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2010年04月03日

『ランニング・フリー 〜アフリカの風になる〜』セルゲイ・ボドロフ

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RUNNING FREE

ボドロフ監督の作品はなにかちょっと風変わりなものが多いのだけど自分には凄く共鳴できるものばかりでこの作品などもぐっさり的を射られた感じなのであった。
ボドロフ監督という人は異国にたまらないファンタジーだとか郷愁だとかを感じて観る者にもそれを感じさせるのであるがこの作品などはまさにそれでロシア人なのにも関わらず遠いアフリカの平原を駆けていく馬の群れに憧憬を持ったのではないだろうか。
仔馬がナレーションを担当する、という面白い設定で無論物語も仔馬の目線で進んでいく。人間はあくまで脇役なのである。遠い昔シートン動物記だとか『野生の呼び声』だとかを夢中になって繰り返し読んだ人間には懐かしい思いをさせてくれた。特にアメリカ文学(だったと思うが)野生馬を捕まえて乗りこなす少年の物語が大好きだったのだがタイトルが思い出せない。

アフリカへ労働馬として輸送されていく馬達の中で一頭の白い馬が仔馬を産み落とす。それが本作の主人公ラッキーだ。
アフリカ着くなり馬たちは泳いで岸へ上がらねばならず、ここでラッキーと母馬ははぐれてしまう。まだ乳が必要なラッキーと母馬は互いを必死で探すが二頭は別々の場所へ運ばれてしまった。しかも赤ん坊のラッキーは他の馬達に脅かされ水も飲めず弱ってしまう。そんなラッキーを見つけ連れ出してくれたのがある屋敷の馬番として働いている少年リチャードだった。
リチャードは白人の少年ではあるが両親もなく孤独な身の上だ。衰弱しきったラッキーだったがリチャードの優しい手のぬくもりと看護で元気を取り戻す。

ボドロフ監督作品は共通点があって主人公が孤独で過酷な運命に遭遇すること、その中でたった一人強い絆の友がいること、母親が主人公に強い愛情を持っていること(いろいろな形ではあれ)そして自由を求めて手に入れること、である。主人公が女性になっても同じなのだ。
加えれば動物が好きということで、本作はその動物が主人公になっている。
以前『白い馬』を観た時、一体馬にどうやって演技をさせたのかその映像に驚いたが、本作はさらに主人公となって行動し、感情表現をして何の違和感もない、どころか共感を持ってしまうのだ。
砂漠で馬が生きていけるわけがない、と思ってたらそこに住む黒人の少女に水の見つけ方を教わり様々な困難も乗り越え立派な強い馬と成長していく。
戦争によって大好きな少年リチャードと別れを余儀なくされてしまうが長い時間を経ての再会には涙があふれて仕方なかった。身寄りもなく小さな存在の彼も飛行機を操縦する大人へと成長し母を求めて泣いたラッキーは馬たちのリーダーとなってアフリカの大地を自由に駆けまわっていたのだ。

こういう話が本当にあったんだろうか。
まるで夢の中だけでしかあり得ないような美しい物語だった。

監督:セルゲイ・ボドロフ 制作:ジャン・ジャック・アノー 出演:チェイス・ムーア アリ・ヴァーヴィーン ヤン・デクレール グラハム クラーク マリア・ギールボア
1999年アメリカ

動物ものというのは悲しい話が多かったりするのが嫌なのだが映画では仔馬のナレーションを人間の青年の声が吹き替え(っていうのもおかしいが)ていたので少なくとも仔馬の時には死なないようだな、とひとまず安心して観ることができた。


ラベル:友情 動物
posted by フェイユイ at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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