった。なんと言うことはないのだがなんでだか妙に色っぽいのだよねー。
大森さんと組んで記事を書く仕事をしていくのだが、これが結構おいしい役なのだ。事故原因を突き止めるという核心をつくのだが気弱な悠木の判断が災い(かどうかはわからないが)となってしまう。
この辺は特に緊張感を持った山場になっていく。
自分的には新井さんと大森さんが出会う場面なんかが変に意味ありげでにやにやしっぱなしだったという楽しみ方をしたのだが。

ところで新井浩文DVD鑑賞で殆どのが簡単にレンタルできたのだがこれだけはなかなか借りれなくかったのだ。ちょうど映画版が公開前ということか、NHKドラマであるこれが凄い人気だからなのか、判らないがそうなるだけの面白さだと思う。佐藤浩市はじめ出演陣も怱々たるものだ。映画版はこれ以上に面白いものができるのだろうか。心配でもある。

演出:清水一彦(前編)、井上剛(後編) 脚本:大森寿美男
2005年日本・NHKドラマ



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2008年06月18日

『血と骨』崔洋一

血と骨.jpg

もうなんだか何回も観てるような気がするが。今回は勿論、新井浩文が金俊平の息子役だということで再観。
ここでの彼は表面的には真面目な善人(という形容も言い難くはあるが)なのだがその体には父親・金俊平の因子が含まれているのだ。

この作品は映画を観る前に原作を読んでいてその頃ちょっと小説から離れてたんで久し振りに読書したんだけど、面白くて面白くて貪り読んでしまったのだった。
その後映画化されバイオレンスジャックなイメージの金俊平(何しろデカイ男なわけよ)が北野武だったんでえーとなったんだがいざ映画観るとこれがぴったりなんでまた驚いてこれも映画の出来が原作と自分としてはばっちり合ってたんで崔洋一監督に感嘆したんだった。
でまた観直したんだけどやっぱり面白くてしょうがないの。他の感想では暴力が酷い、重い暗い、というのだけど自分的にはわりとあっけらかんと乾いてて吹き出すほどおかしい場面もあるし、とても楽しく観てしまうのだよね。そりゃ映画として見てるからであって実際俊平が夫やら父やらではごめんだけど。
鍛えてはあったけど小柄なタケちゃんがメチャバイオレンスなのもおかしいし、鈴木京香さんみたいな美女を妻にして手篭めにしたり他の女を連れ込んだりスゲエ雄々しいのも笑えるし蛆のわく豚肉を食べてしまうのも強烈な笑い話みたいだ。
若き俊平が朝鮮から大阪に船でやってくる場面は『ゴッドファーザー』みたいでもあるが話はむしろ昔読んでいた中南米の小説を思い出す。
俊平はまるでマルケス『エレンディラ』の御祖母ちゃんみたいな業突く張りの死にぞこないだし、登場する女たちは男たちに強姦されるしかない運命、男たちは暴力でのみその人生を渡っていく、荒くれた運命のイメージが中南米の物語を彷彿としなくもない。
どうしても日本では日本や欧米の時としてタガが外れることはあるものの統制された理屈の世界しか理解しがたいのだが、実際にはこういった理論の通らない性と暴力の中で生きているのではないか。
俊平の行動は異様のようにも思えるが、その実彼は男性性の戯画化とも見えるのである。
彼の子供である長男は殺され、長女は自らを殺し、三男は父の死を見ながら飯を食っている。物語の語り手である俊平にとっての次男・正男は己の体に父を感じて怖れているのだ。

物語は正男によって淡々と乾いた笑いと視線で語られる。その感覚が自分は凄く好きでしっくり来てしまうのだ。
可哀想な運命の長女・花子がずっと父親・俊平に虐げられ、死んでなお父の暴力でおちおち死んでもいられずあちこち死体を運ばれる場面はかなりのブラックユーモアで何度観てもおかしい。
若い俊平が日本を目の前にして何らかの希望に満ちた目をし、壮絶な人生を過ごし、多大な寄付を母国にした老後、惨めに死んでいくという最後は最大のブラックユーモアなのだろう。

