映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年08月26日

『ルー・サロメ/善悪の彼岸』リリアーナ・カヴァーニ

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Al di la/ del bene e del male

こういう映画があったとはまったく知らなんだ。DISCASでリリアーナ・カヴァーニで検索してもいかなる仕組みになってるのか出てこないの。どういうわけか判らないけど偶然出てきたのでここで逃したらもう捕まえられないと慌ててチェックした。(なのであそこで探そうと思ってる人は問い合わせたがいいかも)

19世紀末期固い道徳観に縛られている社会に反抗するかのように自由に生きたいと願う3人の男女の出会いがあった。
美しく聡明なルー・サロメは壮年の知識人フリッツと彼を尊敬する若きパル・レー、二人の男性を強く惹きつけるのだった。

実はこの作品の途中でフリッツが「ニーチェ」と呼ばれるまで何の物語はさっぱり判らず観ていた。
この道徳で固まったヨーロッパ社会で自由を気取る3人の男女の話と思って観てたら超人ニーチェだったのでひっくり返った。物事を知らないのは恥ずかしいことだ。
無論、ルー・サロメ(ザロメ)、パウル・レーらも実在の人物とは知らず眺めていたわけで。

ルーを演じるドミニク・サンダが素晴らしく美しく魅力的だ。旧弊な女性の生き方に反感を持つ彼女は裕福なユダヤ女性で後にフロイトに師事したとも書かれているのだから相当な知識人であり、また奔放な女性だったのだろう。写真で観ても確かに美女で男たちが参ったのも頷ける。
自由な思想を持つルー・サロメがすべての束縛を嫌って二人の男だけでなく後に結婚することになるカールや若い男の子たちとも遊んでいるのにもかかわらず男たちがぞっこんになってしまう、というところまでは他にもある物語かもしれないが、監督はリリアーナ・カヴァーニであちらこちらでとんでもない映像が入り込みそれが進むにつれて過激になっていく。
ニーチェがゲイだということも知らなかったのでルー・サロメに求愛するフリッツ=ニーチェが次第にゲイに変換していくのであれれれと思ってたらもう一人のパウルもゲイで死後霊媒師に呼ばれ「実は女になりたかった」とカミングアウトする。幽霊になって告白させられ貴婦人に「恥知らず!」と罵られるなんてあんまり可哀そうだ。

確かに最初からパウルとルーがイタリアの街を歩いているとゲイの男たちが乱交している場面にでっくわすのだから、物語がそういう方向へ進むのも予見できたろうが。
ルーにふられ、ニーチェは次第に狂気の世界へ入っていく。彼が存在するはずのない全裸の悪魔(?)と男が部屋の中で妖しいバレエを踊るのを恐怖の中で見ている場面は圧巻である。またこれも妄想の中でルーと悪魔(?)が若い男の胸を切り裂くのを見るのだが実は自分が髭を剃りながら自分自身を切って血だらけになっていたのだ。
馬に話しかけてぶっ倒れるシーンもあって彼は完全に狂人になってしまう。
パウル・レーもルーと別れ貧しい人々の医者となるが、彼もまた妄想の世界へ入ってしまい、ならず者の男たちに暴行されるが彼の妄想ではもと淫らに鉄塔につながれレイプされまくるのだが、これが彼の願望だったということになるのか。
3人とも実在の人物なのにここまででいるのか、と思ってしまう(外国人だから?)

まったく知りもせず、偶然の出会いだったのだがとんでもない作品もあったものだ。
リリアーナ・カヴァーニ素晴らしい。

監督:リリアーナ・カヴァーニ 出演:ドミニク・サンダ エルランド・ヨセフソン ロバート・パウエル 
1977年イタリア/フランス/ドイツ


ラベル:思想
posted by フェイユイ at 23:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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