




Le Coeur et Le Courage, Bejart Ballet Lausanne
バレエの歴史の中で偉大な存在であるモーリス・ベジャール亡き後、彼に選ばれて後継者となったジル・ロマンが自らの振付である『アリア』の公演までの苦悩を観る。
モーリス・ベジャールが「彼がいかに自分に近いか」と表現して導いたジル・ロマンが彼の後継者という重責を負う誓いを立てる。
ベジャールが主宰していたバレエ団はスイスのローザンヌにあり「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」と言う名前で「BBL」と呼ばれている。
このバレエ団には様々な出資者があるが主にローザンヌの町自体がバレエ団を支えているというのが凄い。タクシーの運転士もベジャールとその後継者ロマンに一家言あるほど愛されている、というわけだ。
べジャールはロマンやダンサーたちに「過去を振り向かず、未来を観る」ことを要求する。ベジャールの振付だけを繰り返すのではなく常に前進することを求めるのだ。
それでもベジャールに教えられ彼に畏敬の念を持っているダンサーたちは舞台にも練習場にもベジャールの存在を感じている。もしかしたら本当に彼の霊がまだそこにいるのかもしれない。
この映像では「彼の死後1年」と言っているからまだまだ彼らの脳裏にベジャールの残像があるのだ。
そんな中でジル・ロマンは彼への誓い通り前進する為に新しい振付を構築しダンサーたちに厳しい要求をする。ダンサーたちが過酷な訓練に耐え新しい舞台を成功させたのはひたすらベジャール・バレエへの情熱なのだろう。
映像にはロマンとダンサーたちの練習風景、ベジャールへの尊敬と感謝の言葉、そしてかつてのダンサーたちのバレエも再現される。
ジョルグ・ドンの『ボレロ』やショナ・ミルクが観れるのも嬉しい。日本人ダンサー那須野圭右の若々しい「恋する兵士」の踊りもチャーミングだった。
世界中の様々な人種を集めたかのようでいて且つ美男美女揃いである。
監督:アランチャ・アギーレ 出演:モーリス・ベジャール ジル・ロマン ジョルジュ・ドン ジャン=クリストフ・マイヨー エリザベット・ロス ショナ・ミルク モーリス・ベジャール・バレエ団員
2009年 / スペイン
ラベル:バレエ