映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年12月03日

『雪之丞変化』マキノ雅弘

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『雪之丞変化』は昔長谷川一夫がやったのを見てぽーっとなったものだが(それは明日また観る予定)今回初めて大川橋蔵主演を観た。

橋蔵さんといえばやっぱり銭形平次親分というイメージなので二枚目なのは知っているが女形もやれるとは思っていなかった。
『雪之丞変化』では闇太郎と雪之丞の二役になるので闇太郎はイメージどおりの男っぽい二枚目、雪之丞では初めて観る橋蔵さんの女形を拝見してその魅力を再確認することとなった。

面白いのはこの物語、それこそ昨日みたジェシー・ジェームズ団が大活躍する話なのだった。
しかもこちらのジェシーは仲間からめちゃくちゃ愛され信頼されている様子。橋蔵さんの役の一つ闇太郎のことなんだけどね。
ピストルをバンバン撃つのはどうしても好きになれないがこっちのジェシーこと闇太郎は刀すら持たず我が身一つで大勢の敵をばったばったとなぎ倒しちゃうかっこよさなのである。

実はこの物語元々は外国小説が元ネタで書かれたお話だったのだね。そのせいもあるのか、粋で洒脱な作品なのだ。
江戸で興行を始めた上方歌舞伎の中村雪之丞という美しい女形がいた。彼はかつて長崎で父親を冤罪で死刑に陥れた宿敵を討つ為、歌舞伎の世界に身をやつし機会を伺っていたのだ。
その初演の日、仇・土部三斎が里帰りしていた娘をつれて観劇していたのだ。娘は大奥で側室という身分ながら艶やかな雪之丞にぞっこん惚れてしまうのだった。
娘の機嫌をとる為、父・土部三斎は雪之丞を屋敷に招きいれる。

優美な奥方様と女形姿の雪之丞が寄り添う姿はなんとも倒錯した世界でこれはやはり日本ならではの妖しい美学でありますなあ。
しかし女装した美形の男性にぽーっとなっている日本女性は現在でもたくさんいるのでこういう美意識というのは変わらぬものなのでありましょうか。
雪之丞は親の仇のために近づいた奥方様なのではあるが彼に惚れた奥方様はそれを知っても雪之丞を助けようと高貴な身の上で江戸の町を駆けていくのでありました。

もう一つ物語が絡んできてここでもまた土部三斎とその仲間が米を隠しこんでは値段を上げて江戸の人々を苦しめていたのだが、庶民の味方ジェシーこと闇太郎たち泥棒一味は悪党金持ちからは盗み出し、庶民のために米を安く売りさばかせてしまうのだ。
雪之丞もすてきだが、闇太郎さんもかっこいいんだわあ。
おまけに姐さんと呼ぶ不思議な関係の女性がいるのだが、焼もちをやきながらもその女性に雪之丞との間を取り持ってやったりする(ま、自分なんだけどさ)姐さんも闇太郎が好きみたいなのに「雪之丞に惚れたわ〜」なんて騒いだりしてこの辺もまた独特の奇妙な味わいでございます。
雪之丞もおはつ姐さんに襲われたりするんだが(ここがまた不思議。姐さん、雪之丞に短刀で切りつけるのだ)軽く身をかわして颯爽と小船で逃げてしまう。その鮮やかさに姐さん、また恋してしまうわけで(笑)

とにかく粋でかっこいい話なんだなあ。
何度も何度も映画化されているみたいだが、この面白さは確かにずっと映像化していきたいものでありますね。

監督:マキノ雅弘 出演:大川橋蔵 淡島千景 大川恵子 若山富三郎 進藤英太郎
1959年日本


posted by フェイユイ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

松ケン今度は「銭ゲバ」個性的キャラ怪演

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松ケン今度は「銭ゲバ」個性的キャラ怪演

思いもよらぬキャラクターを演じ続けている松ケンではありますが、まさか『銭ゲバ』とは!!!

