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2010年04月13日

『エリート養成機関 ナポラ』デニス・ガンセル

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NAPOLA/BEFORE THE FALL

これは一体、なんだかなあ、映画作品として完成してない気がする。
ナチスの士官学校。厳格な規律の中で育まれていく強い友情。ハンサムな金髪碧眼の大柄な少年と黒髪の繊細な少年という組み合わせなんかも確かに自分が好きなシチュエーションではありますとも。しかしこの作りでは感動したくてもできないではないか。

すべてが甘くて緩いのである。ナチスというよりナチスごっこをしてる学校みたいなんである。ナチスにかぶれた若い奴が物語を空想ででっち上げたらこういう話になりそうだ。それにしても取り敢えずドイツ人が作ったものがこれでいいのであろうか。
「らしさ」を何とか生み出そうとする工夫はあちこちあるのかもしれない。フリードリヒが学校へ入学する為に髪や目の色を検査される場面なんかにそれが出ているんだけど、そこだけでそれ以上の関連がない。この映画ってそういう事柄の羅列でできていて物語の流れがないのだ。
そしてナチスの士官学校に志願する息子を何の説明もせずただ怒り殴る父親だとか逆に士官学校を毛嫌いする息子を憎悪する父親だとか、学校の教師もすべて大人は嫌な奴ばかり出て来る映画だ。こういう風に登場する大人を全部嫌な奴間抜けな奴としてしか描かないのは今の日本のアニメなんかでも顕著なのだが非常に子供じみた表現に思えてしまうのだよ。
そして主人公のフリードリヒとアルブレヒトをひたすら美しく描く。そういう極端な対比というのはむしろ寒々しく感動に結びついていかない。フリードリヒはエリートを目指すと言ってたのにどうしたんだ。何となくいい思いがしたかっただけなんじゃないか。アルブレヒトの死の描き方も腑に落ちない。あの状態ならまだ助けられそうな気もするし、単に自殺を美化して見せたかっただけのようで白々しいのだ。
二人の置かれた状況がどうしようもないほど追い詰められたように感じられないので投げやりな奴らにしか見えてこない。
フリードリヒの最後も裸にされて放り出される、っていうのは別段ナチス軍隊にそのまま残され戦争に連れて行かれた少年たちの方がよっぽど可哀そうじゃないのか。うまい汁だけ吸って危ないところで逃げだせたみたいにしか見えないよ。

何だか妙に少年愛っぽいムードを出してナチスだって清らかな青春があった、って見せてるのが苛立たしい。
この映画監督はまだ子供過ぎて世の中のことがよく判ってないだけに思えてくる。
この映画内容で最後に「士官学校の半分が戦死した」って言われても主人公の物語と噛み合わないではないか。
も少しよく勉強して大人になってから映画を作って欲しい。

監督:デニス・ガンセル 出演:トム・シリング クラウディア・ミヒェルゼン フロリアン・シュテッター ユストゥス・フォン・ドーナニー ジェラルド・アレクサンダー・ヘルト
2004年ドイツ


ラベル:戦争 学校
posted by フェイユイ at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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