
BLADES OF GLORY
久し振りにがはがは笑って観てしまった。噂どおりとんでもないお馬鹿映画には違いないのだが、結構ふんふんうなづけるところもあって私みたいな中途半端なフィギュアファンじゃなく詳しい方ならもっと笑ったり感心したりするのかもしれない。
冒頭から小さな男の子がとんでもないジャンプをしたりとびっくりさせてくれる。何となくノリはチャウ・シンチー『少林サッカー』みたい。最後飛んでいくとこは『カンフーハッスル』みたいだし。
まずウィル・フェレル=チャズがフィギュア選手としては老けすぎだし太ってるしで大笑い。そんな体でフィギュアはないだろう。いくら特撮しても普段のダンスからして全然体動いてないし。またジョン・へダー=ジミーの一見イケメン選手というのもウームと唸ってしまう。たしかにフィギュアの「かっこいい〜」と騒がれてる男子選手でまじで見つめたらこんな感じだったりもする(ごめん)すべてはフィギュアスケートという魔法が彼を美しく見せてしまってるのだよねー。しかもジミーの衣装が孔雀!お尻から羽根が生えているし!これってあの可愛い顔のジョン・ウィアー選手の白鳥の手袋のパロディですな。馬鹿にしてるなーぷんぷん!清純そうなとこもイメージある。一方のチャズみたいなフェロモン男もフィギュア男子いますよねー。女性観客がキャーキャー言ってますからねー。観客とキスしたりもしてますねー。それをいちいちコメントするアナウンサー+解説のおじさんコンビの話し方もおかしくて「そうそうこういう感じ」とまたくすくす。
さて必殺技の「鉄の蓮(アイアン・ロータス)」(なんのこっちゃ。あの世っぽい名前だなあ)二人のコーチがオリンピックコーチになる為編み出した必殺技なのだがあまりの危険性にアメリカフィギュア界から禁止されノース・コリアの選手にコーチしたところなんと首を切り落としてしまったという怖ろしい映像が挿入される。ここんとこあまりに生々しくてギャグ映画なのに身の毛がよだってしまったよ。(ついこの前、関東軍の残虐行為を観たばかりだったし)チャウ・シンチーもここまではやんないんじゃないか(やってたらごめん)ふざけたお笑い必殺技だが実際のフィギュアスケートでもパートナーをスケート靴のエッジで傷つけて重傷を負わせてしまったという話はある。映画の中ではあり得ないほどの技になってるとはいえ、ペアの技は殆ど近いことをやってると思うしね。女性の手と脚を持ってぐるぐる回したり、物凄いスピードでわけわかんないくらいのリフト技とかデス・スパイラルってそのまんまの名前だし。選手だったらほんとにこのくらいの危険を感じていたりしないんだろうか。
生命に関わる技なのにここら辺から二人の関係が変化していく。
互いを馬鹿にし乱闘した為に男子シングルから永久追放されたチャズとジミーが最初はくだらないと思っていた「男子ペア」を演じることに真剣になり互いを思いやるようになっていくのだ。
ギャグ映画とはいえ懸命に練習し互いを認め合っていく二人の姿にじーんとしてしまうのだ(こういう物語って弱くてすぐ感動してしまう)
二人の繰り出す技の数々はどれもホモホモな感じで笑ってしまうんだが、男女ペアってホントにこういうセクシーなポーズをやってるわけです。
他にも仔細に考えると色んなものがてんこ盛りで描かれているわけなんだけど、才能がないと見切るや養子縁組を切ってしまう養父だとか、両親の事故死を妹のせいにしてこき使う兄姉だとか、日本語でインタビューする日本人記者に冷たくするチャズに反して日本語で答えるジミーだとか日本人ペア選手の名前が「スグリ・トミタ」になってるとか(スグリは勿論村主章枝さんだけどトミタ?体操の冨田洋之?)ジミーを付け狙うストーカー男だとか(このストーカー男がジミーの復帰を応援するのがおかしい。やっぱり有名人だからこそストーカーしたいわけである)ジミーがキスが上手くなってたのを彼女が「練習したの」と聞いたらチャズに教えてもらったとか(ゲイじゃないと見せかけて見えないとこで何かあったわけだ^^;想像したくもないけど)チャズの刺青の一つがミシェル・クワンとの愛の証だとか。チャズの大切なヘアブラシが禁止されているクジラの骨をつかってるんだとか(どういう意味?)
なんだかもう小ネタがあちこちに散らばっていて全部はとても書ききれないが、ぐふぐふ笑いながらあっという間に観終わった。
比較しなくてもいいが『少林サッカー』まではいかないまでも非常に楽しめた作品だった。
監督:ウィル・スペック/ジョシュ・ゴードン 出演: ウィル・フェレル ジョン・ヘダー ウィル・アーネット エイミー・ポーラー クレイグ・T・ネルソン
2007年アメリカ
ラベル:コメディ