映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年11月04日

『悪い種子(たね)』マービン・ルロイ

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The Bad Seed

この映画のタイトルを知ったのは昔、森茉莉の『甘い蜜の部屋』で娘に甘いパパが可愛いモイラを評して「『悪い種子』の子供のようには悪くないが・・・」みたいなことを言っていたのでどんな映画かとぼんやり思っていて特に探しもしなかったのだが何となく見つけて(って随分長い時間が経ち過ぎてるが)ようやく観ることになった次第。
舞台がかった演技はやはり元演劇だったようだが、この物語にちょうど合っているしその演出が面白くて食い入るように観てしまった。

ぼんやり思っただけだが、日本ではこういう「悪い子供」という設定の話はさほど目立たない気がするが西洋では「子供は天使のように清らかで可愛い」という考えと対立するようにしてこういう悪魔的な子供の物語が結構存在しているようである。
そして本作ではもうひとつ付随してそれがタイトルにもなってるがこういう悪魔的な人間になるのは遺伝(つまり種子)なのかそれとも環境なのか、という問題である。
自分としてはどちらか一つということではなくそれらやまた他の条件も重なっていくことで人格が形成されるんじゃないかとしか言えないが、本作でも遺伝(種子)によって恐ろしい子供が生まれた、という展開にしながら最後の最後の場面は教育が大事、と言っているようであるが。
とは言え、本作の見どころはそういう原因と結果をつきとめることではなく、ローダというまだ8歳の可愛くておませでお行儀もよい良家の少女が欲望が湧きだすままに行動していくことで起こっていく事件とそれにまつわる大人たちの言動が芝居がかって大げさでありながら実にリアルで目が離せなくなってしまうのである。
これは親になってから観ると恐怖はさらに倍増してしまう。特に母親はとても他人事としては観ていられない。
こんないい家庭のいい夫婦に何故こんな子供ができてしまったのか。両親があまりに善人過ぎて子供を厳しくしつけきれなかったのか、自分がいい人間だから娘に他人を憐れむ気持ちをあえて教えなくても判るはず、と考えてしまったのかもしれない。では自分はきちんと教えているのだろうか。
それにしてもローダの悪さにどこか惹かれていはいないか。息子を殺されたと酔っぱらって文句を言いに来る母親の方に悪意を持って観ているような気がするし、おどおどしっぱなしの母親に同情しながらもあまりのふがいなさに苛立ちもする。脅迫するリロイにも腹立たしさを感じてしまうし、ローダを嫌っているという女性教師にも好感を持てないのは何故なんだろう。

何となく『ヘレン・ケラー』の悪魔版、という気がした。ヘレンは元々目も耳も口もきけない、ということで甘やかされているがその姿を見たサリバン先生は「彼女は人間ではない」と考えて教育しついに彼女に光を与えることに成功する。
ここでのローダは逆に何でもできる優秀な子供だ。だがその心を矯正することはできなかった。無論ここにはサリバン先生は登場しないわけだが。

ローダの悪魔的な魅力に惹かれながらもそれは恐ろしいことで認めるわけにはいかない、と対立する感情に襲われる。
結果、あの結末で終わるしかないのだろう。神の御技でしか彼女を抑えることはできなかった、ということで物語を終わらせる。だが、その先の物語があるように思えてしまうのだ。

監督:マービン・ルロイ 出演:ナンシー・ケリー パティー・マコーマック ウィリアム・ホッパー ヘンリー・ジョーンズ アイリーン・ヘッカート
1956年アメリカ


ラベル:サイコ 家族
posted by フェイユイ at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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posted by フェイユイ at 00:06| Comment(4) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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