映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年12月13日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.5』「黒のエチュード」

Etude in Black

クラシック指揮者が浮気相手の女性を殺害。その理由はその女性が秘密の愛人という立場に不満を持ち正当な結婚をしたいと迫られたから。
が男の方は莫大な財産を持つ妻と離婚するつもりは一切なかったのだ。

コロンボの敵として見本のような存在。優秀で人気のクラシック指揮者。常に冷静に(怒っている時は演技である)計画を立て実行する。
他の男に容疑がかかっても彼を庇いながらどこか罪に陥れるような微妙な擁護をしている。胸に付けた花を現場に落としたのを拾って胸に着け直したことがばれても落ち着いてしらばっくれる。妻が自分に疑いを持ってても慌てない。そして最後に追いつめられても妻に「君を愛している。僕は有罪になる。有利な弁護を頼む」と耳打ちする。
怖ろしい相手である。コロンボに逮捕されると理解すると、その後の裁判の行方を早々と見据えている。
物語としては犯罪やトリックは工夫はされているがあっと驚くほどはないが、本筋以外の部分が楽しめた。
まずコロンボが池で拾ったというだらんとした犬。バセットハウンドという奴でぼけっとしたとこがなんともかわいい。実際ピーターのペットであるらしい。コロンボが抱っこした姿もユーモラスで実に愉快。
次は被害者の隣に住んでいるという女の子。アメリカの少女らしくおませで利口でコロンボに全く負けていない。彼女も愛犬家なのでコロンボが駐車した車の中に犬を入れっぱなしにして窓を閉め切っているのを叱りつける。バレエの稽古をしているとこにコロンボが訪ねていって「君は素晴らしい少女だ」と言うと「体が?精神が?」と問いただす。
しかしコロンボが彼女を使って犯人を追い詰めようとオーケストラの練習場所へ連れていくと指揮者ではなく、他の男(確かに被害者と付き合っていた)を指差してしまいコロンボも酷く狼狽することになる。
この場面ってちょっと驚き。いくらなんでもこんな小さな女の子、というか大人だってだけど、を直に犯人を指差させるなんてありえないだろう。後でどんなことになるか判らないのに。
ドラマとしては面白い演出であったが。

さていつもちょっとエロチックな要素のあるスティーブン・ボチコ脚本。今回は、というとやはり他にないロリータの雰囲気だろうかね。しかも少女にいたぶられて満更でもなさそうなコロンボだった。

そして観ながら物凄く気になったのが、指揮者の美人妻。どう観てもグウィネス・パルトロウなんだけど年齢が絶対合わんし、と思ってたら彼女のお母様であった。いやあミステリーだった。

パット・モリタさんが執事役で登場。

監督:ニコラス・コラサント 脚本:スティーブン・ボチコ 出演:ジョン・カサヴェテス マーナ・ロイ ブライス・ダナー ジェームズ・オルスン パット・モリタ
1972〜1973年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『リカウント』ジェイ・ローチ

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RECOUNT

政治問題に疎い(なんにでも疎いが)私でも2000年のアメリカ大統領選挙のすったもんだはさすがに覚えている。ニュースでは、見開きの投票用紙に穴を開けて機械で集計ができる最新型のはずだったのがどこに穴を開けるのかがよく判らずしかも紙が硬くて開けにくくお年寄りが特に失敗してしまい短時間で集計できるというのが目的だったはずなのに却って物凄い時間と労力がかかり集計ができないの無効だのという騒ぎだった。いくら他所の国の出来事とはいえ一体何をやってるんだいという見世物だったが、その結果ジョージ・ブッシュが大統領になりこのような世界になってしまったんだから笑い話ではすまされない「穴」の話である。

非常に細心丁寧な出来栄えのドラマで私にも飲み込めるよう説明してもらえたのだが、もっとよく知る為には付属しているドキュメンタリーや対談、コメンタリーも観たほうが(無論他での勉強もだが)いいんだろうが取り敢えず本編を観たのみでの感想である。

これを観た限りで判らないのは「何故この方式で投票をしたのか」である。
そのことを後でウジウジ言ってもしょうがないからなのか(少なくともこの争いの途中で愚痴っても仕方ない)そこには触れていないが、ぱっと見穴を開ける場所を勘違いしそうでしかも穴を開ける力が相当必要だ、というような投票用紙を誰がデザインし、どうして許可が下りたのか。最高に優秀な人材がそろいに揃っているはずなのに何故誰も用紙の不備からくる失敗を予想しなかったんだろう。
ここではそのことが共和党ブッシュに有利な結果になったわけだが、それは共和党にとって予想されていたことだったんだろうか。

そしてほんの少しの票も欲しいはずなのに案外投票方式に関するとりこぼしが多々あるのだが、特に犯罪者と似た名前に人物(多くは黒人など有色人種つまり民主党派の可能性が高い)が投票拒否になっていた人数が2万人であるのにそういった事実をまったく知らずにいたという失敗。
悔やんでも悔やみきれない、というミスが次から次へと湧いて出てくる。大統領選挙は4年に一度だし、経験者ばかりがいるわけでもない。投票方法も初めてのやり方と言う中で、本作の主人公であるロン・クレインも手探り状態でなんとか今にも手放しそうになってしまう勝利へと糸口を掴もうと必死にもがき苦しむ。
途中で「一体ゴアが好きなのか判らなくなってきた」というのがおかしくて、もう自分のやっていることがゴアを大統領にしたいのか単に集計し直し(リカウント)をすることが目的なのか、観てるこっちもゴアが出てくるわけでもないからただもう集計するのしないのという不可思議なシーソーゲームの成り行きを見つめているしかない。結果は知っているにも関わらず歯噛みしたくなるドタバタ劇だ。
しかし、と思うのは結局対岸の物語、というかこちら側の物語でもよくは判らないんだが、民主党側からの作品なので共和党陣営があまりに憎々しく描かれているのは当然のことなんだろうな。私としてもブッシュ側の描き方としては何の不満も持たないが。
とはいえ主人公ロン・クレインが一度ゴアから首を切られたという苦々しい過去があり作品中でも「ゴアが好きなのかよく判らなくなってきた」と言うのに比べ、敵のトム・ウィルキンソンが何故ブッシュに尽くしているのかと言えば、ウィルキンソンはかつて民主党だったのに妻の死で落ち込んでいた彼を励ます為にブッシュが政治活動を勧めて元気づけてくれたからだという人情物語が核にあったのだというのがまさか勝敗を決める心意気の差であると言っているのではあるまいな。案外そういう気持ちの差がブッシュとゴアの差だったりしたとか。

しかしなあ、確かにこれでブッシュ対ゴア(共和党対民主党)はうやむやの中で共和党ブッシュになったと思われても結局彼は2期目までやってしまうのだ。
それは一体どういう顛末だったんだ。ラストでクレインたちが4年後に会おうって言ってるが結局何もできなかったのか。
この作品が作られるのが遅すぎたのかもしれない。

本作で一番印象的なのは何と言ってもキャサリン・ハリスのローラ・ダーン。ハリケーンのような化粧と共にあの表情あの話しっぷり。記憶から消し去ることができなさそう。

監督:ジェイ・ローチ 出演: ケビン・スペイシー ボブ・バラバン エド・ベグリー・Jr ローラ・ダーン ジョン・ハート デニス・リアリー トム・ウィルキンソン ブルース・マッギル ブルース・アルトマン ジェイン・アトキンソン デニス・レアリー エド・ベグニー・ジュニア
2008年アメリカ
ラベル:政治 歴史
posted by フェイユイ at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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