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2010年04月01日

『レッド・ウォリアー』セルゲイ・ボドロフ/イヴァン・パッセル

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NOMAD

やはりセルゲイ・ボドロフ監督ってなんか掴みどころのない不思議な作品を作る。
『モンゴル』で知った時、チンギス・ハンを日本人の浅野忠信に演じさせるなんて(アメリカンネイティブの血も入っているという)変わったロシア人監督だと思ったが、もっと前の作品ではカザフスタンの英雄をメキシコ人にさせてたのね。ならまだしも同じアジア人の浅野氏のほうがいいのかもね。とはいえ私はあんまりそういうとこは気にならないほうではあるかもしれない。それに主人公のクノ・ベッカーがなかなか魅力的であったしね。
物語の本筋はいかにも英雄譚の典型で親を亡くし(本作では母親だけだが父とは別れて成長する)賢明な師匠に教えを受け厚い友情とひたむきな恋、という設定である。
『ベアーズキス』も多分彼好みのメルヘンなのであろうが本作もまた異国の監督がモンゴルからカザフスタンにかけての広大な草原でのファンタジーに思いを寄せたということなのではないだろうか。ロシアはここではまったく登場しないが僅かに「ロシアと手を組んでは・・」という台詞で関係させたのかな。
使われる言葉が英語であるのだけはさすがに興ざめで敵が来た時に「ニュースです」と言われると萎えてしまいそうだ。メッセンジャーとかアイラブユーとかパハップスとか言わないで欲しい、と言ってもしょうがないか。
馬の使い方は物凄い迫力があったと思う。以前角川映画でチンギス・ハンをやった時は大草原と馬の映し方があまりにもちゃちでさすがに日本人は騎馬民族じゃないなと(当たり前だ。でもクロサワは馬も上手かった(しゃれではないが))がっくりしたものだが、本作は久しぶりにわくわくする思いで観れた。
だが面白かったのはラストの大決戦ではなくマンスールがジュンガルのハーンの前で矢を射られながら馬で走る場面ではなかったろうか。親友エラリとの対決とその後のエラリの言葉「最初の一撃でお前だとわかった」は胸に迫った。

またこの映画で一番印象的だったのは主人公より師匠オラズだった気もする。ちょっと若すぎた気もするがこれもかっこよかったのでまあいいとしよう(偉そうだ)演じたジェイソン・スコット・リーは中国系アメリカ人なのだ。なんという多国籍なカザフスタンだろうか。すべてのことを観通しているといった風情のこの師匠は何もかも計算したうえで少年たちを集めたのだろう、エラリは気の毒だった。きっと気づいていたんだろうね。

すべてセルゲイ・ボドロフ監督の壮大な夢を映し撮った作品なのである。

監督:セルゲイ・ボドロフ/イヴァン・パッセル  出演:クノ・ベッカー ジェイ・ヘルナンデス ジェイソン・スコット・リー マーク・ダカスコス
フランス/カザフスタン2005年


ラベル:歴史
posted by フェイユイ at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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