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2010年04月19日

『裏窓』アルフレッド・ヒッチコック

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Rear Window

ヒッチコックの中でも最も有名なタイトルなのではないだろうか。何やら気になる意味ありげで興味を惹かれる。
と、観てみればつまり「覗き」というのが題材になってるので若干後ろ暗い気持ちになってしまう向きもあるかもしれない。しかしヒッチコックの映画と言うのはほぼどこか異常な性質を持っているものなのである。
エアコンというものがない時代の夏の日は窓を思い切り開け放している、ということで成り立つのかもしれないこの設定。今ではちょっと難しい。あえて言えば盗撮などの状況を考え出せばこれに似た作品が出来上がるのかもしれない。

それにしてもこの作品ですっかり忘れてしまってたのは本作の殺人がバラバラ殺人だった、ということだ。
というか実はこの映画、殺人現場も死体も犯人の自供もなければ警察側のこれという発表もなく実際に殺人事件が起きたのかを明確にしていない、というちょっと変わった表現になっている。
一体どうしてなのか。見どころは「どうなるんだろう」というサスペンスにあるので恐ろしいバラバラ殺人事件はぼかしてしまった、ということなのか。それでも小犬が「何か」を埋めた場所を何度も掘り返すので殺してしまう、という可哀そうな殺害は犯しているのだ。そして「それは帽子の箱の中に入っているので見るかね?」という台詞があるのだからソーワルドが妻をバラバラにしてしまったのは疑いない。

このおぞましいバラバラ殺人事件と覗きという陰湿で悪趣味な題材を救ってくれるのが見ているだけで爽やかな風が吹き抜けるようなグレース・ケリーの美貌だろう。まったく作品中「完璧すぎる女性」とジェームズ・スチュワート扮する恋人ジェフが困惑するほど一部の隙もない美しさ。なんだかもう動いているお人形みたいなんである。彫刻したかのようなクールな顔立ち。そして理想的としかいいようのないプロポーション。痩せすぎでなくほっそりとしかも女らしい柔らかさのあるどうしてこんな体が出来上がるのか不思議である。特に剥き出しにした腕の形はうーん、誰かが作り上げたとしか思えない綺麗なラインなのだよねえ。甘すぎず、且つ女性らしくあんまり上等過ぎて確かにジェフでなくとも妻にするには考えてしまうかもしれない。私も以前はあんまりセクシーでもなくつまらない気がしてたのだが今見るとやはり見惚れてしまう美人で、彼女がやれば不法侵入も許される、ということなのだろうね。

ヒッチコックは古臭い、と思われるかもしれないけど彼の作品はできるだけ観てたほうが他の映画を観る際に何かと役に立つ気がする。
というのはおかしいかもしれないけど自分はそう思ってしまうのだよね。映画を作る人ならもっとだろうけど。
人間の中にある異常心理や事件のサスペンスの様々な要素が詰まっている。単純かつ効果的。
ジェフが覗き見るたくさんの裏窓の様子は今ならたくさんのモニター画面みたいな。バラバラ殺人はいつも今も起きているし。
男を骨折させといて女を動かす、というのも楽しい演出である。

監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ジェームス・スチュアート グレース・ケリー レイモンド・バー ウェンデル・コーリー セルマ・リッター
1954年アメリカ


posted by フェイユイ at 23:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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