映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年11月16日

『マグアンタナモ、僕達が見た真実』イケル・ウィンターボトム マット・ホワイトクロス

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The Road to Guantanamo

パキスタン系イギリス人である4人の青年たちの一人が親兄弟の住むパキスタンで行う結婚式に参加する為に里帰りする。
結婚式前に彼らは米軍に侵攻されたアフガニスタン難民を救うボランティアついでに経験を積もうと言うような軽い気持ちで国境を越える。
ところが彼らを待ち構えていたのは想像もつかない北部同盟とタリバンの激しい戦闘だった。

イギリスの平和な暮らししか知らない彼らが気まぐれで起こした行動を軽はずみだと言っても仕方ない。
しかし彼らが体験したものは過酷という言葉では簡単すぎる。自分たちで選択した行動によって20代前半の輝かしい時期を彼らは拷問を受け続けることに費やしてしまったのだ。

それにしてもアメリカ軍の「人道的だ」と言い張る尋問の内容を見ていると恐ろしさに震えてしまうが、反面こういうことを繰り返さねばならない兵士たちの青春も虚しいものだ。一体あれらの行為をやり続ける為に「これは国の為だ」と自分に言い聞かせるのだろうか。それとも「仕事だから仕方ない」と?
無論、その拷問を受け続ける収容者たちの方を憐れむのだが、「勇敢な軍人」などと自らを奮い立たせ、行っている行為が真実に正義であると心から信じられるのだろうか。この映画を観ている分にはとてもそう思えないが、それでも「奴らは悪だ。テロリストだ。絶対的な信念を持って彼らに白状させねば正義のアメリカ国民に災いが襲いかかる」と唱えながらやっていることなのだろうか。アメリカ映画に観る正義感溢れる主人公ではなさそうだ。
だがこれが真実なんだろう。
もし自分がこの主人公のような運命にあったら、と思う以外にもしこの兵士の一人だったら、と考えるとぞっとする。同じような虚しい虐待を与え続けるしかない毎日。ナチスを悪魔のように例えながら自分たちも同じような行為を犯しながらそれを正当化する大義名分は自分たちだけは正義だと信じることだろうか。
何の答も出ないことが次第に判ってきても同じ質問を繰り返す。主人公たちが嘘の答えをしてしまうように彼らの信念も虚偽で支えられたもののように思える。
彼らの精神が何の歪みもないまっすぐなものであると信じられるだろうか。彼らもそうすることしかできない軍隊の規律に狂っていっているだけなのではないか。
戦争を描いた作品を観るといつも虚しさに襲われるがこの作品もまた同じである。人間は一体何をやっているんだろう。

ウィンターボトム監督作品を幾つか観てきたが、こういうドキュメンタリーのように思える映像の作り方がうまい。
本人たちよりさすがに役者の彼らがかなりハンサムなのは御愛嬌として。(本人たちも悪いわけじゃないが)

監督:マイケル・ウィンターボトム マット・ホワイトクロス 出演:アルファーン・ウスマーン ファルハド・ハールーン リズワーン・アフマド ワカール・スィッディーキー シャーヒド・イクバル アシフ・イクバル ローヘル・アフマド シャフィク・レスル
2006年イギリス

米軍から見ればムスリムたちは獣のようなものとして「扱う」のが妥当なのだとしか見えない。
中で収容された彼らが「動物園と同じだ」と言っていたがとんでもない間違いで、動物園の動物はもっと大事にされている。


ラベル:戦争 歴史 運命
posted by フェイユイ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベン・ウィショー『Bright Star』サウンドトラック

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kikoさんからベン・ウィショー情報いただきました。ありがとうございます!!

アメリカ版AMAZONで『Bright Star』のサウンドトラックが購入できます。

Bright Star [SOUNDTRACK]

サンプル是非聞いてみましょう。ベンの声が聞けますよー。わーい。
posted by フェイユイ at 00:49| Comment(4) | TrackBack(0) | ベン・ウィショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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