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2009年12月20日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.7』「偶像のレクイエム」

Requiem for a Falling Star

コロンボを観直しててまったく感心してしまうのはどの回も色々な面が他のと違うように工夫されていることだ、というのは何度も書いたと思うが今回もまたさらに唸らされてしまった。

コロンボシリーズは何と言ってもコロンボ警部の個性が物凄く強烈なのでその部分だけが、彼の話し方とか仕草とかがすぐ思いついてしまうのだが、無論こんなに世界各地で長く愛されているのはやはり物語にそれぞれの特徴があって飽きさせない面白さがあるからだろう。
しかも今では当たり前の猟奇趣味だとか性的犯罪の露骨な描写は抜きなので多くの国で許容されるし家族団らんで観れるのも強みであるに違いない。
その上で様々な創意工夫がなされているわけであるが、普通回が進めばマンネリだとかネタ切れだとかになりがちだがコロンボシリーズ14作目にしてますます脂がのってきて話もより練られていると思えるのは脚本家や演出家が入れ替わってやっているからというのもあるのだろうか。
とはいえ今回は脚本・演出が前回と続いている。このジャクソン・ギリスという方がコロンボシリーズの脚本を一番多く手掛けていてしかも水準が高いのだ。

本作のコロンボで最も変わっているのは確かに殺人事件現場は観客の目の前で起きるのだが犯人の動機が実は最後まで判らない、ということにある。
最初は被害者と恋仲になっているゴシップライターの男から弱みを握られ強請られたことで起こした殺害計画が偶然による間違いかと思わされる。大女優である犯人の余裕のある言動や華やかな様子にコロンボ同様見惚れてしまうのである。そしてコロンボと共に彼女の行動が何を示しているのかを少しずつ知っていくことになる。
今回のコロンボは青春時代の思いで深い女優さんから優しく接してもらえることでかなり嬉しそうで観てても可愛らしい。背の高い役者の出番が多いのでコロンボの小柄さが目立つ。華やかな映画界が舞台のせいか、彼の貧相ぶりがますます強調されているようにも思える。愛車もいつもに増してオンボロになってしまったようだ。
またネクタイがいつも同じだと大女優ノーラから指摘されお洒落な金色のネクタイをプレゼントされるのだが、「明日そのネクタイをしてないと結婚記念日なのでまずい」と言っていつものネクタイを取り返す。
また「女房があなたの大ファンなので電話に出てもらっていいですか」と妻に電話する、という貴重な場面があるのだが2回とも買い物に出ていて代わりに甥っ子が大女優と話してどうやら大興奮になったようだ。
この大女優ノーラを演じているのがアン・バクスターで先日私はやっと彼女の『イヴの総て』を観てそれこそ大感激だったのだが、彼女の実際の衣装デザイナーであるイデス・ヘッドがそのままアカデミー衣装デザイン賞を取ったイデス・ヘッド本人の役で登場してコロンボに贈るネクタイを運んでくるのだ。楽しいねえ。

監督:リチャード・クワイン 出演:ジャクソン・ギリス 出演:ピーター・フォーク アン・バクスター メル・ファーラー イデス・ヘッド
1972〜1973年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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