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2008年06月26日

『網走番外地』石井輝男

網走番外地.jpg

何故唐突にこれを選んだのか自分でも覚えてないのだが。ずっと観なきゃと思いつつ今回初めて観たのであった。
映画自体は観てなくとも物凄いインパクトのあるタイトルで重くて怖ろしいイメージを持っていたのだが、実際観てみると意外やとても明るく(といっても刑務所ものだからね)想像するような陰惨なものでもなくひょうきんな健さんを観ることができたのだった。
事実がこのようなものなのか判らないが他の刑務所ものに比べると所内の雰囲気もそんなに悪くないし、壮絶なイジメだとかがあるわけでもない。特に新入りに対しても穏やかだったのでほっとしたり(なにほっとしてんだか)少々拍子抜けだったり。強姦をやった奴なんかは得意げに自慢話を始めるがブラジルの『カランジル』だと電流流されてたからなー。男として許されないらしい。
何事にも完璧なイメージのある高倉健だが、ここではまだ若く思ってもいない悪さをしてしまう自分を馬鹿だ馬鹿だと責めていたりする。
刑務所ものをやたらと観てしまう自分だが、突然歌が流れてきたりしてびっくりさせられるもののそんな所も独特の味わいとして(といっても昔はこういうの多いような)びしっとまとまって人情に溢れたいい映画だった。

雑居房連中の脱獄計画を阻止する老人(嵐寛寿郎)が凄みがあってかっこいい。馬鹿をやってしまうが真面目でやさしい橘(高倉健)を老人も保護司の妻木(丹波哲郎)も守ってやろうとするのである。
ある日、雑居房内で脱獄計画が始まる。橘には病気の母親がいて早く会いに行きたいのだが刑期はあと僅かなのだ。
同房の依田に引きずられ仕方なく脱走してしまう羽目になる橘。しかも依田と橘の腕は鉄鎖で結ばれてしまっているのだ。
アメリカ映画にそういう設定があるということだが自分は未観。雪深い北海道の平野を鎖で離れられないまま逃げる二人の男。
なんだか危険な関係になりそうだなと思っていたら凍える夜に依田がくっつかないと凍死するぞということで抱き合って互いの体を擦るうち健さんの頬にキスしたのには参った。健さんにキスするなんてふてえ奴だ。
途中恩義のある妻木の奥さんを依田が殴って怪我をさせてしまう。妻木たちが追いかけてくる中、二人は雪原をトロッコで逃げていく。ここはなかなか迫力ある場面だった。
飛び降りて妻木をまいた二人は線路で鎖を断ち切ることにする。走ってくる機関車で鎖を断ち切らせたが、依田がその際に転げおちて怪我をしてしまう。やっとおっかさんの所へ向かおうとするが怪我をしたままの依田を放っておけない。ぐずぐずする間に妻木が追いついてきた。
最後は橘、依田、妻木3人ともが相手を思いやる心を見せる人情厚い物語なのだった。
男っぽくて温かいエンディングにこうこなくちゃなあとじんとしてしまう。橘が依田を助けようとする気になったのが彼がつぶやいた「おっかさん」という言葉だったというのも泣かせる。ほんとは寂しがり屋なんだってさ。
健さんも丹波さんも嵐寛寿郎さんも男らしくてかっこいい。そんな映画だった。

監督:石井輝男 出演:高倉健 南原宏治 丹波哲郎 嵐寛寿郎 安部徹
1965年日本


ラベル:人情
posted by フェイユイ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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