映画・ドラマ・本などの感想記事は基本的にネタバレです。ご注意を

2010年05月27日

『鈍獣』細野ひで晃

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浅野忠信って人はいつも風変わりな映画に出る人ではあるのだが(そしてそこが好き)あまりに変てこな役のようなのを見て気になっていた。
やっと観れたのだが、これは浅野っていうだけじゃなく凄く面白くて最近ないほどのめり込んで観てしまったよ。

めちゃめちゃはちゃめちゃな映画みたいで非常に計算され尽くされた感じが心地よい。ド田舎にこんなホストクラブがあるんだろうか。きっとどこかにはあるんだろうなあ、的なド派手なホストクラブしかも4Fだし?田舎ってあんまり高くないよね、建物って。でも浅野忠信こと凸やんが登場する為にはこの4Fが必要なのだ。

まあ私てきには浅野氏演じる凸やんが可愛くてしょうがないんだけど。一体どうしてこんなに強いんだろうか?
そして何故彼はここへ来たんだろうか。
東京の雑誌出版社から行方不明の小説家凸川を探しにやってきた女性編集者は彼の故郷で彼の幼友達と会い彼の消息を掴もうとするのだが。
そこにいた連中も彼らの話の中の凸やんもとんでもなくシュールで「普通の人」である女性編集者は話を聞くほど迷路の奥に入り込んでしまう。
田舎ってシュールなんだよね。本当に覗きこめばこの作品よりもっとシュールだと思う。奥深いところへ行けば行くほど理性で理解できない世界にはまり込んでしまうのよ。
でもそんな彼らが怖気づくほどもっと違う世界にいるのが凸やんで。
ほんとは酷く恐ろしい話であるのに凸やんが強いおかげでおかしくてたまらない話になった。
最後には無理矢理深い友情によって結ばれてしまう。
変な話なんだけど絶対忘れられない話になりそう。

キャスティングがまた滅茶苦茶よい。
浅野=凸やんを小学生時代苛め続けた悪い奴でホストになった男を北村一輝、その腰ぎんちゃく的存在のおまわりさんをユースケサンタマリア、どちらもどんぴしゃだ。唯一のホストの愛人(16歳の時から愛人だって)に南野陽子、東京から来る編集者に真木よう子、綺麗だった。
そして一番ねじが外れてるかもしんない女の子ノラに佐津川愛美、可愛かった。
そして時折やってくるジェロ。凄く可愛いんだけど北村さんにガンガン怒られて追い出されて可哀そうであった。
相撲が大好きな田舎なので大乃国が登場。冒頭の事故場面から何度も出てくる。さすが存在感あり。

これっていやホントに凄い面白い。こういうとんでもないの見せられるとやはり監督の次回が気になるなあ。どういう方向から来るんだろう。

監督:細野ひで晃 出演:浅野忠信 北村一輝 真木よう子 佐津川愛美 ユースケ・サンタマリア
2009年 / 日本


posted by フェイユイ at 22:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夫婦愛溢れる『ゲゲゲの女房』

『ゲゲゲの女房』引き続き観てるけど質が落ちることなく面白い。水木しげるさん役の向井理さんも今ではすっかりしげるさんとして観ててとても素敵な人だと認識中。無論奥さんの松下奈緒さんも美しい。
貧乏生活ながらも互いにいたわり合い支え合ってて、今、こんなに本当に愛し合っている夫婦の話って他にないんじゃないか、と思ってしまう。
水木さんが片腕で一所懸命マンガを描いてて奥さんも懸命に何かお手伝いできないかといつも考えてる。二人の生活が自然に描かれていってるのがとてもいいのだ。

今回は少女漫画家志望の可愛い女の子が水木家に現れて初めて焼き餅的な話も入ったのだけど、しげるさんがひょうひょうとしてるんでよかったなと。
それでもどうなることやらとはらはらしてる毎日だ。

