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2009年07月01日

『悪夢探偵2』塚本晋也

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前作がとても面白くまた松田龍平の味がとても活かされた作品だったのでかなりの期待で観たのだがそれを上回る面白さだった。

前作もそうだったが松田龍平=悪夢探偵が活躍する前に依頼者である少女の葛藤が描かれていく。それで思ったのは昨日観た少女が迷路に入りこみゴブリンとともに或いは戦いながら大切な弟を探すのが一時代前のラビリンスなら現代のラビリンスはオカルティズムなのかもしれない。
しかしここでも少女が両親から見放された状況だという設定になっているのもそうした不安定な精神の少女がゴブリンもしくはオカルトの世界に入り込んでしまう、ということなのだろうか。

悪夢探偵の前に現れる少女雪絵の依頼がやや強引で自分勝手なことに苛立ちを覚えてしまうがそれは彼女の心がやはり歪んでいることの前説だったと後で知る。
雪絵は気に入らない同級生の少女菊川夕子を仲間を使って酷いイジメを行う。恨みを持ったその子が夢に出てきて雪絵たちは苦しみ仲間二人は死んでしまう。残った雪絵は菊川に殺されてしまうのだろうか。
というような物語は他にもよくある筋書きなのであるが、悪夢探偵である影沼京一は最初から雪絵を快く思ってはおらず、むしろ彼女たちが忌み嫌って苛めた上に復讐されると恐れている菊川に心を惹かれているのである。
それは京一の母親が菊川によく似た精神を持った女性でその為に自分は殺されかけもしたのだが、それでも京一は母親に思慕を抱いているのだ。
普通なら気持ちの悪い悪霊というか生き霊として退治されてしまう存在の菊川を京一が優しく抱きしめ慰める場面は今までのオカルトものにはない癒しを感じさせられるのだ。(先日観た『永遠の子供たち』に似たものがあるが)
京一が初めから雪絵に対し「菊川に心から謝らなければ夢から逃れられない」と言っているのに雪絵は菊川に恐怖しか感じられず「謝っているのに」と苛立ってしまう。
京一は菊川には怒りはない。ただ怖がっているだけだ、と悟る。
それは彼の母親がいつも世の中のすべてのものを怖がりついに子供である京一にも恐怖を感じて殺そうとしてしまったことを知っていたからなのだろう。
「世の中が怖い」そういう思いは皆の心に大なり小なりあるものだろうが異常に感じてしまう人々にはそれが心を閉ざすことになり場合によっては歪んだ間違った行動へと発展してしまうこともある。
この作品で菊川が再び登校し彼女を見た同級生たちが微笑むことで希望を与えてくれた。
また雪絵は菊川のから恨まれているという恐怖から逃れることはできたのだろうが人の心が読めてしまう、という重荷を科せられることになる。
母親から殺される夢を何度も見続けていた京一はまるでそのことが夢だったかのように優しくハンバーグを作ってくれる母の夢を見る。
だがそれは夢であった。
母がハンバーグを作っていた台所は夢の中のことで現実には錆びた流しがあるだけ。
いつもしかめ面をしていただけの京一がわあわあと泣きだす最後には耐えきれない悲しさがある。

ほんとに松田龍平は観る度に好きになってしまうのだが、以前好きでなかったということが信じられないくらいいい顔だと思う。
今までの色んな役がいいものだったが、この悪夢探偵はダークなかっこよさが彼にぴったりである。
年をとってもいいタイプの役者のようの思えるからますますいい役者になっていけるのではないだろうか。
ところで彼のお父さんである松田優作は私の世代の特に男性にはカリスマと言っていいほどの人気を持っていたが私はそれほどファンと言うのでもなかった。というか彼の人気というのはやはりアクションもののイメージで自分的には男性ファンのように憧れるというものではなかったのだった(もちろん女性ファンも多かったのだが)
最近になって彼の話を聞いたりするとアクション俳優のイメージがありすぎて彼自身はもっと違う演技もしたかったらしい。それでまだ観てなかった『それから』を観たのだがそれまで思い込んでいた松田優作とは違うとてもいい味を持っていてこれを早く観ていたら好きになっていたかもしれない、と思ったものだ。
彼の息子である龍平くんはアクションというのはあまりないと思うし実に様々な役を演じている。パパの優作さんが息子龍平くんの仕事ぶりを見たら随分羨ましく思うのではないだろうか。しかし時代がそうさせなかったのもあるし無論彼の出生も時代背景が原因がしていないとは言えないが。
そういえば優作氏は一重の目を気にして二重手術をしたのらしいが、龍平くんはくっきり一重だけどメチャハンサムであるのは皆が認めるところだろう。この辺も時代の違いなんだろうか。
無論アクションものに出なかったら優作があんなに男性の憧れのスターになることはなかったんだろうけど。
龍平は父親のような激しい人気者ではならないだろうけど、私はやっぱり優作氏は息子が羨ましいだろうな、と思う。

この最後辺りの文章は優作氏をさほど知らない私が勝手にイメージして思ったことではあるのだが。もし全然違うのならお許し願いたい。

監督:塚本晋也 出演:松田龍平 三浦由衣 韓英恵 松嶋初音 安藤輪子
2008年日本


posted by フェイユイ at 23:12| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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