映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年07月24日

『その土曜日、7時58分』 シドニー・ルメット

untitled.bmp
BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD

昨日に引き続き祟られたのか周囲がばたばたの中で観る羽目になったのだが、これは久しぶりに計算された脚本でとても面白かった。
物語自体は面白い、なんていう代物じゃなくどーんと重いのだがあまりに構成に凝り過ぎているのでサスペンスの方が効いていてとても楽しい作品、に思えてしまうのだが、多分それを狙っていると思われるので家族内の亀裂・苦悩が計算づくの物語に苦味をくわえてさらに深めてくれているようだ。

時間軸が前後するのはもうよくある手段だがそれが少しずつ台詞や状況を隠したり見せたりしていくのがとても上手くそうだったのかと感心しきり、最近ないほどはらはらどきどきしてしまった。
というのも役者陣の上手さが引き出しているのだろう。
兄・アンディのフィリップ・シーモア・ホフマンは言わずもがなだが弟ハンクのイーサン・ホークの情けなさっぷりがこちらまで伝染してきてたまらなく怖い。
金に困った兄弟が企んだのはドでかい強盗ではなく、自分たちの両親が経営する宝石店の強盗。店には保険金が降りるし、誰も死なず怪我もしない、はずだったのだが。
兄アンディは裕福そうだがドラッグにはまり会社の金を使い込んでいる。弟ハンクは離婚していて養育費を払うのもままならない。
そんな大した理由でもない。兄の計画に弟は最初脅えるが些細な見栄から犯罪を決意してしまう。
何事もなく終わるはずの計画が次々と殺人を引き起こしていく。

何故アンディがこんな馬鹿な計画を考えたのか。長男である彼は宝石店を経営する父親に愛されずずっと冷たくされていた。アンディが「あんたが弟を好きなのはあいつの方が外見が可愛いからだ」というのが悲しい。ホフマンが言うとなんだかおかしくも思えるが家族内の愛情のすれ違いというのはこういうしょうもないことなんだろう。
結構いい地位につくまで頑張った兄よりふがいない弟の方が可愛いのだ。それは容姿がハンサムだから。可哀そうに。
妻もまたそんなハンクと浮気をしていた。アンディはもう怒る気力もない。

アンディがドラッグを楽しむのがあるマンションの一室。華奢なゲイボーイ風の男から注射をして憂さ晴らしをするのだが。
犯罪の尻拭いのために金が必要となり襲ったのがその男の部屋。
アンディが押し入った部屋のベッドで寝ていたのがまるでアンディそっくりの太った男だったのがとても奇妙な感覚でまるで自分で自分を撃つかのような光景だった。

「死んだこと悪魔にが気づかれないうちに天国につきますように」
ぞくぞくする言葉である。


確かにイーサン・ホーク可愛かった。びくびくおたおた、あの後どうなったんだろう。

監督:シドニー・ルメット 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン イーサン・ホーク マリサ・トメイ アルバート・フィニー
2007年アメリカ


ラベル:犯罪 家族
posted by フェイユイ at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベン・ウィショー『Bright Star』 Trailer

ふぇでり子さんに『Bright Star』Trailer 情報いただきましたよ。ありがとう!!!



posted by フェイユイ at 01:04| Comment(14) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『タイタス』ジュリー・テイモア

titus_ver1.jpg
Titus

ジュリー・テイモア監督。『フリーダ』と『アクロス・ザ・ユニバース』を観て一気にファンになったくせにもう一つレンタルできる本作を放りぱなしにしてたら、ベン・ウィショー出演『テンペスト』も同監督だと気づいて慌てて鑑賞。
なのに折悪しく気になることがちとあって申し訳ないのだがながら観になってしまった。

なのであまり今回詳しく書けないのだがどうせ難しそうな内容だったのでどちらにしてもあまり書けなかったかもしれない。
しっかしこれ、悪いんですけどなんだかデレク・ジャーマン観てるみたいなのである。
歴史物にも拘らず現代のものがじゃんじゃん出てくるんだとか、若者の雰囲気だとか、ジャーマン作品幾つかしか観ていないのでもっと観てればもっと面白い場面に気付いただろうが『カラヴァッジオ』と『エドワードU』の雰囲気がそのまま反映されているようだ。
ただ、ジャーマン作品はもっと徹底して重く暗く静かなのに比べればさすがアメリカ女性だけあって軽く明るく騒がしく出来上がっていてその分観やすい作品になっている。まあ、これを軽くて見やすいと人には言いにくいがデレク・ジャーマンに比すれば。

現代の少年がいきなりあちらの世界へ連れ込まれてしまうのも不思議な感じだが少女のように可愛らしい少年が危ない世界を観て行くことになる。とてもこんな小さな少年に見せられる世界じゃないのだが。

物語自体も復讐だの許すの許さないので人間の残酷性が描かれるが表現もかなり残酷な映像で溢れている。ただ自分的にはそれほど嫌悪感のある残酷じゃなかったので結構観れた。
秀逸なのはやはりラヴィニアが舌と手首を切られてレイプされてしまう、というところだろうな。レイプ場面も切断場面もないが切られた手首に小枝が一杯刺されて奇妙な指のようになっているのが不思議な絵画でも観てるような気持ちになる。
この作品で印象的なのは主人公タイタスのアンソニーよりゴートの女王のジェシカ・ラングとこのラヴィニアの対比。対照的な女性ふたりだがどちらも物凄く印象的である。
この二人の女性に比べると男性たちはいまいち影が薄いようだ。

さて今回の目的はこの作品を観てベンの『テンペスト』を想像することにあるわけなんだが、同じくシェイクスピア作品でもあるし、こういう現代と昔話が混じり合ったものになる可能性もあるし、一度やったことだから次はオーソドックスになものに。もしくはまったく現代的な物語でってこともあるわけで結局どうなるのか想像つかない^^;
テイモア監督はやはり女性が中心となる作品になると思われるし、『テンペスト』は男性であるプロスペローが女性プロスペラになるのだからますます女性的な作品になるのだろうか。
ベン演じるアリエルはプロスペラに助けられそのお返しとして彼女の命令を聞いていく、という設定なのだが、命令で美しい海の精になったり、プロスペラ(あえてもう女性型で書いてるが)に「可愛い奴」って言われたりするのでどんな容姿になるのか楽しみでしかたない。

何だかホントに『タイタス』自体には触れきれなかったが、ますますゲイ的な要素を持つ女性監督だという確信は持ってしまった。

監督:ジュリー・テイモア 出演:アンソニー・ホプキンス ジェシカ・ラング ローラ・フレイザー アラン・カミング ジェームズ・フレイン ジョナサン・リース・マイヤーズ マシュー・リス ハリー・レニックス アンガス・マクファーデン コーム・フィオール コルム・フィオール
1999年 / アメリカ
posted by フェイユイ at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。