先に『ゴッドファーザー』を思わせるが、と書いたが、この作品はゴッドファーザーというよりむしろ鈴木京香の李英姫のゴッドマザーの力のほうが強いのかもしれない。
どうしても表面的には暴力を振るう俊平に注目してしまうのだが、彼異常に母親・李英姫の生命力の強さに目を見張ってしまうのである。またそれを演じた鈴木京香の美しさ、強さには見入ってしまうのである。

いつもはどうも感心できないオダギリジョーがこの作品では凄くいいのではないだろうか。美形というのはこういう狂った運命の破綻した性格の人間というのがよく似合う。
一番おししい役の高信義:松重豊。李英姫をひたすら慕い続ける一途さにはやっぱり打たれる。
正男役の新井浩文。もうここでは新井浩文とかいうより正男としか見ていない。
誰かを演じているというより正男だった、という感じ。でもやっぱり背が高くてすてきだ。自転車で張賛明に甘えるように二人乗りしていくとこが可愛い。

監督:崔洋一 出演:ビートたけし 新井浩文 田畑智子 オダギリジョー 松重豊 國村隼 鈴木京香
2004年日本


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2008年06月16日

『さよなら、クロ 〜世界一幸せな犬の物語〜』松岡錠司

クロ.jpg

自分はよく映画を作られた年代に沿って観ずに逆に観てしまう悪い癖があるのだが、今回も昨日観た『69 sixty nine』(2004年)に続いて『さよなら、クロ 〜世界一幸せな犬の物語〜』(2003年)と観てしまったためにこの泣けるはずの映画を観ながら大笑いという失敗をしてしまった。
いやもうこの映画を愛する方には以下を読まれるのはお止めしたい。すべては自分が観る順番を間違えた、ということで。

たまたま逆順番で続けて観た『69』と『クロ』(ん、これってタイトルもそのまま逆じゃん、偶然!オモシロ!)主演:妻夫木聡で脇を新井浩文が張るというのは同じ(時間は随分違うが)で結構他の出演者もカブっているのが非常におかしいのである。
しかも観始めた『クロ』は一体いつの時代の話なのかと思ってたらこれも60年代で『69』と同時期なのだ(数年違いはあるだろうが)
同じく60年代日本が舞台で同じ高校生で長崎県佐世保市と長野県松本市のこのギャップの物凄さはなんだろう!しかし佐世保市はばりばりの方言なのに松本市は完全標準語だ(嫌味を言っております)
片方のブッキーはキレまくりでバリ封鎖だの米兵のH現場の覗き見だのやりまくりで片や犬君の体を案じてあちこち彷徨い歩いてね。新井浩文にいたっては優等生からド不良への変身だ。ブロークンハートなとこは同じだったが。
すみません、違う映画なんだから比較すべきじゃないんですが。たまたま連日で観た映画が同じ出演者でまるでワザとらしい逆さま世界だったのであまりのオモシロさに一人感心してしまったのである。

とはいえ甘い顔が苦手に思えていた妻夫木くんは昨日の『69』ですっかり好きな人になっていたので今回もなかなか好青年に見えてよかったよかった。
新井浩文はここでは不良の面をとって妻夫木くんと仲良しであり恋のライバルである優等生を演じているのだが、なにしろ前半で退場してしまうので自分としては物凄い不満なのであった。
新井浩文は多くの出演映画での不良の面とこれや『天国の本屋』みたいないい人な面を演じているのだが、主演映画『ゲルマニウムの夜』での不良なのだけど頭の切れる繊細な表情そして『松ヶ根乱射事件』でのいい人のはずなのにどこかキレていってしまう、という変化があってすごく面白い。
主演に近づくほど微妙な役作りになってるわけで次はどんな面を見せてくれるのかと期待してしまう。

妻夫木くんは『ジョゼと虎と魚たち』での弱虫役も今思うとなかなか味わい深かったなーと感心してるわけなのだが、またいつか観る機会があったら今度はもう偏見なしで観れるなと思っているのである。
それにしても伊藤歩さんはうまいっすね。彼女が出てるととてもいい作品になってしまうようである。

