映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年10月18日

『クレイドル・ウィル・ロック 奇跡の一夜』ティム・ロビンス

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CRADLE WILL ROCK

ティム・ロビンスは監督。ジョン・キューザックは脇役で富豪ロックフェラー氏として登場。かっこいい役ではない^^;というか金持ちでいけすかない男を極めて嫌な感じに演じていた。あんな格好をさせるっていうのがもう馬鹿にしてるよな。

この映画作品の一番勿体ないところは冗長過ぎることで、観る者の緊張感と忍耐が殺がれてしまいもしかしたら是非見せたいはずの最後の場面の前で止めてしまう、もしくは気力が落ちてしまうかもしれないことで、何故そうなったかというとそれはティム監督の長年の努力と夢が作品を長くしてしまったのだ、ということは判るが、やはりそれでも上りつめるまでが長い。
私としては結構楽しんで観れたのではと思うのだが、まあそれはどこかでティム監督の思い入れを慮っての面白さだったかもしれない。
丁寧に説明してくれているので当時の思想や経済状態が判りやすいのはいいのだが、却ってくどいと感じられもする。
またティムが何度か出演したロバート・アルトマンを意識した群像劇的なイメージも感じられるのだが。
リベラル派と名高きティム・ロビンスらしいアメリカの保守的な差別意識を一掃するような内容でコミュニストを擁護もしくは推進しているように感じられるので自国ではまた叩かれたのではないだろうか。
他国から見れば(まあ日本もそうではあったろうが)極端な共産主義嫌悪が「そこまで追い詰めなくても」と思ってしまうのだが、それが自由の国というのも不思議なようなアンビバレンツというような。
経済的大恐慌があるから共産主義が生まれ、だからこそそれを激しく問い詰め、断罪していくという仕組みになっていくのか。

前半は長い時間をかけて当時のアメリカ社会の様相をじっくり念入りに描いていくので劇映画というより当時のドキュメンタリーフィルムでも観ているかのようだ。
メキシコの画家ディエゴ・リベラの壁画破壊のエピソードなどは当時の思想と意識を表現するのにぴったりの衝撃的な事柄だが本筋とは直接関係ないわけでこれを削らないで使いたかったティム監督の気持ちは汲めるがこれでまたかなり長くなる(しかしあの壁画を破壊するなんて勿体ない!せめてこっそりどこかへ移せばよかったのに。違うか?)私としては映画『フリーダ』を観ててよかった、と思ったところ。
ティムの愛するスーザンはディエゴの友人でイタリアから絵画を売りにやってきたユダヤ女性という役どころ。相変わらずかっこいい。
またもう一つの物語としてかつてはコミュニストとして運動していた腹話術師の物語があってビル・マーレイが才能豊かに演じているのだが、これも物語を説明してはいるがまた拡散してしまう。ここに登場するジャック・ブラックと共に演技には魅了されるのだが。

本筋は、政府が失業者救済処置として計画された「フェデラル・シアター・プロジェクト」でオーソン・ウェルズが演出するミュージカル劇『ゆりかごが揺れる』での(ほぼ)実話である。
様々な苦難の後、ついに上演という日になって、なんと政府は上演禁止令を出す。用意された劇場も組合に入っている役者たちも使えないのだ。
しかし劇を期待する人は多い。ウェルズら関係者たちは別の劇場を探し出し、組合に入っていない作曲家マーク一人だけでの上演を思いつく。
出演できない役者たち、劇を期待する人々はパレードしながら別の劇場へと向かう。
舞台に一人作曲家のマークはピアノを弾き歌い出す。そこへ重ねて歌い出したのはその歌を歌う役の女優オリーブだった。

そこからの劇場の光景は鳥肌がたつような緊迫感と高揚感がある。劇場のあちこちに隠れるように座っていたミュージカル俳優たちがマークの先導する歌と共に合わせて歌い台詞を語る。客席を縫うように彼らはあちらこちらに集まり『ゆりかごは揺れる』を演じたのだ。舞台には上がることなく。
劇は仕事もなく食うことにも困った労働者男女の激しい怒りを歌ったもので同じ気持ちを抱える観客たちはやんやの喝采を俳優たちに与えた。
その一体感は映画を越えるような素晴らしいものがあってぞくぞくしてくるほどだったのだ。

