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2009年04月27日

『ヘンリー ある連続殺人鬼の記録』ジョン・マクノートン

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HENRY:PORTRAIT OF A SERIAL KILLER

90分に満たない短い時間の中で実在のシリアルキラーであるヘンリーをまるでドキュメンタリーでも観るかのような生々しさで撮っている。
何の誤魔化しも言い訳もなく単に殺人鬼を記録した、という突き放した映像である。

ヘンリーと共に務所仲間だったオーティスとその妹ベッキー、3人とも演技とは思えない恐ろしさがある。
特にヘンリー役のマイケル・ルーカーはいかにも強靭そうな肉体でまるで精神というものがないような冷たさにぞっとする。彼にとって殺人は一かけらも躊躇うものではなく、殺された人に対して全く何の同情も後悔もありはしないのだ。
彼の人格は母親の異常な生き方と虐待によって形成されたもののようで女性とセックスに対しては嫌悪感しか抱いていない。だが僅かにベッキーのような彼に対して心を開いてくる女性には恥じらいとも思えるような優しさを見せることもある。それでもヘンリーにとってベッキーとのセックスは可能なものではなかった。彼にとってセックスは愛ではなく憎悪の表現でしかなかったのだろう。
そしてヘンリーはそのベッキーすら殺してしまう。一体何故なのか。彼には愛するということが理解できるものではなかったのかもしれない。

余計な説明も何もない非常にシンプルにヘンリーという連続殺人鬼の一時期を切り取って映しただけ、と言わんばかりの作品だった。
彼が言う「多分愛した」はずのベッキーは小さな鞄に入れられて道端に捨てられてしまう。
喉が渇いたというほどの欲求で次々と殺人を重ねていくヘンリー。彼が言うには3000人、或いは300人ほどの殺人を犯したという。

殺害方法も非常に簡単なもので見せ付けるような残忍な描写があるわけでもない。大げさな演出をしているわけでもない。それなのにただ怖ろしい。
『ノーカントリー』でシガーが純粋な殺人者として登場していたが、本作を観ると(この短さも手伝って)『純粋な殺人者』という意味ではこのヘンリーのほうが怖ろしいのではないだろうか。

監督:ジョン・マクノートン 出演:マイケル・ルーカー トム・トールズ トレーシー・アーノルド
1986年アメリカ


ラベル:犯罪
posted by フェイユイ at 22:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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