映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年03月26日

『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』ハネス・シュテーア

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One Day in Europe

ヨーロッパ中のサッカーファンが熱狂するチャンピオンズリーグ決勝戦の日に4つの町で起きた出来事を描いたオムニバス映画。
サッカークラブチームの決勝戦スペイン・デポルティボとトルコ・ガラタサライという熱い対決がロシア・モスクワで行われるという架空の設定なのであるが、同じ日の4つの町での物語に共通点が幾つかあり、それがこの試合に熱狂するサポーターの騒動と主人公が何らかの形で強盗事件に巻き込まれること、そしてどの主人公もその土地において異邦人であり言葉が通じないもしくは通じにくいということである。
もう一つはタクシー、警察の車、バス、などという乗り物がアイテムとして使われることもあるだろうか。それはこの作品がジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』を意識して作られたと思われるからなのか。ところで自分は話題にもなり評価も高いと思われる『ナイト・オン・プラネット』をどうしても観終えることができなかったのだが(つまり面白くなくて)本作の方が楽しめた。
とはいえ、爆発的に面白い、というのでもなくうっすらニタリと笑ったりするような楽しさである。
ただこうして観てると確かに、外国人の主人公が言葉の通じない状態に置かれるというのは何らかの面白さは出てくるものなのだ。
1話目のロシアにおけるイギリス女性は理不尽な状況で強盗に遭い、親切な女性に付き添われ警察に行くが警察はサッカー観戦に忙しく言葉の通じないイギリス女性の不幸に付き合っている暇などないと言わんばかり。心優しいロシアのおばさんの力強い助けだけが主人公の支えになる。ところがおばさんが呼び出した息子と言うのが・・・と言う話。英語圏の人は話が通じるはず、と思い込んでいるふしがあるがモスクワ警察で彼女の事情を聴きに来た警官は「ドイツ語は話せる?」とくるのである。確かにロシアからすればイギリスよりドイツが近い。

第2話はトルコでのドイツ人。狂言強盗で保険金をいただこうとする男は警察で手酷い目に会う。

第3話はスペインで巡礼の旅をするハンガリー人がカメラを盗まれた挙句、スペイン警察のなんとも杜撰で責任感のない処置に会う。

第4話はベルリンでのフランス人の男女。東ヨーロッパを大道芸をして稼いで行こうと計画したものの身入りはさっぱり。そこで男の方が虚言強盗を思いつく。フランス人の男の方がベルリンの移民の町で強盗に遭ったふりをして保険金をせしめようと考え付く。
「芸は確かだ」と男は自信をもっているのだがそうなのかなあ何だか古臭くてしょぼいようにしか思えないのがますます二人は惨めに思わせるし女性の「彼がいつも失敗するとこが好きなの」というのも優しいと言うより侘しいぞ。私的にはこの物語が一番もっと観ていたい気になったのであるが。

サッカーファンという世界中で最もわけのわからん(いや私もかつてこのようなことをやってたんであえて言うんだけど)群れを取り込みながら侘しくおかしい4つの物語であった。
異邦人とサッカーファン、このパターンでいくと世界中で限りなく物語が作れるし、どれも切なくなりそうだ。

監督:ハネス・シュテーア 出演:フローリアン・ルーカス ミーガン・ゲイ ルドミラ・ツヴェートコヴァ エルダル・イルディズ
2005年 / ドイツ/スペイン


posted by フェイユイ at 00:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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