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2010年05月18日

『イングロリアス・バスターズ』クエンティン・タランティーノ

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INGLOURIOUS BASTERDS

ナチスとユダヤ人というコメディにはし難い題材でありながらタランティーノとしての役割を臆することなくやり遂げた勇気ある作品に仕上がっていた。
印象的に滅茶苦茶を繰り広げる馬鹿映画、みたいな受け止め方をされるんだろうけど滅茶苦茶な馬鹿はアメリカ兵だけでナチスとフランス人とユダヤ女性はあくまでもシリアスなのである。ブラピ率いるバスターズが出てくる箇所さえ切り捨ててしまえば真面目な一作となるのではないか(違うか?)
とにかくブラッド・ピットを筆頭になにこのアメリカ兵たち?この映画ではナチスはランダ大佐が威圧的に怖いだけであの映画を除けば残虐行為流行ってない。冒頭のフランス人農家でのユダヤ人狩りも床を通しての銃殺というタランティーノにしては奥床しい表現になっている。
それに比べブラピ=アルド・レイン中尉がインディアンの血を引く、という説明もあってバスターズにナチスの頭の皮を切り取らせるという観るに堪えない惨たらしさ。ナチス将校が怯え震えあがる非道な行為を任務として遂行し何らの呵責もない。どのアメリカ映画でも正義の味方として登場するアメリカ兵士がナチスも泣きだす最低最悪の殺人鬼となっているのがおかしいのだ。
そういう頭のおかしい(ブラピは頭のおかしい役をやるといつも上手い)アメリカ軍はおいといてナチスのランダ大佐の堂にいった親衛隊ぶり。4ヶ国語を駆使して冴え渡る頭脳。家族を惨殺されやっとの思いで逃げ延びたユダヤ女性ショシャナの復讐と彼女を支える黒人男性の愛情。兵卒でありながら英雄に仕立て上げられショシャナがユダヤ人だと気づかず愛するフレデリックのでもやはり彼もまたナチスの傲慢さを持っている。ドイツ人でありながら連合軍側に着く女優、ナチスに扮したがアクセントと指でのサインに気づかれてしまうイギリス人将校など滅茶苦茶ではなく緊迫したサスペンスがあり非常に面白いのだが、それをあのアメリカ語しか話せない馬鹿なアメリカ人バスターズが全部ぶち壊してくれるのである。無論これはタランティーノへの賛辞だけど。かっこよかったランダ大佐も無軌道なアメリカ人にぶっ壊されてしまうのだ。
ほんとにブラッドは狂った人がうまいんだよね。

ナチスが可哀そうに見える映画って。

それにしてもこういう酷い映画(賛辞である)にドイツ人がナチス役で多数出演しているのだから時代も移り変わったということなのか。

監督:クエンティン・タランティーノ 出演:ブラッド・ピット メラニー・ロラン クリストフ・ヴァルツ ダイアン・クルーガー ミヒャエル・ファスベンダー イーライ・ロス ダニエル・ブリュール ティル・シュヴァイガー B・J・ノヴァク
2009年アメリカ


ラベル:戦争 コメディ
posted by フェイユイ at 00:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 北米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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