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2008年06月02日

『陽暉楼』五社英雄

『陽暉楼』.jpg

ストーリー自体はよくある話という感じだが、演じる役者陣の魅力で観てしまった、という感じ。
緒方拳はそこにいるだけで何かの物語を感じてしまいそうな雰囲気があって物凄い。
緒方演じる勝造には、死んでしまった妻とそっくりの娘とどこからか引き取って養ってきたらしい娘と陽暉楼の女将、説明があるわけでもないが、それら女達それぞれと言葉にし難いようなわけありの関係が感じられる。
浅野温子演じる珠子は彼を「お父ちゃん」と呼び、しかも愛人のようでいて彼に芸者か遊郭で働きたいとねだるという傍目に奇妙な関係である。
桃若の死に怒った珠子をなだめようと勝造は「仇をうつなら俺だ」と言う。勝造は時々にしかその姿を表さないのだが、確かに女たちの運命を握っていた男なのである。
そういう勝造という男を緒方拳が演じているとたまらない魅力の男に思えてしまうから不思議である。
今村昌平監督の『女衒』での彼もよかったが、高知の女衒ぶりもかっこいいのだった。

桃若の池上季美子の悲しい運命を背負った美貌としぶとく生きていく珠子の浅野温子の若々しさに目を見張る。
やはり昔の映画を観ていると役者たちの若さにいちいち驚いてしまうのだ。亡くなってしまった人を観るのも判ってはいるがちょっとした衝撃を覚えてしまう。
そういえば昨日まで観ていた『椿三十郎』で気弱な敵の侍を演じていた風間杜夫がここでは心優しい珠子の夫役で登場。彼女を庇って死んでしまう男らしい男を演じている。

男と運命に翻弄されるとはいえ、ここでの主人公は女たち。
桃若と珠子は一人の男を巡ってつかみ合いの喧嘩をやらかすが、その後さっぱりとして姉妹のようになっていく。男たちの映画の中でよくある話がそのまま女版として表現されているというわけだ。

監督:五社英雄 出演:池上季実子 緒形拳 浅野温子 倍賞美津子 北村和夫 風間杜夫 二宮さよ子 熊谷真実
1983年日本



ラベル:女性
posted by フェイユイ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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