映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年07月08日

『赤線地帯』溝口健二

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この映画もタイトルの意味を知る人なら何らかの含み笑いを浮かべて観始めてしまうものだろうが、作品自体はこれまで観てきた「売春宿」を舞台にした映画とは全く違う作品であってそうした世界にエロティシズムを感じようとした人にはがっかりさせてしまうものかもしれない。
つまり性描写などは皆無と言ってよく『赤線』と呼ばれた公認の売春宿で働く女性たちのそれぞれの苦悩と生き様を描きだしていく作品なのである。

とはいえ、この作品で私が最も惹き込まれたのは彼女たちの苦悩というより当時の街の景色や部屋の雰囲気、女性たちの風貌のほうだった。
ちょうど売春防止法が施行される1956年公開で内容はその売春防止法前夜の店の主人や女性たちの揺れ動く心が描写されている。
東京なのだからとても華やかなのだろうが小じんまりした売春街の夜景も何ともいえずみみっちい情緒があるではないか。和服が殆どの女性の中で神戸出身のミッキーは京マチ子が演じているせいもあってすばらしく肉感的扇情的進歩的な洋装なのである。「八頭身よ」と威張る姿が可愛らしい。貧乏や不遇が原因で身を売る羽目になった他の女性たちとは違い彼女は金持ちのお嬢様なのだが金儲けしたのをいいことに大勢の遊び女と関係を持つ父親が母親を苦しめたことに反抗する為に不良となり売春婦になったという経緯を持つ。今の女の子たちの売春に似ている存在かもしれない。
迎えに来た父親に思い切り言い返し「私と遊んで行けば」とつきつけ逃げ出す父親に「とんだメロドラマだ。マリリン・モンローでも観に行こう」と叩きつけるミッキーは小気味いいが、彼女の心の奥に淀む父親という男性の買春に対するしっぺ返しが自分の身を売ることだという行動は彼女の恨みや悲しみがどんなに精神を歪ませているのか、彼女が明るいだけにその闇は酷く暗いものなのではないだろうか。

或いは親の運命の為に売春する羽目になったやすみ(若尾文子)は持ち前の美貌を活かし人を騙しても金儲けをして布団屋を経営するまでになる。
結婚を夢見て敗れ店に戻る女、息子と一緒に暮らすことだけを夢見ていたのに息子に「汚い」と言われ気の狂う女、病気の夫と赤ん坊を世話し所帯じみながら働く女、それぞれの心情が細やかに映し出される。

そして様々な風景。売春街、田舎、工場などの様子がこれは今再現しようとしてもできないもうなくなってしまった空気だとか、土だとかが感じられる。
この映画では彼女たちが苦しむ売春というものがどんなに彼女たちの体と精神を蝕んでいくのか。その仕事自体は想像するしかない。だが結局映画でそれがどんなものか、判るように描ける映画はないだろう。それを観た者でも受け止めるものは違ってしまう。
そうした場面を描くことは一切ないが、映画の中で流れる音楽が奇妙に神経に響く不協和音のような不気味なものであることが作者の気持ちを表しているのかもしれない。

場末の買春宿を描いても溝口健二の映像はやはり美しい。それはそこに描かれる女性たちが虚飾ではないと思わせる力を持っているからなのだろう。

監督:溝口健二  出演: 京マチ子 若尾文子 木暮実千代 三益愛子 町田博子 小暮実千代
1956年日本


ラベル:売春 家族
posted by フェイユイ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベン・ウィショー画像、ご賞味あれ!

いくつかベンの画像を見つけたのでここにアップしてみますが右側にも貼り付けてます。


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『Mercury fur』観てみたい。

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『レイヤーケーキ/Layer cake』まるでダニエルにキスしてるようですがひそひそ話してるとこ。変な男でした。

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『Love hate』いつかDVDとかで観れたらいいな。

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『Leaves of glass』A Play by Philip Ridley だそうです。綺麗な!!

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『Baby』これは恥ずかしいので^^;さすがに横には貼りませんのでここだけでよーく見といてください^^;^^;^^;やばいっす。
posted by フェイユイ at 15:54| Comment(7) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

劉[火華](リウ・イエ)フランス女性と結婚

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おお。『藍宇』で私たちを魅了してくれたリウ・イエが先日フランス人女性と結婚されていたのですねー!!
いやめでたい。→ここ
ラベル:結婚
posted by フェイユイ at 00:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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