映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2009年12月22日

『ロシアン・ブラザー』アレクセイ・バラバノフ

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ълат/brat
(しっかしこの画って何?)

何の導きだったか突然ロシア映画に手を伸ばしてしまった。ロシア、という国は時代が近くなればなるほどどういう国であるのかどういう状況なのかが判らなくなってしまうような気がする。何しろ知っているロシアというのはドストエフスキーだのツルゲーネフだのからロシア革命を経てゴルバチョフ、エリツィン、プーチンなどの名前を知っているだけにしか過ぎないという私である。どうやら今でもかなりおっかない国のようだ、という感覚だけである。
さて例によって何の予備知識もなく(というか、どうやらヤクザな話のようだってくらい)観た本作であるが、これがなかなか面白かった。

暗くどんよりと重く観ているだけで体が凍りつきそうに寒い映画なのだが、それはあえてそういう効果をだすことで物語をクールに見せているのであろう。
主人公が夢中になっているナウチルス・ポンピウルスの曲が絶え間なく流れる。
田舎から兄を訪ねてサンクト・ペテルブルグに辿り着いた青年ダニーラは徴兵を終えたばかりで何の蓄えも学問もない。殺し屋稼業に携わっている兄の求めるままにダニーラもまた殺し屋となっていく。

田舎から大都会へ突然入り込んだ若者、という物語は通常なら雑踏の中で手酷い目に会う、という描写になるところだが、この、まだ少年のように見えるセルゲイ・ボドロフ・ジュニア演じるダニーラは何も恐れることもなく彼が「悪」だと感じた者に対して制裁を食らわしていく。そして「都会は力だ」と言ったドイツ人に対して「都会には弱い奴しか住んでない」と言い捨てるのである。
一体、この物語から何かロシア社会の意味を汲み上げられるのか。それとも確かに弱者は都会の力に飲み込まれてしまうものなのだからこそ、ダニーラという超人的な若者、しかしその生まれ育ちは貧しく教育もないのだが、を登場させ絶対にあり得ない力で都会に住む悪党たちを成敗していった、ということなのだろうか。
まだあどけない童顔のダニーラは金も権力も何らかの才能なども持ってはいないのだが、強い意志と身じろぎひとつせず悪人を叩きのめしてしまう腕力、そして銃を持たせれば何の呵責もなく人を殺してしまう精神を持っているのである。
その一方で道端で細々と物売りをしているドイツ人やぶらぶらしながらその日暮らしをしているような少女、夫に暴力を振るわれている中年女性、ヤクザに襲われる弱虫の男性などにはひたすら優しくいたわるのである。そして自分をヤクザに売った兄貴に対しても恨んだりはせず、昔兄が自分に優しかったことを話して「ブラザー、兄弟」だと抱きしめるのである。尚且つ兄を虐待したヤクザどもをぶっ殺す。

こうして書いていけば、この映画がロシアで物凄い人気だったのも当然のような気がする。貧しくても何の後ろ盾がなくても自分の力で悪い奴らをぶっ飛ばしてしまう爽快感。弱い者は助け、彼らがその弱さゆえに彼に冷たい仕打ちをしても恨んだりすることもしない。
まさに大衆が求める正義の味方、なのだが、作品からそういった昔風の押しつけがましさがないのはヒーロー役であるセルゲイ青年があまりにも普通の可愛らしい青年で朴訥として見えるからなのだろうか。気取ったところがない無垢な青年としか思えないからなんだろうか。
この素晴らしいダニーラを演じたセルゲイ・ボドロフ・ジュニアが事故により30歳の年齢ですでに亡くなっているという事実が衝撃だった。

こんないい映画だったのに私が一番気になってしまったのは最後ダニーラが町を離れモスクワへ旅立つ時、ヒッチハイクでトラックに乗せてもらうんだけど、どういうわけか運ちゃんがダニーラを気に入った様子でにかにか笑っている。ダニーラも笑い返すんだけどその様子がどうにも意味ありげで。
大体、作品中にも女は登場するんだけど一人はお母さんに見間違える年上の女性とダニーラにたかるヤク中の若い女でそれはどうでもいいなだけど、肉体関係を持った彼女たちより町であったドイツ男やヤクザに苛められるラジオディレクターや兄貴との関係の方がより親密に描かれているっていうのが凄いツボの映画だったんで、ラストの運転手オヤジとのにやにや笑いが妙に気にかかるのであった。ダニーラ可愛いしねー。二人の女に酷い仕打ちにあったんで今度はオヤジかよーとか。
含み笑いだけで終わるこの作品、気になるなあ。

監督:アレクセイ・バラバノフ 出演:セルゲイ・ボドロフ・Jr. ヴィクトル・スホルコフ スヴェトラーナ・ビスミチェンコ ユーリー・クズネツォフ マリア・ジェコワ
1997年ロシア


posted by フェイユイ at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「007」シリーズ第23作は「ショッキングな展開」に

「007」シリーズ第23作は「ショッキングな展開」に。脚本家が明かす

って。どんな?どんな?
以前ダニエルが「そろそろゲイのボンドが出て来てもいいんじゃ」って言ってたけどまさか・・ね?
もしそうならほんとショッキングだわ。しかも007はダニエルに決まりみたいだし(他の人ならそこまでないかも?)
posted by フェイユイ at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ダニエル・クレイグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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