映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年08月11日

『オーケストラの妻たち』アーチー・L・メイヨ

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↑どーでもいい・・・

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↑これは観て欲しい!!!!ニコラスブラザーズ・タップダンス!!
これだけの為に観よう!ここだけでも!



またまた昔のアメリカ映画1942年ものなのだが、これを観たのはレビューで「中に出てくるニコラスブラザーズ”のダンスは必見!」というのがあったので気になって観てみることにしたのだ。
ところが待てど暮らせど出てこない。あれ、なにかの間違いだったのかなあ、と首をかしげながらそれでもまあ意外に作品自体もそれなりに面白かったので止めはせず観続けた。

とある小さな町の世間知らずの娘が大好きなトランペット奏者がいるバンドを見たいばかりに好きでもない男の誘いに乗ってコンサートに行くのだが、一人きりになった隙になんと憧れのビル・アボットからナンパされそのまま結婚してしまう、というとんでもない始まりからさらにそのまま彼のバンド演奏旅行に入り込み、心配するパパには電話連絡だけをして娘コニーはあっという間にオーケストラの妻になってしまうのだった。
そこには同じくバンドメンバーの妻たちが夫とともに演奏旅行をしていた。新婚でうきうきしているコニーとは違い彼女たちは長年の旅行生活にうんざりしている。そして息抜きとばかり新入りのコニーをいじめようと画策する。
コニーの夫ビルは元々メンバーの歌手ジェイミーと恋仲だったのをコニーにばらし、そのためにコニーとビルはとうとう喧嘩してしまう。
その喧嘩のためにバンドが解散となりビルとコニーは離れて暮らすことになってしまった。
さすがアメリカ的、と言っていいのか、ぽんぽんと話が進むし、田舎娘でおとなしいと言ってもかっとなったらすぐ行動で意地悪されてもがんがん言い返すしまあ鬱憤もたまらずはははと観て行くことができる。
本来なら当人がバンドマスターをやっているグレン・ミラーオーケストラに聴き惚れてもいいのだが、えへへそれほどうっとりしてしまうタイプのものではないからなあ。とにかく楽しそうな明るい演奏だ。
コニーとビルは夫婦喧嘩したものの互いに気持ちは離れておらず解散したメンバーに偽の電報を打って一堂に集めるというコニーの策略(というか多分パパが考えてくれたようだ)がまんまと成功してバンドは元通り。怒っていたビルもコニーの大切さを思い知って二人も仲直り、というハッピーエンドであった。
さて気になっていたニコラスブラザーズ”だが彼らは黒人だというのに物語中まったくもって白人しか出てこない。うーむ、昔のアメリカってホントにそういう世界なのだよね。
そしてホントにラストもラスト。もう数分と言うくらいで、復活したビルたちのオーケストラがとあるダンスホールでの演奏で「カラマズー」という歌の後、いきなりなんの前触れもなくいきなり小さな出口のカーテンの向こうから二人の黒人ダンサーが飛び出してきてタップダンスを披露するのだ。「カラマズー」の歌も歌いながら。
私は恥ずかしながら「ニコラスブラザーズ」という名前すら知っていなくて(観てるのにこういうこと書いてたらもっと恥ずかしいが)これで多分初めて観たのだがあまりのタップの切れの凄さに息を飲んでしまった。
一体これって何の為の映画だったのか。
それまでの白人の演奏やらごちゃごちゃしたコメディが彼らのタップで全部吹き飛んでしまった。僅か数分のダンス。
僅か数分を彼らはこれでもかと見せつけるようにタップし、柱に駆け上がってバック転し踊って踊ってすべてをふいにしてしまった。
「タップで殺せ」というキャッチフレーズがなかったか。
とにかく彼らのダンスがそれまでのどうでもいいような映画を全部消してしまった。
何故この映画は彼らの映画じゃなかったんだろう。
どうでもいい白人たちのしょうもないゴシップや恋愛話を延々とやるくらいなら彼らのダンスの物語をして欲しかった。
ずーっと90分無駄話で引き延ばし、何故最後の最後に何の関係もなく彼らのダンスを入れたんだろう。
まったくまーったく脈絡がない。
この映画は最後の数分を観る為にある。何の関係もないのでいきなり観たっていい。
この監督、この数分を残す為にこの他愛ないコメディ映画を作った、ってことはないんだろうか。
彼らの数分のダンスがそれまでの白人たちののほほんとした音楽と比べ凄まじいほどのエネルギーを感じてしまうのだけど。顔は笑ってるし、すっごく楽しげなんだけどね。彼らのターンやタップやジャンプの恐ろしいほどの切れを観てるとなんだかぐっときてしまうのはどうしてなんだろう。
主人公を吹き消すほどかっこいい、というのは何か意味があるような気がしてしまうんだが。

監督:アーチー・L・メイヨ 出演:(私的には)ニコラスブラザーズ(フェイヤード&ハロルド)ジョージ・モンゴメリー アン・ラザフォード グレン・ミラー リン・バリ キャローレ・ランディス
1942年アメリカ 


この映画ではないけど“ニコラスブラザーズ”凄すぎ。


posted by フェイユイ at 23:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『サロン・キティ』ティント・ブラス

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Salon Kitty

先日観た『カリギュラ』同様この作品もポルノ映画に属されているようなのだが、確かに本作は冒頭部分にはグロテスクな映像とともに性的描写が続くのだが、次第にエロチックではあるが単なるポルノとは言い難いような不思議なニュアンスを帯びてくる。

それは本作のヒロインであるマルガリータを演じるテレサ・アン・サヴォイの存在のせいだろうか。
『カリギュラ』ではその妹ドルシラを演じて兄と性的な関係を持ちながら毅然とした態度を持ち続け、真にカリギュラを理解し愛し続ける不思議な存在だったが、ここでも彼女の演じる女性は同じような精神性を持ちまた外見はきつく髪をゆっていたドルシラの時に比べ金色の髪を豊かに波打たせているこちらでの彼女がはまだ少女のようにも見えて売春婦として体を売りながら清らかな処女のようにも見えるのだ。

ヘルムート・バーガーがナチス将校を演じ、イングリッド・チューリンがタイトルロールとして『サロン・キティ』の女主人を演じる本作は『地獄に堕ちた勇者ども』のパロディでもあるのだろうが本作にも低俗のように見えて、しかしこれが実際本性かもしれない、とも思わせられる。
近々そちらとさらに『愛の嵐』も再観してみようかと思う。

冒頭の豚屠殺場面は惨たらしく見えるがこの場面でその後のナチスの行為を暗示しているのだろう。
また、国家社会主義労働党の強い支持者である美しいアーリア人の女性たちが売春婦の館で奉仕する、という内容の是非は知らないがナチスが様々な「製作」を行っていたのは確かだろう。私は観れなかったのだがNHK/BS『金髪のヨハネス・ナチにさらわれた子どもたち』の話からも本作の内容より常軌を逸したことが行われていたのだから。

さて本作ではテレサ・アン・サヴォイを堪能できたがヘルムート鑑賞としてはやや物足りないかもしれない。彼の危うい魅力がテレサの影に隠れてしまったかのようだ。
やはり彼を観る為なら『地獄に堕ちた勇者ども』の危険なヘルムートをもう一度観てみたい。

監督:ティント・ブラス 出演:ヘルムート・バーガー イングリッド・チューリン テレサ・アン・サヴォイ ティナ・オーモン ジョン・アイアランド
1976年 / イタリア/フランス/西ドイツ
しかしこの映画をイタリア/フランス/ドイツ共作でよく作れるものだ。
posted by フェイユイ at 00:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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