映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年12月08日

『スルース 【探偵】』ケネス・ブラナー

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こーゆーの、いいですねえ。大好きです。

普段、映画で台詞で説明していくのはどうかと思うのだが、ここまでとことん台詞のみでやっていくのもまた面白い。
舞台は豪華な屋敷の内部のみ、登場人物は男性二人のみ、という映画とは言い難い設定だろうがなんだろうがとにかく面白い。

もう見所は二人の男優の丁々発止のやりとりだけ。舞台となる家はあらゆる場所が電動式でリモコンで作動していくという未来的なものながら調度品や古めかしい趣きのあるのがイギリス風。
その家の主人である有名小説家を演じるマイケル・ケインと彼の奥さんの浮気相手である若くてハンサムだが貧乏青年をジュード・ロウが演じている。
マイケル・ケインの表情がイギリスの知性ある初老男性でどこか皮肉っぽいのもいかにもというところ。
ジュード・ロウは表情がくるくる動いて可愛くなったりかっこよく見せたりするのが実に魅力的でこちらも人妻の浮気相手であり、その夫まで引き寄せてしまうのも頷ける。

どこまでが本当でどこから嘘なのか段々わからなくなってしまう。
かつてマイケル・ケインの役をローレンス・オリビエが演じ、マイケル本人はジュードの役をやったそうな。
その時は2時間以上の長編だったようだが本作は90分を切る短さになっていてこれは現在の観客の気短さを懸念してなのか。
また物語は舞台劇の3幕もののようになっているが3幕目は昔はこれと違う落ちのようだ。
調子をだしてきたジュードがピストルで脅しながらマイケルに豪華なアクセサリーを身につけさせ貶めていく。老人であるマイケルが女装させられているかのような辱めを受けるのだ。
そして本作では1人の女性をめぐって二人の男が争う内に夫マイケルの方が「妻は追い出して二人で暮らそう」と言い出すことになる。
ジュードも豪華な申し出に「そそられる」と答えて満更でもない様子を見せるのだ。「君は魅力的な男だ」というマイケルにジュードがすっかり悪女のような表情になって媚態を見せる。
ここまでゲイ的な展開になるとさすがに観客の好みを選びそうだと思うのだが、こういう大物俳優二人をしてゲイな物語にできるようになったんだなと思ったりもする。
最後の展開はあっという間でどうしたんだろう、と思わせてしまう。
私としてはマイケルがジュードに対して本気になってしまったのに、ジュードがすべて嘘だと言うようにして出ていこうとしたので悲しくなって撃ってしまったのかと思ったのだが、どうだろう。
つまり愛していた妻が出て行き、憎い浮気相手が入ってきたが物語の終わりには浮気相手を愛してしまってもう愛を失ってしまった妻が戻ってきた、という皮肉かな、と。
この辺を考えるのが楽しい作品なのである。

監督:ケネス・ブラナー 出演:マイケル・ケイン, ジュード・ロウ
2007年アメリカ


ラベル:ミステリー
posted by フェイユイ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『地下鉄のザジ』ルイ・マル

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ZAZIE DANS LE METRO

『ルシアンの青春』を観て唸らされたルイ・マル監督作品。昔から凄く気になるタイトルだったのだがこの年齢になってやっと観た。

とにかくザジちゃんがキュートで髪型といい、服装といい、ほっそりした体つきといいパリのイメージにぴったりの可愛らしい少女なのだ。
といってもザジは新しい恋人にメロメロになっているママに連れられてパリにやって来たばかり。
10歳の娘を叔父に預けて自分は恋人と愛の巣へ。そんなママのことをおませに話すザジ。フランスのお話って感じですねえ。
だがこんな冒頭はまだまだでここから先、ザジがママと約束した時間まで思いもよらないようなシュールな映像が溢れているのだった。

これはまだ幼いザジのイメージの世界なのか。
可愛らしいザジを抱っこする優しい叔父さん、ザジにアメリカ製のジーンズを買ってやったのになんだか勿体つけているロリコンもどきの中年男と追いかけっこしたり、タクシーの運転手とエッフェル塔の階段をぐるぐる下りながら話したり、物語と映像がゆっくり進んだり凄いスピードで動いたりシュールでスラップスティックな展開が続いていくのだ。最後はもうこれでもかといわんばかりのはちゃめちゃさ。
フランス映画を観るといつも「他の国の映画にはないような不思議な思いもよらない展開」と書いてしまうのだが、これはもうその真骨頂というべきでなんだかわけはわかんないだけどそこはパリらしくおしゃれで明るくて素敵なのだ。

『地下鉄のザジ』というタイトルでザジはパリの地下鉄に乗るのが楽しみだったのにストで彼女は地下鉄に乗れない。
最後、ザジが眠っている間だけ乗っていて彼女自身は記憶がない。叔母さん(といっても凄い美女)につれられてママと約束した時間の電車に飛び乗って帰路についた。
やっぱり不思議な映画なのだった。
監督:ルイ・マル 出演:カトリーヌ・ドモンジョ フィリップ・ノワレ カルラ・マルリエ ユベール・デシャン ヴィットリオ・カプリオーリ
1960年フランス
ラベル:ルイ・マル 少女
posted by フェイユイ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(1) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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