『クロ』の映画自体に関しては確かにクロちゃんが凄い可愛かった。『69』との比較で笑ったりしたがそれでもやはり60年代の高校生たちの真面目な性格や行動がとても微笑ましい。
だがなんだかただ思い出話として描いているようにも思え生々しい心が感じられなかった。こういう話なら時間を現代に置いて誰かが誰かに昔話をするような構成にするとかが好きなのだが。
話があまりにするすると進んで澱みも屈折もなさすぎる。一番の事件は新井浩文=孝二の事故死になるのだが、ある意味この死で三角関係のどろどろが消えてしまうのだから綺麗すぎるじゃないか。
やはりどうしても佐世保と松本の人間性のギャップに驚かざるを得ないなあ。
佐世保ってスゲエ。っていうことか。
孝二くんも生きてたら東京の大学で学生運動できたのにねー。

監督:松岡錠司 出演:妻夫木聡 伊藤歩 新井浩文 金井勇太 佐藤隆太 近藤公園 三輪明日美 田辺誠一
2003年日本
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2008年06月15日

『69 sixtynine』李相日

69.jpg

観たいなあと思いながらも主演が妻夫木なのでなんだか二の足を踏んでいたのだが、これも新井浩文が出演していたと知って急遽鑑賞。
ところがこれの妻夫木はよかったねえ。これで彼を知ってたら大好きになっていたかもしんない。

妻夫木はまあネイティブといってもいいだろうから(福岡県柳川出身。本来なら地元ということで応援すべきなのにごめん)とにかく佐世保弁が非常に聞きやすくてしっくりいってたし、他のなにより(というほど観てないが)生き生きと魅力的だったんではないだろうか。全く容赦なしの方言のみの作品だったので佐賀出身の自分には非常にわかりやすい言葉だった(佐賀人には佐世保弁は福岡弁より聞きやすいのだ)なにしろ標準語の映画だといちいち九州弁に翻訳してから出ないと理解できないので(←嘘)楽しい映画だった(気のせいか、九州舞台の映画って多くないか?)方言に限って言えば安藤くんは「より方言がきつい」という役なんだけどこちらはその効果がいまいち出てなかったような。仕方ないけどね。でも他地方の方には充分だったのかな。

69年という時期もあるのだろう。熱い青春映画である。今の高校生ならこんなに熱くはなれないのかも。暑い佐世保の夏に馬鹿ばっかりやってしまう馬鹿な男子高校生たちよ。私はよくある青春映画って主人公が巻き込まれ型(自分はやりたくないのにいつの間にか引きずりこまれる)で好きじゃないのだが、この作品のケンは物凄い行動型で周りを巻き込んでいく珍しいタイプなんじゃなかろうか。
可愛い女の子にも積極的、大学生にも先生にも歯向かい戦い続ける、と思ったら最後のあの一言だもん。どこまでが本当なのかわかんなくなってしまったがもーいいや、それはそれでホラ話なのだとしてもケンのハチャメチャ切れぶりが楽しい。威張り腐った全共闘ぶった大学生にペンキをぶっかけるとこなんかホントに痛快だったもんね。そしてその後、アダマと一緒に全力逃走。学校の授業で走るのは疲れるのにこういうことだとめちゃ走り。橋の上で大学生に挟み撃ち。絶対絶命。川に飛び込もうとするケンに泳げないことをつぶやくアダマ。これは『明日に向かって撃て!』だった。なるほどー。ケンとアダマはブッチとサンダンスだったのだ。だからケンは頭が切れて、アダマはクールだったんだねー。

基地の町・佐世保。『69』ってタイトルがやらしい意味を持ってるが佐世保って響きもやらしいのさ。
エンタープライズ、ベトナム戦争、ロック、今よりは近寄りがたかったろう男女の間、今よりはるかに怖ろしい権力を持っていた教師たち、そんなものがごちゃ混ぜになった69年のケンたち。何かをしでかしたいという欲求を実現させた青春の1ページ。思い切り笑いながら時には目を背けながら楽しませてもらった。

方言も愉快だがその当時の懐かしい風物がいっぱい盛り込まれているのが楽しくて。11PMだとか、『もーれつア太郎』『狼少年ケン』コップのデザイン、冒頭のアニメーションのデザインもそういう感じ(『007』みたいなの)
ケン自体が今じゃなくやっぱり当時の高校生なのかなあ。

