映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年03月29日

『ブラックキス』手塚眞

ブラックキス.jpg

安藤政信をもう少し観たくなったのと手塚眞監督映画というのを(多分)まだ観たことがないので手にとってみた。
なるほど(どうしても言ってしまうが)父・手塚治虫氏と関連するような医学的な要素だとかぺダンチックな要素も絡んだなかなか面白いミステリーで非常に惹き付けられる部分も多々あるのだけど、逆に「どうしてこんな」と思うような幼稚な部分も露出していて好きとも嫌いとも言い難い中途半端な作品だった。

こういう手の込んだからくりと落ちがあるミステリーはむしろコメディに仕上げたほうが楽しめるのではないかと思う。
出演者に有名な俳優を出しすぎているのも妙に騒がしい感じがしてしまう。怪しいプロファイリング博士を演じた草刈正雄だけはとても上手い使い方だと思ったが。奥田瑛二はいいけどオダギリはブラピの真似をしてるみたいに見える、もっとブサイクな奴で充分な気がするのだがたにかく美形をそろえたっていうのが売りなのか?安藤政信目当てで見たくせに言うのはなんだけど別に安藤くんでなくてもいいような、っていうか安藤くんが何故こういう役をやるのか、よく判らない。
大体この役自体がどこか物足りないというか奥歯にものがはさまったようなというか最初隠し撮りみたいな仕事をしていて実はいい写真を撮るのが夢なんだとか言って女の子を騙したり、まあ彼のことも「犯人なのか?」と疑いを持たせようとしたのかもしれないが医者志望だったとか外国旅行をしていたとか怪しげすぎる人物である。いきなり屋上からダイビングするような技も持っているし(普通の人間にあんなことできないよ)彼こそが怪しい、と思われてもいいのだが、本作中ではよく判らない謎のままで終わってしまった。

無駄なほど凝り過ぎた画面は人の好みだろうけど、若いモデル女性が住む部屋としてはあまりにアンチークすぎるのではなかろうか。
美女ふたりがビアン的に仲良しなのを観てるのは凄く好きだが結局そこどまりで男女のエッチシーンは不必要なほど露出するのにビアンな方向を匂わせるのならきちんとやればいいのにと思うのだが日本の映画って何故ここまでなのかねえ、とがっくりしてしまう。ま、ビアンがテーマじゃないんだろうけど、そろそろそういうのが当たり前に描かれてもいいのではないのだろうか。匂わせるんだったらもう一歩踏み込んでやってもらいたいものだ。

猟奇殺人そのものの表現はあまり面白いとも思わないが会議や捜査風景なんかはちょっと興味を持たせられた。
つまりそんなこんなでちょっといい箇所とつまらない箇所がごちゃ混ぜになっているのが本作ではなかろうか。
安藤くんが主人公を気に入って写真を撮っていくとこなんて何かあるのか?と思わせぶりで何もないし何もないなら随分無駄な部分である。

手塚眞氏作品を初めて観てなんだか判る気にもなった。非常に頭を使っているようで大筋が弱いし、表現したいものやり方が多すぎてまとまりがつかない感じ。TVドラマ風な楽しさで作ればいいのだろうけど、映画作品としては奥行きのなさが感じられて寂しいのである。

安藤政信はホントに素敵な顔立ちでスタイルもいいし演技者としても魅力あると思うのに作品に恵まれない人なのではないだろうか。
彼自身もどこかで言ってたようだけどデビュー作『キッズ・リターン』を越えるのは難しいことなんだろう。『46億年の恋』はとてもよかったんだけどね。
今はチェン・カイコー『梅蘭芳』を待つだけだなあ。

監督:手塚眞 出演:橋本麗香 川村カオリ 松岡俊介 安藤政信 小島聖 岩堀せり あんじ オダギリ ジョー 草刈正雄 奥田瑛二
2004年日本


posted by フェイユイ at 22:53| Comment(7) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。