映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2008年12月17日

『悪魔のようなあいつ』第十二回 

凄く内容が濃くてかっこいい一話だった。どうなるかとはらはらしたし、この回は見応えある。

潔白を示す為、自殺しようとした静枝はふみよが怪しいことを良に教える。
良はふみよをおびき出し、甘い言葉をかけたり脅したり殴りつけたりした。3億円を取り戻す為なら良は何でもする気になっている。
言い逃れようとしたふみよだが階段を踏み外し気を失ってうわ言で3億円の隠し場所を言ってしまう。
だが八村モータースには白戸警部が何も知らないまま居座っていた。

良は野々村に相談を持ちかける。白戸をおびき出し、その間に金を奪い返す計略だ。
野々村は二つ返事で良の要望を聞いた。車と拳銃。
良の誘い出しを白戸は受けた。だが八村のおばあちゃんが良が家の近くに来ていたことをしゃべってしまった。

相変わらずの野々村の良への耽溺ぶりが涙モノ。野々村は見返りは何も要求しないのだなあ。
その従順さをあてにした良の悪魔っぷりがすてきだ。
二人が計画を立て、白戸がどうやら気づいたのに良が八村モータースへ来てしまう。ここら辺の緊迫感は手に汗握る。
待ち合わせ場所にはいつもの見張り役刑事がやって来てすぐに野々村は状況を察知して刑事を撃ち、良の元へ走る。
良が3億円を見つけたところで白戸が声をかけた。
銃撃戦が始まる。良の撃った弾が白戸の腹に当たり、白戸は良の肩を撃った。
白戸がもう少しで良の手に手錠をかけようとした時、野々村が駆けつけ白戸を殴りつけ、手錠で彼の手をバイクにつなげてしまう。
3億円を袋に詰め込み用意した車で逃げようとした時、良は野々村の銃を取り上げ彼に向ける。茫然とする野々村。
良は野々村と八村を残し3億円を積んだ車で走り去った。

3億円強奪の場面が挿入される。この部分は凄くかっこいい。
何故良にとって3億円強奪が青春なのか、それはあまりわからないのだが、それはどうでもいい。
良のためなら殺人でもなんでも犯してしまうような野々村さんの一途さに打たれてしまう。
そして野々村さんはどこに走っていくのか判らない良を憎みながら愛しているのだろうな。
危険な二人である。

脚本:長谷川和彦 原作:阿久悠 上村一夫 音楽:大野克夫 井上堯之 出演:沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 三木聖子 大楠道代 細川俊之 尾崎紀世彦
1975年日本


posted by フェイユイ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪魔のようなあいつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『悪魔のようなあいつ』第十一回 

鏡の裏に隠していた3億円が何者かによって奪い去られてしまった。
青春を奪われた可門良は彼に関係する者たちを疑い問いただすのだった。

今回も良と野々村さんの場面が危ない。
「今日で28歳になったよ」と昼間から野々村の店へ訪ねる良。野々村は自分と良が一緒に住むことを夢見ているポール・ハーパー・ジュニア島が地図からなくなってしまったと必死で探したあげく店で眠っていた。カウンターに座る野々村にいつもより甘えかかる良。「そこはどんなとこだい」「オレンジがたくさんなっていてとても美味いんだ。枝からもぎってこう・・・」と食べる真似をしたところを良が彼の首を締め上げた「俺の青春を返せ」
殴りあう内に二人は服が破れて裸になってしまう。店の女の子たちが良の誕生日を祝いながら入っている。殴りあう二人を止める。やがて笑い出す二人。
そこへ白戸警部が入ってきて「鏡の奥の金はどこにやったのか」と聞くのだった。

野々村、白戸、静枝、八村、皆を疑ったが3億円は出てこない。実は良が最初から疑いをかけなかったふみよが犯人だったのだ。
ふみよは3億円を箱に入れ、自宅の台所に隠したのだった。

女達に対する良の扱いの酷いこと。しかし女たちもなんだかうっとうしいんだよねえ。
ポールシーハーパージュニアはほんとにあるのか。
posted by フェイユイ at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪魔のようなあいつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『レベッカ』アルフレッド・ヒッチコック

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REBECCA

昔、この原作デュ・モーリアの小説『レベッカ』を一体何度読み返しただろう。今も時々読み返しているし。
何のとりえもなく見た目も冴えない娘があっという間に大富豪のハンサムな男性に結婚を申し込まれてしまう物語である。
南仏のホテルで娘は金持ち夫人のコンパニオンをしていていつもいびられている。そこへ立派な容姿の男性が現れ、金持ち夫人も一目置く存在であるらしい。彼はマキシム・デ・ウィンターという名前で、皆が憧れるようなマンダレーの屋敷に住んでおり一年前まで誰からも慕われる美しい女性レベッカを妻としていた。
そのレベッカが事故で亡くなってしまい、彼は一人ぼっちだった。

