5作目(シリーズ3作目)にしてマンネリ化を脱却しようと試みているかのような作品。
用意周到な殺人ではなく、殺害場面になる途端に場面が切り替わってその様子を窓の外から目撃した女性がいた、という展開になる。ただしそこが海上のヨットの上からだった、ということで窓からかなりの距離がある為犯人と被害者の顔までは認識できなかった。
その女性が警察に通報しコロンボが動くのだが、犯人とされた人物は英雄と称されるホリスター将軍であった。顛末を聞いた将軍は通報した女性に近づき身の潔白を証明する為に彼女に打ち解けて付き合っていく。そうするうち、通報した彼女自身が将軍に好意を持ちコロンボに向かって自分が間違っていた、と通報を取り消してしまうのだった。
前回と同じく衝動殺人ではあるが、かっとなって尻尾を出しまくった男と正反対に何事が起きても動じない軍人、という展開にしたのが面白い。一時的にはすぐ犯人を見破るコロンボですら騙されてしまうという冷静沈着な態度であった。
物語としては疑問はないのだが、結局決め手になったのは海底に沈めたはずの被害者が偶然海上に浮かびあがったことになるわけで、もしその偶然がなければこの殺人事件がどういう決着になったのか教えて欲しい気がする。つまり死体が見つからないのだから?
女性を丸めこんだのは将軍としての作戦だったのか(後で事件がうやむやになれば別れる?)それともさすがの将軍もこの年にして恋をしたのか。あっさりした結末からすれば作戦だったのか。
女性の方も案外あっさりと「変な男にばかり引っかかって」と言ってるんでまだそれほど真剣ではなかったのかね。
人並み外れた勇気を持った将軍だからこそできる隠し方、凶器を陳列棚に保管する、というのがなかなか面白いトリックだった。
ラストシーンで大きく額縁いりの「マーク」が映し出されるのだが、一見「ナチスのハーケンクロイツ」?と思ったのだが向きと角度が日本・中国のいわゆる寺マークの卍であった。
一体これは?朝鮮戦争での英雄と言ってるからその時の戦利品とか?ちょっとこれも何か知りたいなあ。
最初に通報を受ける若い警官くんが可愛かった。『コロンボ』の中では珍しい?
監督:ジャック・スマイト 脚本:ジョン・T・デュガン 出演:ピーター・フォーク エディ・アルバート スザンヌ・プレシェット
1971〜1972年アメリカ