奥さんが豆を買ってきてしげるさんが淹れたコーヒー。凄く美味しそうだったな。
ラベル:ドラマ
posted by フェイユイ at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゲイ映画の名作が次々と発売されるのはいいけれど

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いつも通りチェックが遅い私、今発見。
『アナザー・カントリー』『モーリス』『蜘蛛女のキス』などゲイ映画の名作が次々ニューマスターやスペシャル・エディションで発売されるのだね。
『アナカン』はまだしも『モーリス』は物凄くレンタル枚数が少なくて借りられないし、『蜘蛛女』はなくて観れなかったので楽しみなのだけど結局レンタルはされないのかもなあ。(今購入する余裕全くなしなのだ)
『尼僧ヨアンナ』も『まぼろしの市街戦』も発売されたのにどっちにしろ観れない(泣)(あ、これはゲイ映画じゃないです)
こういういいのを見せてくれよ。貧乏が悪い?
ラベル:同性愛
posted by フェイユイ at 10:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シベリア抑留

先日NHKクローズアップ現代で『シベリア抑留 終わらない戦後』と言う番組があった。私は途中からしか観れなかったのだが改めて考えさせられた。

というのは最近、シベリア抑留について知りたくなり、図書館へ行って本を幾冊か読んだばかりなのだ。あったのは『戦後強制抑留史』というまだまっさらな全6巻とちょうど番組に出演されていた辺見じゅん氏の『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』そして斉藤四郎 著 / 船木拓生 編『シベリアの静寂、いまだ遠く』という数冊だった。
抑留史というのは数は多いのだが何しろ中身が統計的記録的なものが殆どなので素人には内容が掴み難い。やはり細かく状況説明がある他の2冊が非常に素晴らしかった。

辺見じゅん氏の著書は受賞もしていると言う作品で山本幡男さんという一人の抑留者を主人公にして彼が極寒でのシベリアの過酷な労働生活の中で仲間を励まし常に前向きで誇り高く生きていたのかを優れた筆致で描き出している。
明日をも知れない状況で仲間と共に芸術や学問を続け必ず帰れるのだと皆に言い続けた12年間。そんな彼に対して仲間の思いと行動に胸を撃たれてしまう。
彼自身はロシアが大好きでそれだからこそロシア語にも堪能だったという人である。なんて皮肉な運命なんだろう。

もう一冊の『シベリアの静寂、いまだ遠く』は実際に抑留体験のある方の文章を別の方が編集されている著書で、もっと生々しい体験が描かれていた。辺見氏のは作家としての一つの作品で読んでいる間はただ感動だったがやや美しすぎるのかもしれない。こちらは男性としての性の問題(と言っても栄養失調で何もできなかった、という問題だが)や餓えた人間はもはや尊厳もなくしてしまう悲劇などが描かれる。また美男子であった仲間がソ連兵や奥さん方に気に入られて優遇され彼だけは食事も衣服も与えられていた、というような事実もあったのだ。多くの人が1年目の冬を越せず、田舎育ちで野草に詳しく体が小さいほうが生き残れる、と書かれていた。

ポツダム宣言などの抑制もきかず、戦後であるのに57万以上の人々が抑留され多大な死者を出すほどの極悪な条件で過酷な労働に従事させられた彼らには何の保証もないばかりか帰国後酷い差別を受けている人も多かったらしい。また中には16歳の民間人もいたという。
戦後65年経っても今だ調査が済んでいないからという答えしかかえって来ない日本社会。本人はもとよりその兄弟子供も高齢化してしまった今ではただ時が過ぎ去るだけということなのだ。

先日ドイツ映画の『6000マイルの約束』というシベリア抑留から脱走した兵士の映画を観たが、日本ではこの題材の作品というのも殆どないようだ。「触れてはいけない」ということなのだろうか。

シベリア抑留 ロシア人の手で初上演
ラベル:歴史 戦争
posted by フェイユイ at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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