さてお目当ての新井浩文さん。出ましたア。お決まりの可愛い不良高校生!まだ凄い可愛い頃なんだワ。
強がって登場したのにケンとトマトジュースをラブラブダブルストロー飲み(アレってなんて言うの?)させられて。
思った以上に出番が少なかったのが残念だったけど、これも思いのほか妻夫木がすてきに見えたのが収穫だった。これから見る目が違ってくるね。安藤政信さんはいつもステキだけどここではクールなハンサムという役どころだったので特に魅力溢れてた。サンダンス役は絶対お得なんだよ。かっこいい。

監督:李相日 出演:妻夫木聡 安藤政信 金井勇太 水川あさみ 太田莉菜 三津谷葉子 新井浩文 井川遥 村上淳 加瀬亮 星野源 三浦哲郁 柄本佑 柴田恭兵
2004年日本
ラベル:青春 新井浩文
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2008年06月14日

『ゲルマニウムの夜』大森立嗣

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花村萬月の『ゲルマニウムの夜』を初めて読んだ時から朧の魅力の虜になってしまった。何度も何度も読み返しこれが映像化されることは不可能だろうなあと思い込んでいた。
そのくらい感情を込めてしまった小説というのが映画になった時、失望してしまうことが多いのではないだろうか。だがこれに限ってはまったくそういう気持ちにならなかった。
画面に登場した新井浩文は私にとって朧そのものだった。

再観して気持ちが変わるのだろうか。いや、前以上に映画の中の世界をゆっくりと堪能することができたし、彼の作品を観続けた後再会した新井浩文の朧はやはり朧だった。
北の国の冷たい空気と降り積もる雪はそのまま朧の精神のようだ。人を殺したために修道院へ戻り辛い仕事を担っていく。同性愛者ではないのにただ言いつけどおり黙々と小宮院長のモノをしごく日常を送る朧。聖女であるシスターとアスピラントの少女との肉体的つながりを持ちながら冷め切っている。仲間の気に入らない行動にかっとなり残虐性を見せる。慕っている老神父の心をも傷つけていく朧。
朧の精神は残虐だ。弱いと見ればつけこみ惨たらしい攻撃を行う。同時に強い者の前では従順となる。シスターを孕ませたことは彼の計算でしかない。美しいアスピラントに対しても性交渉を持つがそれが愛情なのかは定かではない。
朧を慕ってきた美しい少年トオルには優しい接し方をする朧である。だがトオルが朧に対して男色行為を求めても朧にはその嗜好を持たない為にトオルの一方的な愛情になってしまう。
朧は22歳の青年だがまだ大人になりきれていない未成熟な存在なのだ。朧はさまざまな人を傷つけていく怖ろしく危うい子供でしかない。心の中でいつも何かを問いかけ足掻き続けている。彼が受信するのは手作りに小さなゲルマニウムラジオだけ。細い線を伝わってやっと彼の耳に入ってくる小さな音だけなのだ。彼はその小さな音を聞くことで何かの答えを聞くことができるのだろうか。

朧は小さな子供のように残酷だ。そして小さな子供のように純粋でもある。そして偽善への激しい憤りを抑えきれない。それらは人間が大人になるために矯正されなくてはならないものなのだが。
神父は言う「朧が一番宗教に近い」
彼の生き方に人は目を背ける。だがまた彼に酷く惹きつけられる。
それが何故なのか、考えなければならない。答えはたやすく見つかるわけではないが彼と同じように足掻き続けなければいけないのだ。

朧が存在する場所は凍てつく場所であり、鶏小屋や豚小屋のような家畜を世話する仕事場である。
そこには生きているものの強烈な臭いが充満し、生産と共に死が常に隣り合わせにある。それは人間も同じでシスターは懐妊し、神父は死を迎える。人と動物は同じように血を流し、ゲロを吐き、交尾する。
朧は人間でありながらまた家畜でもある。彼は修道院の中で家畜の世話をし、家畜のように従順でなければならない。
朧は苦悩するアスピラントの少女と雪の墓場を通りぬけていく。その向こうにはキリストが十字架にかかっている。闇の中をふたりは通り抜けていくことができるのだろうか。そしてどこへたどり着くのだろう。
朧は泥濘の中を歩いていく。腐った残飯の重みでのめりながら。




