映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年06月11日

『ジム・ヘンソンのストーリーテラー』 vol.1 第1話〜3話

storyteller1.jpgjhstory3.jpg
JIM HENSON'S THE STORYTELLER

『セサミストリート』をちらりと観たことは無論あるが(TVが家にある人で全く見たことが無い、という人はいないと思うが)ジム・ヘンソンという名前を記憶してもいなかったのだが、なんだか突然選んでしまった。

どうやらTV番組のようで、夜分、暖炉の前でジョン・ハートがやや奇怪な面立ちになり自分がかつてストーリー・テラーとして各地で話をしたことを犬に語って聞かせる、という構成になっている。ジョン・ハートは本人だが聞き手の犬を始め(犬が聞き手なんてそれだけでもう可愛い。しかも人語を話す!)物語に登場する様々なクリーチャーがジム・ヘンソンのマペットである、という趣向である。昨日のトリュフォーよろしく最先端CGなぞは用いない温かみのあるそしてやや不気味さと愛らしさが混じったようなマペットたちである。
今夜は3話分を観たのだが、何故今まで観なかったかなーと思ってしまう面白さだった。
特に第1話「ハリネズミのハンス」HANS MY HEDGEHOG はハンスの造形といい(これはマペットではなく人間が演じている)物語の深遠さといい、子供期にTVでこれを観たら忘れられない恐ろしさに満ちているのではないだろうか。
物語は子供のいない農家の夫婦がいて妻のほうは子供欲しさについ「ハリネズミのような醜い子供でもいいから産みたい」と言ってしまう。願い事は叶えられ、彼女はハリネズミそっくりの針の生えた男の子を産むのだ。父親は周囲の人々の嘲りに耐えられないが、母親は心からハリネズミのハンスを愛しんで育てた。だが人々の苛めと父親の蔑視にハンスはオンドリに鞍を載せて家を出ていく。
ハリネズミなんて可愛いものだが、確かにハンスの容貌は可愛いものではない。もしかしたらこういう人もいるかもしれない、と思わせるような直視できないようなものがある。
子供ができない夫婦という境遇から生まれたハンスは母からは溺愛され父からは嫌われる。これも何か現実にあることのようである。
家出するハンスに父はほっとするが母親は嘆き死んでしまう、というのが悲しい。
さて父親から鞍と家畜をもらったハンスは10年ほど山の中で一人暮している。そこへ王様が通りかかりハンスに宿と食事を提供してもらう。お礼として王様は城に戻って最初に会ったものをハンスに渡すと約束する。果たしてそれは愛娘の姫だった。
醜いクリーチャーが王の約束で娘の姫を嫁にする、という話はよくあるものだが、結婚したその夜姫は先に眠ってしまう。はっとして目をあけるとそこに毛皮を脱ぎ捨てる美しい男の姿があり、男はそのまま外へ出ていく。そこには柔らかな針で覆われた皮が残されている。
次の晩、姫は眠ったふりをして様子を確かめる。そして残された針皮の上に横たわって寝てしまう。
無論、ここでもう姫は皮を脱いだ時の若く美しい夫に恋をしえしまっている。
夫は人間の姿のまま戻ってきて姫に告げる。
「後一晩、だれにもこのことを話さなければ、私は呪いが解け、人間になれるのだ」
うきうきしてしまった姫はうっかり母親に話してしまいそうになる。母親は娘の変化に気づき、「占い師にきいたのだけど、もしかしてあの男が皮を脱いだのならそれを火にくべなさい」
最後の晩、皮を脱いだ夫が外へ出ていくと姫は母親の言葉を思いだし、その皮を暖炉で燃やしてしまうのだ。
途端に外から夫の苦しむ声が聞こえ、姫が見ると夫は元のハリネズミの姿になっている。
そして妻の裏切りに気づき、オンドリに乗って出て行ってしまうのだ。
童話ではこの「してはいけない」という約束を必ず破ることになる。
読んでる(聞いてる)者ははらはらするが若い姫(や若い女であることが多い)は何気なく約束を破ってしまう。たちまち希望は失われる。
ここでは今まで大事にされてきた姫が鉄の靴を履いて夫のハリネズミを探す旅にでる。お姫様が旅に出るなんて不思議だが、これは普通の若い娘の比喩であるだろうから経験不足で失敗をした娘は苦難の旅をしなければいけないのである。
そして鉄の靴を3足も履きつぶして夫に再会する。娘の謝罪と抱擁で人間になった夫を伴い城へ戻り、二人は今度は本当に祝福された夫婦となる。
呪いによって醜い姿、動物の姿に代えられた者が愛を得て人間に戻れる、という物語はどうしてこんなに惹きつけられるものなのか。
それもそのために厳しい苦難を乗り越えなけらばならない、ということにまた惹きつけられる。
ハリネズミというのも男性の青年期の荒々しさを表現しているもののよにも思えるし、原作はグリム童話なのだが本当に面白いと思う。
子供向けの本で単純化してしまって毒が抜けてしまっているものがあるがやはりでいるだけ恐ろしい部分は残していた方が心に残るものである。
ハンス:エイルザ・バーク
農夫:エリック・リチャード
農夫の妻:マギー・ウィルキンソン
王女:アビゲイル・クリューテンデン

第2話「恐怖を知らなかった少年」FEARNOT
フイアノット:リース・ディンズデール
鍛冶屋:ウィリー・ロス
リディア:ガブリエル・アンウォー
第3話「最後の一話」A STORY SHORT
料理人:ブライアン・プリングル
物乞い:ジョン・カヴァナフ
ストーリーテラーの妻:ブレンダ・ブレタイン
どちらもちょっとおかしさのあるでもまた含みのある面白さもあってとても楽しい。
語り手であるジョン・ハートの声もいいし、何といっても犬くんが可愛いのだ。

統括プロデューサー:ジム・ヘンソン  監督:スティーブ・バロン(第1,2話)、チャールズ・ストリッジ(第3話)
1985年アメリカ/イギリス


ラベル:童話 マペット
posted by フェイユイ at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。