この感動とこの作品をどう評価したらいいんだろう。
題材も考えも映像も優れたものだと思う。冗長に思える前半も私は決して悪いものではないと思うのだが、それでもこの長さはやはり命取りだったかもしれない。
悔しいだろうけどせめて2時間を切るくらいの作品に仕上げていたらもう少し感動が強かったのではないだろうか。
(なんだか大好きな彼とのセックスなんだけど、あまりにも前戯が長すぎて凝り過ぎてクライマックス前でもういいよってなってしまった女性の気持ち)
でもティム・ロビンスが好きだし、しかもこのテーマ、彼の気持ちが物凄く伝わって来て私としては「うん。凄く素晴らしい映画(セックス)だったわ。感じちゃった」ってだけ言ってあげたい。

本作は監督のみなので(多分)彼の出演姿は観れないが特典にたっぷり登場。
しかもすごくかっこいい。こういうコメディーな俳優って実際見ると全く違ってクールにハンサムな場合があるけど、見事にそういうタイプ。
スーザンと共に来日してた様子。一緒のインタビューじゃなかったけど、二人ともやっぱ素敵なのだわ。ティムはさすがすらりと長身で結構細身に見えて少し白髪交じりの顎髭もあったので丸顔が少し面長になってサングラスもしてたし、よりインテリジェンスであった^^;
二人で来てたということでも仲がいのだろうけど互いに相手を認め合ってうーん羨まし過ぎるわ。

監督:ティム・ロビンス 出演:ジョン・タトゥーロ エミリー・ワトソン ハンク・アザリア スーザン・サランドン バネッサ・レッドグレーブ ジョーン・キューザック ジョン・キューザック アンガス・マクファーデン  ビル・マーレイ
1999年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ティム・ロビンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ハイ・フィデリティ』スティーヴン・フリアーズ

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High Fidelity

これもティム・ロビンスはほんの僅かの出演でしかも相当キモイ(そういうつもりじゃないのかな)役であった。本当の意味の友情出演なのかもしれない。

ジョン・キューザックとは何故かこれまで(多分)縁がなくてじっくり彼を観るような機会がなかったのでこれが初なのだが、この作品の彼を観て「この人いいな」と思わない人がいるんだろうか。
ヲタクでいつもふられてばかり、という役としてはちょいとハンサム過ぎる気はするが、でも観てると「ふられるのもなんとなく判るなあ」と思ってきてしまう。本人は自分をいい人間だと思っているんだが女性から見ればちょっとずつずれている奴なのである。もし自分が男だったらふんふん判る俺も同じ、みたいな共感をしてしまいそうだ。でもこの主人公はそのまんまでいいやというダメオじゃなくて自分が彼女をどうして傷つけていたのか、これからどうしたらいいか、ってのをきちっと解決していくという随分前向きヲタクなのである。

音楽が大好きで自分の感性に自身があるが為に趣味半分兼ねて経営している中古CDレコード店も半分利害抜き半分はやっぱり利益欲しい、という感じである。二人の店員も主人以上のマニアで何かと3人の意見がぶつかるのがおかしい。
私はとても音楽マニアとか言えるような人間じゃないけど音楽マニアに凄く憧れていてクラシックは抜きにしても音楽関係はなんでもござれと語れる人になってみたい。系統立てて話したり色んな裏話を知ってたりこれが好きならこれもいいよと勧めてみたり。キューザック演じるロブもいいけど他の店員二人が実に楽しそうで羨ましくなってしまうのだ。
いつもながら凄い迫力あるマニアのジャック・ブラックの激しい語り口が楽し過ぎるのだがもう一人の大人しめのマニアくんも捨てがたいいぶし銀的魅力がある。同じようにマニアックなお客の女性といい仲になってしまうという展開も楽しい。
このレコード店って映画の為に作ったものなのか、中古レコード店ということでどこか侘しげな佇まいであるしこじんまりとした空気がなんともよいのである。

主人公が語りかけてくる式の構成も判りやすいし、マニアックなこだわりも楽しいし、電話魔になったりホントに情けない男全開の奴なんだけど共感してしまうのだよねえ。
前向き人間になるのはいいがあこのヲタク感覚は無くさないでいてほしい。

ティム・ロビンス探求としてはまたまたちら観で終わってしまったが長髪で物凄く嫌らしいティムを観れてよかった、かな。
次回はティム・ロビンス監督でジョン・キューザックが出演している『クレイドル・ウィル・ロック 奇跡の一夜』を観ようと思っている。製作時期は本作の方が後になるのだが。

監督:スティーヴン・フリアーズ 出演:ジョン・キューザック イーベン・ヤイレ キャサリン・ゼタ・ジョーンズ ティム・ロビンス リリ・テイラー ジャック・ブラック リサ・ボネ ジョエル・カーター
2000年アメリカ
posted by フェイユイ at 00:16| Comment(5) | TrackBack(0) | ティム・ロビンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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