映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年08月30日

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 』再び

There Will Be Blood.bmp
There Will Be Blood

というわけで昨日『ジャイアンツ』を堪能して今回再び『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に挑んだのである。なにかそこに関連する発見があることを期待して。
んー、これが困ったことに2回目の方がよけいに感動しきれなかったんだよねー。昨日の『ジャイアンツ』があまりに判り易く且つ感動的だったせいか。資本主義の怪物の如きダニエル・プレインビューを眺めていても自分にぐさりと訴えてくる何かを感じ取ることができなかった。
筋書きや理屈だけは把握するとしても、映画として心に響いてこなかったのだ。

いつも男っぽい映画ばかり観てるのに言うのもなんだけどこの映画はどうしてここまで男ばかりなんだろうな。
『ジャイアンツ』というとジェームズ・ディーンとロック・ハドソンが話題になりがちなんだろうけど、実際にはエリザベス・テイラーの映画といってもいいし、ラズ1世、2世という女性たちも強い印象を残す。
ここで他の映画を褒めていてもしょうがないし、本作に女性が出てこないのが何故悪い、と言われても答え切れないが何故このダニエルにはまったく女性の姿がないんだろう。
だからこそダニエルは悪人だということになるんだろうか。つまりここでダニエルのラブストーリーなんかが入ったらつい同情してしまう。でなくともダニエルの母親、姉妹なんかのエピソードが入るとナンだ人間じゃないか、と彼の印象が可愛くなってしまうからなんだろうか。
『ジャイアンツ』のジェットもまた資本主義の権化となってしまう男だが彼に共感してしまうのは彼がいつまでもレズリー(エリザべス・テイラー)を愛し続けたことで彼女を慕い泣く姿は胸にせまってくる。
このダニエルは「人を好きになったことがない」というだけにまったく何もない。何もない男なのだ。一体何のために生きているんだろう。
イーライを殺したラストシーンで「終わった」と言うのだから彼の人生はあそこで終わったんだろうか。
『ジャイアンツ』のビックは負けることで勝ったのだが、ダニエルは勝つことで負けてしまったのだ。
あれ、書いてたら意外に『ジャイアンツ』との比較で面白くなってしまったじゃないか。困ったな。最初の文章また書き直すのも面倒だし。
あ、だからこうして理屈っぽく考えるにはいいけれど映画を観てる間のぐぐーっとくるようなじんわり感はなかった、ということなのだ。
確かにやぐらが火を噴いて燃えるのは凄いけど。
ラストシーンの対決は迫力ある、というより笑わせようとして大げさに演じていると思うのだがどうだろう。

アカデミー賞で『ノーカントリー』とこれとどちらが本当に賞に値するか、というのを誰でも考えてしまうのだが、私は文句なくそのまま『ノーカントリー』
それにしても、どちらも怖ろしい怪物を描いた作品ということになるのだな。
本当に怖いのはダニエルとシガーどっちなんだろうね。

監督:ポール・トーマス・アンダーソン 出演:ダニエル・デイ=ルイス ポール・ダノ キアラン・ハインズ ケビン・J・オコナー ディロン・フレイジャー
2007年アメリカ


ラベル:人間
posted by フェイユイ at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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