映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年10月27日

『ミルク』ガス・ヴァン・サント

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MILK

ガス・ヴァン・サント監督がこの映画を作ると聞いてからハーヴェイ・ミルクという人物のことを知り、またドキュメンタリー映画がDVDでレンタルされていたので参考にと思って観賞したのだがそのドキュメンタリーが非常に優れた作品で初めて知ったハーヴィーにすっかり魅了されてしまった。
そのせいもあって実を言うとサント監督の『ミルク』の方が不安だった。正直ショーン・ペンは幾つか観ているけどどうも好きになれないのだ。先日もティム・ロビンス監督作品と共演作品を観たが筋張った切れそうな男の演技とあの表情も好意を持って観れない。ハーヴィー本人は物凄くのっぽで凄く優しそうな明るい顔のハンサムでショーンとは全く違うイメージである。何故サント監督が彼を選んだのか、やはりネームバリューのある俳優だから注目されたい目的なのかと思い、観るのすらためらわれていたのである。彼のことはドキュメンタリーを観て知ったからもういいや、とも思った。

まあでもサント監督の作品は観たいし、ショーンのことはなんとか我慢しようという気持ちで観始めたのだが。
とんでもなかった。
いつ観ても嫌だったショーンの顔はそこになくてあの映像で観たハーヴィーそのもののような顔と雰囲気だった。それはちょっとした仕草や表情にも感じられたし今までいいとは思ってなかったけどやはり皆が認めるだけあって力のある役者なのだと今更判ったのだった。
それは勿論私が嫌だと感じる腫れものみたいな男っぽさを消してしまっていつも笑顔や冗談を交えた話しぶりや時々すっかり女っぽくなってしまうのが私には好ましく思えるからなんだろう。
観る前までの不安はどこへやらすっかりもうハーヴィーを観てるんだと言う気持ちで入り込んで観てしまった。

ドキュメンタリーを観ていたせいもあったし、物語もほぼあれで語られていたことそのままのようだったのでそれに物語と登場人物の肉付けをしたような感じで観て行くことができた。
何と言っても感心してしまうのはジョシュ・ブローリンで彼はブッシュも演じたわけだが、よくこんなにも嫌われる人物を恐れることなく演じられると思ってしまう。誤解されることもあるのではないだろうか。ショーンにミルクが乗り移ったのならジョシュにもホワイトが入り込んでしまっているような嫌らしさ。それでも彼が単なるゲイフォビアなのだけではなく、複雑な強迫観念に苦しめられていると感じさせた。彼の刑期が短すぎることが却って彼を自殺させてしまったのかもしれない。ゲイを嫌悪し差別しなければいけないとする考えや社会が彼を追い込んでしまったのではないだろうか。
しかしそんな原因や理由が何であれ、何故ミルクのような素晴らしい政治家が殺されてしまうのだろうか、という単純な疑問を感じてしまう。
彼がもっと生きていてくれたら。政治家としてだけではなく、彼自身も自分を隠し続けてきてやっとカムアウトし、これから自由に生きていける、というはずだったのに。
(ハーヴィーが「自分がゲイだと隠し続けたことで恋人たちを自殺未遂に追いやった」と苦しむ。そして、彼がゲイ解放の為に忙しく働くことで恋人を死に追い込んでしまう。この経緯は悲しかった)
ゲイフォビアの人たちはこの映画を観てもやっぱり気持ち悪いと思うのかしら。今まで嫌いだったけど彼を観てそうでなくなった、という人が少しでも増えることを願いたい。

それにしてもガス・ヴァン・サント監督。私の不安感と不満感を見透かしたかのようにショーンの脇に凄く可愛い男たちをずらりとそろえていたのだねえ。知らなかったのだ。
物語の中でハーヴィーの最初の恋人スコットにジェームズ・フランコ。えー凄く可愛い。最初の巻き毛ヘアーから短髪お髭。私は短髪髭が好き。眼鏡君にエミール・ハーシュ。何か軽いノリで可愛い。そしてハーヴィーの2番目の恋人にディエゴ・ルナ!これがすんごく可愛いの。何故かお馬鹿なんだけど。ひたむきで…、なのに…あんな最後なんて。
最後に役者と実在の人物が出てくるんだけど本物の方が皆ハンサムと言う(笑)不思議。

私にとってサント監督の映像がなによりの好物なんだけど、ここでも大好きな移動する風景が出てきて嬉しかった。あのがさついた荒い映像も好きなのだ。

監督:ガス・ヴァン・サント 出演:ショーン・ペン エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン ジェームズ・フランコ ディエゴ・ルナ ルーカス・グラビール ヴィクター・ガーバー ジョセフ・クロス
2008年アメリカ


posted by フェイユイ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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