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2009年12月28日

『刑事コロンボ 完全版 Vol.11』「意識の下の映像」

Double Exposure

なるほどこれは『コロンボ』というドラマシリーズのスタンダードといってよい作品なのだろう。
犯人の極めてトリックを駆使した犯罪。犯人は知識人でありいかにも裕福な階級に属し申し分のない人種である。相変わらずコロンボは犯人の仕事に興味を示し素晴らしい集中力で彼の内面へと入り込む。そしていつもの執念深さで犯人の周囲をうろつきまわり犯人が参ってしまうほどのストレスを与えて冷静である彼が次第にぼろを見せてしまうよう仕向けていく。「異常な事態におかれた人間は考えられない行動をとってしまう」という台詞はこのドラマの中で何度使われただろう。無論コロンボは全てを察した上でこの台詞を犯人が使ってしまうことを楽しんでいるかのように思える。
かみさんの話などユーモアはいつも通りで過不足なくまとめられた作品である。
ただ一つ観客の本当の謎は「サブリミナル効果」というものがそれほどまで人間を左右してしまうんだろうか、ということではないのかな。
それが事実かどうかは別にしてもどうしても「頭の良い犯人」の有罪を立証する手立てがないコロンボはいつもの罠をしかける。
それが犯人自身が犯罪の時に使った罠なのだという面白さなのだった。

コロンボの定番というべきドラマでつまらなくはないのだが、却ってあまりにも当たり前のコロンボだ、と思ってしまうのは贅沢だろうか。
しかしこのドラマにもう一つの犯罪があってそれが犯人の犯罪を見破ってしまった映写技師の殺害なのだが、それの解決の決め手となるのが彼の癖というべき「映写しているフィルムの最後にコインを挟んでおくこと」
これをやっておけば読書しててもコインが落ちる音がした時にフィルムを交換すればいい、というアイディアなのだった。
彼が殺害された時にこの工夫がされてなかったのでコロンボはフィルムが何巻目だったのかを見破ってしまうのだ。むしろこっちの方が納得できるのだが、やはりこれも法廷での物的証拠にはならない、んだろうな。

なんだか寂しい感じがするのは色恋沙汰や美人の出番が話の上だけのことだったからかなあ。ほぼ絡みのない被害者の奥さん役がちらりとでるだけ。普通他のドラマだったら意味もなく例の美人モデルというタニアをちらっと見せるのだろうが。極めて過不足ないドラマだったので省略されてしまったのだね。

監督:リチャード・クワイン 脚本:ステファン・J・キャメル 出演:ピーター・フォーク ロバート・カルプ
1973〜1974年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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