今の若い人は何それ?という感じでしょうなあ。私も全部知ってるわけじゃないですが^^;
今頃若きファンの方は検索してキャラを見て「ぎゃっ!!」となられているかもしれません。
あの顔になるんでしょうか?背も低くしないと←いやそれはいくら松ケンでも無理でしょ^^;
とにかく楽しみ!でありすぎます。
またまたTV観ることになりそう!!!
ラベル:松山ケンイチ
posted by フェイユイ at 11:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 松山ケンイチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ジェシー・ジェームズの暗殺』アンドリュー・ドミニク

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The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford

なかなかよく工夫された面白い映画だったけどちょいとくどくて冗漫に感じられた。たとえ作品時間が長くてもそうとは思わないものもあるがこれはなんだか無理に長くしてしまったような気もする。

原題も長くて『THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD』
邦題は短くしてしまっているけど、この作品は確かにジェシー・ジェームズの物語というよりボブ・フォードの心情を描いたものなので『ロバート・フォード』というタイトルでもよかったんだろうけど、それ誰?ということになってしまうのでそれぞれこうなってしまったんだろう。

ジェシー・ジェームズという強盗兄弟の末弟に熱烈に憧れていたボブ・フォード。幼い時から彼の活躍する小説を読み、彼のことを調べて自分との共通点を見つけては喜んでいた。
兄がジェームズ団の一味になったことも手伝ってまだ19歳でありながらジェシーの一味に加わりたいと願う。
だが実際に近づくとまだ子供である彼は冷たくあしらわれ、憧れのジェシーをストーカー的に眺めまわしてしまったことで追い出されてしまう。
ジェシーへの強い憧れと畏敬は次第にボブの中で変化していく。
まだ20歳のボブをケイシー・アフレックが演じている。自分も末っ子でいつも馬鹿にされ負け犬だったということがよりジェシーへの憧れと敵対心を強くしている。
ジェシーに憎しみを持ち始めてからも彼の匂いをかぎ、彼の飲んだコップから水を飲む、などジェシーと一体化したい、ジェシーの崇拝者である気持ちも残っているのだ。
ケイシーがとてもいいので余計思ってしまうのだが、この作品では別の人がナレーションをやっているせいで余計もたもたしてしまうのでケイシー=ボブの一人称で語らせていったらよかったのではないだろうか。
ボブから見たジェシーというだけでよかったような気がするのだ。

どうしてもこの作品ではボブに皆の共感が集まってしまうのだろうがジェシーのブラッド・ピットはさすがにかっこいい。
同じようなシチュエーションが『ファイトクラブ』になると思うのだが男が憧れるかっこいい男、という役柄が結構さまになるのである。そしてちょっと精神に異常をきたしている男、というのも似合う人なのだ。
孤独で誰にも心を許してなかったジェシーが最後、娘が口ずさむ詩で弛んでしまったのだろうか。ボブを信じてみようと思ってしまったのだろうか。今まできつく張っていた緊張を緩めてしまう。
このジェシーが新聞を買ってきてからボブと兄のチャーリーの激しい緊張の一幕は見応えがある。
チャーリー役のサム・ロックウェルもまたとてもいい。

強盗の英雄、というのはどこの国にもいるのだろうか。
ヒース・レジャーが演じた『ケリー・ザ・ギャング』も同じようなヒーローで様々な国の大勢の人々から愛されたのだという。
悪党を成敗したことで賛辞されると思ったボブは英雄を殺した裏切り者にしかなれなかった。
民衆にとって政府に反逆する悪党というのは英雄なのだ。
ボブ自身にとっても憧れの人だったのだが。

編集がゆる過ぎると思いながらもジェシーとボブを細かく表現したかった熱意もまた感じられる作品である。

監督:アンドリュー・ドミニク 出演:ブラッド・ピット ケイシー・アフレック サム・シェパード サム・ロックウェル
2007年アメリカ
ラベル:犯罪
posted by フェイユイ at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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