夢中になって読んだ小説がヒッチコックによって映画化されていたのは知っていたし、観る機会もあったのだが、冒頭で観る気が失せてしまった。というのは主人公役(一人称で名前がない)のぱっとしないはずの娘役がジョーン・フォンティンという素晴らしく美しい女優でまっすぐなはずの髪の毛は(『不思議の国のアリス』をやれと言われてすねてしまうような真直ぐな髪)ウェーブがかかっていてそれだけでも小説のイメージがそのまま再現されてはいないだろうと思われたからだ。
とうとう観ずじまいで今まで来てしまったが、そういうところは無視するとしてどういう映像になっているのか、やはり観てみたくなったのだった。

で、どうだったかというと、やはり原作に耽溺していた人間としてはまったくイメージが異なっただけであった。いくらヒッチコックといえ、小説の深いイメージをそのまま或いはそれを超えるような表現は願ってもかなわないものなのだろう。
とはいえ、幾つもの賞を取ったと言うこの作品はとても美しく面白い作品に仕上がっているとは思う。ジョーン・フォンティンの透明な美しさはイメージを別にすれば見惚れてしまうものだし、マキシム役のローレンス・オリヴィエのハンサムさはさすがに素晴らしい。同時代で観ていたら彼の美貌を観るだけでも満足できるものだっただろうなあ、と思ってしまう。
では何がいけないのか、というと映画ではレベッカが見えてこないのだ。

死んでしまったレベッカが見えないのは当たり前、なのだが、これが小説だとヒロインよりなによりレベッカの姿が浮かび上がってくる。
出合った人は皆彼女を愛してしまう、彼女を崇拝してしまう、という美しいレベッカ。すらりと背が高く威厳があるのに同時に愛らしく少女のように見えるというレベッカ。真っ黒な長い髪がほっそりとした体を包んでいるというレベッカ。知性と勇気が備わり、誰でも魅了するような会話ができ荒馬を乗りこなし、無造作に海岸を歩く姿も美しいレベッカ。小説を読んでいると自分もレベッカという女性に憧れてしまうのだった。そして彼女を愛し、仕える家政婦のデンバース(映画ではダンバースになっていたが私はどうしてもデンバースと覚えてしまったので)彼女が新しくデ・ウィンター夫人となったおどおどとして美しくもない小娘を憎む気持ちもわかる。デンバースがヒロインに「あなたはデ・ウィンター夫人にはふさわしくない。さあ、ここから落ちなさい。すぐにすみますよ」と屋敷の窓で囁くシーンはぞくぞくとする。映画でもその場面はあったのだが、自分の頭の中で描いていたシーンとは全然違い、目の前がくらくらとするような恐ろしさは感じられなかった。私のイマジネーションの如何でなく、小説を読めば映画を観るよりもくっきりとその映像が頭に浮かんでくるのである。
小説ではレベッカという女性が他の誰よりも明確な姿で現れるのだった。
ところが映画は現実に起きていることだけを映像化していてレベッカの思い出場面などというものがない。これは却ってとても上手い考えだとは思う。イメージの中のレベッカを現実の女性が演じても失望してしまうだけかもしれない。
死んでしまったレベッカというもうそこにはいないものが生きている人々を怖れさせ動かしている。
それは映画のようにイメージとして登場しないほうがより感じられるのかもしれないが、この映画ではその表現をあまり強く出していないのが勿体無く思えたのだが。
デンバースを始め殆どすべての人がレベッカに陶酔していたのだが彼女を怖れていたのが夫のマキシムと頭の弱いベンだったというのが面白いところである。

小説が映像的すぎると映画になりにくいのかもしれない。小説の最後、ヒロインとマキシムがマンダレーに向かって車を走らせる場面、夜なのにマンダレーの方角が朝が来たかのように明るい。それはマンダレーが燃えていたのだ、というこれも強烈なイメージが映画では当たり前の火事の映像になっていた。残念だ。

ヒッチコックの映画としてはかなりスタンダードな作りになっているのだが、それが却って評価されるということもあるのかもしれない。落ち着いた豪奢な印象である。
ということは逆にヒッチコック独特の面白さは少ない作品に思えてしまうのではないだろうか。

監督:アルフレッド・ヒッチコック 製作: デヴィッド・O・セルズニック  原作: ダフネ・デュ・モーリア  出演:ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンテイン ジョージ・サンダース ジュディス・アンダーソン グラディス・クーパー
1940年アメリカ
posted by フェイユイ at 00:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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