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2010年04月29日

『ミッシング』コスタ・ガブラス

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こういう政治や軍事を扱った物はリアルさを追求すると難解で堅苦しくなりがちなのだが物語の本筋に父親と息子そして義理の娘、という愛情に重点を置いている為に非常に判り易く心に響いてくる。
ジャック・レモン扮する信仰深い実業家の父親は息子夫婦チャーリーとベスの結婚生活が不真面目だという強い不満がある。息子夫婦は定まった職業もなく南米チリでまだ形をなしていないアニメーション映画製作と新聞社の請負仕事をしているだけで厳格で成功した父親から見れば自堕落な貧乏暮らしにしか見えないのだ(っていつも思うけど日本住居から見れば豪邸だわ)
そんな折、彼らが住む町ではクーデターが起こる。二人は別々に外出したのだが、その夜も激しい銃撃があり戒厳令が出されている為ベスは帰宅しそびれる。翌朝戻った時チャーリーの姿はなかった。彼は一体どこへ行ってしまったのか。

アメリカから不平をこぼしながら息子探しに来た父親と義娘のベスは互いに苛立ち反目しあう。だがそんな状態の中でチャーリーを探すうちに二人は次第に互いの気持ちを判り合っていくのだった。
考え方の違いですれ違ってはいてもどちらも純粋でひたむきに生きているからだろう、互いの思いが愛する人に向けられているのだと気づいていく。
何も判っていない父親に反感を持つベスだが、愛する息子を救う為ならなんでもすると言う父親の姿に彼女が感動する心に共感してしまうのだ。
まただらしなく見えていたベスが実は勇敢で思慮深い女性だと気づく義父に頷く。
父と子の和解がこうした不幸な状況でできたのはなんともやりきれないことだが辛い状況で手を添えられることはやはり嬉しいことだ。

弱い個人の力ではどうにもならない無力感、それぞれの国の違いはあれ、どちらの国にも隠された陰謀がある。
地獄絵のようなクーデターの恐怖感に脅え、ジャック・レモン、シシー・スペイセクの義理の父娘関係の描き方に見入ってしまう。力強い作品だった。
監督のコスタ・ガブラスは『ぜんぶ、フィデルのせい』の監督ジュリー・ガブラスの父親なのだ。これも素晴らしい映画だった。凄い父娘である。

監督:コスタ・ガブラス 出演:ジャック・レモン シシー・スペイセク ジョン・シェア ジョン・シーア メラニー・メイロン チャールズ・シオッフィ
1982年アメリカ


posted by フェイユイ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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