映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年07月09日

『サン・ルイ・レイの橋』マリー・マクガキアン

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THE BRIDGE OF SAN LUIS REY


有名なアメリカ俳優が多数出ているのだが舞台が18世紀ペルーというちょっと変わった背景のせいか、とても不思議なニュアンスを持った作品だった。

異端裁判にかけられる一人の修道士。彼は数年前、「サン・ルイ・レイの橋」を渡ろうとする寸前に5人の男女もろとも橋が落ちてしまったのだった。もう少しで我が身に降りかかったはずの災難から自分は逃れ、何故その5人が落ちたのだろうか、と彼は考えその共通点を求めて6年がかりで5人のそれまでの人生を調べ歩く。
だが一人の女優と出会ったことがある、という以外にこれという共通点は見いだせなかった。
修道士は異端者として裁きを受けねばならないのだろうか。

異端裁判というとスペインが思い浮かぶが、その植民地であるペルーでも同じようなものだったのか、と当たり前なのかもしれないが今まで考えたこともなかったので妙に感心してしまった。
そこには副王と呼ばれる統治者がいて現地の人々を支配したのだがここではまったくスペイン人である白人たちの物語になのである。
故郷スペインは遠いが貴族たちはまるでヨーロッパにいるようなのも不思議である。そしてキリスト教は頑全たるキリスト教なのだった。

修道士は何故本当に橋から落ちて死んだ5人の人生を調べようとしたんだろう。そこで死ななかった自分の命を確かめたかったんだろうか。
しかし彼は5人の人生を調べた6年後に処刑されてしまうのだ。しかも彼はとうとう5人の共通点を見いだせないままだったのだ。
こういうミステリー仕立ての映画、というのは凄く好きだ。ミステリーといっても人生の謎なので殺人事件のように答えや犯人が見つかるわけではない。観終わった時はなんだかもやもやとしたものしか感じ取れないが時が経つにつれややばんやりと見えてきたりする、そんなミステリーである。例えば『薔薇の名前』だとか『市民ケーン』のような。
ここでは尼僧が大きなヒントを与えてくれる。5人のうち、若い女性と男性は修道院にいた人間で尼僧自身が深い愛を感じていた。アンクル・ピオと彼がおぶっていた赤ん坊は女優ペリチョーレの子供であり、父親のような存在の人、侯爵夫人はずっと仲たがいしていたがスペインに住む可愛い娘が帰郷して涙を流した。尼僧は愛した者もいつかは死んでしまうが愛だけは残るのだ、とつぶやく。
5人の人生の共通点を探した修道士の人生はここでは語られない。5人の為に流された涙が彼には流されなかったのだろうか。誰からも?では彼の人生とはなんだったのだろう。彼が尼僧と違って共通点を見いだせなかったのは誰のことも愛したことがなかったからなんだろうか。

恐ろしい異端裁判の検察(というのか。弁護士はいないが)にロバート・デ・ニーロ。副王はF・マーレイ・エイブラハム、尼僧がジェラルディン・チャップリン、アンクル・ピオにハーヴェイ・カイテル、など凄い面々だが、一番迫力あったのは娘を溺愛する侯爵夫人のキャシー・ベイツ。彼女が最も印象的な人物だった。
彼女の娘への愛は異常だ、奇行だ、と言われ続けていたが、そんなに変かなーと思ってしまったのは東西の意識の違いか。一人娘にこのくらい愛情を注ぐのは普通みたいな気もするが。裕福な貴族で大西洋を隔てていればこのくらい思ってても仕方ない。しかしお金の面はきっちりしてたし。
とにかくあのふて腐れたような容貌で小さいんだけどでっぷりした体つき。膨れ上がった胸。酷く我がままかと思うと「私は駄目な女」と言って女優の足元にひれ伏したり、確かに奇行ではあるが。
橋を渡る前、彼女は自分が歪んでいたと思い直し「もう一度人生を歩みなおそう」と思う。あの直後の事故。
アンクル・ピオは娘のように育てたが、天然痘にかかってしまった女優から赤ん坊を預かってまた大事に育てようと思っていた矢先だった。
5にんはまたこれから新しく人生を歩もうと思っていたという共通点もあるのだった。
処刑された修道士はどんな気持ちだったのか、それもまた明かされてはいないのだが。

監督:マリー・マクガキアン 出演:ロバート・デ・ニーロ キャシー・ベイツ ハーヴェイ・カイテル ガブリエル・バーン F・マーレイ・エイブラハム
2005年 / アメリカ/スペイン


ラベル:ミステリー
posted by フェイユイ at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベン・ウィショー主演『BABY』

はーやさんからベン・ウィショー主演『BABY』を観るには?というご要望がありましたのでここにアップしてみます。
この情報はいつものことながら、ふぇでり子さんから教えていただいたものです。ふぇでり子さんなしにはベンを観ることができませんねー。ここに再び深く感謝をいたしまして、どうぞ皆様お楽しみください。

FACTORY FILMS

出てきた画面の『BABY』をクリックしてご覧ください。
まだベンが初々しくてでもエロテッィクでありますねー。
posted by フェイユイ at 10:36| Comment(13) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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