幾つかの作品で新井浩文を観た後では何故彼がこんな危険な映画の主演をやったのか、と却って驚いてしまう。内容から酷い偏見を持たれてしまいそうだからだ。
ところがインタビューで新井浩文は「朧はじぶんそのものだった」とあっけらかんと答えていたのでそういう心配をするような人じゃないんだと改めて好きになってしまった。
他人に対する意味もない(と思われてしまう)残虐性と露骨な同性愛描写がいくつもの場面で登場する。日本の(普通の)映画でここまで表現されているのはないのではないか。
小宮院長、三浦隊長との絡みはえげつないものだと言われてしまいそうだし、美少年からフェラチオをされ快感を覚える場面もすばらしい、もとい危険な想像をさせられてしまう。

それにしても『青い春』『ゲルマニウムの夜』と観て好きだったのに新井浩文さんの他の作品も同じようにまさか同性愛的な意味の強い作品ばかりだとははっきり思ってもいなかったのだ。全部ではないが主演に近いほどその傾向が強いというのが凄い。『ゆれる』のように端役だと同性愛的な部分がなくなってしまい残念だった。
新井さんご自身がどうなのかという詮索はこの際やめようと思うが彼のように魅力的な役者がこういう映画にたくさん出ていることだけで嬉しくてしょうがない。
随分遠回りしてしまった自分が歯がゆいばかりだが、『松ヶ根乱射事件』を観てほんとによかった。

監督:大森立嗣 出演:新井浩文 広田レオナ 大森南朋  早良めぐみ 木村啓太 佐藤慶 麿赤兒 大楽源太
2005年日本

寺門孝之氏のポスターがすばらしい。
「シアターパーク」
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新井浩文についての告白

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松山ケンイチに続くようにして新井浩文出演作品を観続けている。知ったのは彼の方が先だが、しかもその時大好きになったにも関わらず他の作品を観ていかなかったのは今更ながら悔しくてしょうがない。ホントにしょうがない自分だがいつもこういうのを繰り返しているのだ。
とにかく新井浩文出演映画作品をかなり観た。中には彼が出てるというのを知らず観ているのもあるのでそれは再観するつもりだが。
たまたま同時期にはまり込んで観てしかも珍しく日本人役者なので松山ケンイチと比較してみたりしたいのだが、とにかく松ケン作品と違って内容的に物凄く自分の好みなのである。年齢的に年上だからというのも関係するかもしれないが作品数自体は松ケンのほうがはるかに多い。数は少ないのに主演に近いほど滅茶苦茶好きな作品が多くなる気がする。
じゃあ松ケン観るの止めろよ、と怒られそうだが、松ケンは未成熟で物凄く悩んでいるのが逆に酷く惹かれてしまうのでとてもまだまだ止められない。

浩文さんのほうに戻るが、ホントにいい作品に出まくっていると感心してしまう。観たもので『GO』『青い春』『赤目四十八瀧心中未遂』『ジョゼと虎と魚たち』『血と骨』『隣人13号』『ゲルマニウムの夜』『松ヶ根乱射事件』はどれも最高に素晴らしい作品ばかりだ。『ラブドガン』も非常に興味深い作品だったし。しかもこのうち主演と記載されているのは『ゲルマニウムの夜』と『松ヶ根乱射事件』なのだが『青い春』と『隣人13号』は主役以上に重要な役だし、『ラブドガン』では主演の永瀬正敏と宮崎あおいより新井浩文と岸部一徳の絡みのほうがはるかに面白かったし(と思うのは私の趣味のせいだろうが)
後日記事を書くことになるが『ゲルマニウムの夜』と『青い春』はもうどうしようもないくらい心底惚れこんで大好きなのだ。
決してハンサムだとか美形だとかいう範疇の人ではないのかもしれないが、長身で体の線がとても綺麗な人なのだ。不思議なほど色気があるし。
これで贔屓の人物(役者&音楽家)のカテゴリが6人になったがイギリス人、アメリカ人各一人ずつはいいとしても台湾人2人青森県人2人と物凄く偏った好みになってしまった。
好きになった日本人役者がなぜ青森県人に偏ったのかはよく判らないが。(そんなこといちいち考えなくていいって?)

新井浩文出演作品、面白くて毎日幸せな日々である。
もうちょっと観ていくことになるが再観作品も含めて楽しみだ。ドラマもあるし。



ラベル:新井浩文
posted by フェイユイ at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 新井浩文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする