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2008年07月15日

『殺し屋1』三池崇史

殺し屋1.jpg
ICHI THE KILLER

あまりにも物凄く面白くて観終わるのが悲しくさえあった。悦楽の2時間余りだった。
などと言うとかつて『藍空』で書いた(よな)この映画の感想を読まれた方が今パソコン画面に飲んでるコーヒーだかビールを噴出してしまわれると申し訳ないのだが、今回再観して(ついに!)そう感じてしまったのだからしょうがない。つまりは数年前、理解できなかったこの作品がいい!と感じることが出来るまでに我が脳が精進したということと思っていただきたい(そんなでもないが)しかしあつかましく言わせていただければ理解不能だったものがこうもクリアに感じ取れるようになるのは快感としか言いようがない。
言い換えれば最初これを観た時は何もかもまったくわからないままに観ていたのである。何も判らず観ても面白かったという方もおられるだろうが自分は描かれているグロテスクな痛みにまず負けてしまい殆ど正視できないような状態だったのだ。こんな痛い映画を我慢させられたというだけでもちょっと苛立ちがあった。
まあこの数年で韓国映画を主とする様々な「激痛ムービー」にすっかり神経も慣らされて強靭にというよりかなり鈍感になることができた。
そうなると色々落ち着いて画面も観れる。また初見の時はただ浅野忠信だけが目的で、監督の三池崇史氏のことも重要人物であるジジイ役の塚本晋也さんも知らずにいた。浅野忠信がマゾ役だと聞いて観た私はさほど浅野のマゾシーンがないことに腹を立てたのだったがこうして再観しているとそういったマゾシーンを特に期待しなくともよかったんじゃ、と思いつつ観たわけで人間こうも変わるものか。
とにかく今回はイチ役の大森南朋が目当てであって彼のことを何も思ってなかった前回とは根本的にまったく違うのだった。

とにかくある意味キャラクター設定の面白さに尽きるのかもしれない。そこを知ってるかどうかで全然違ってくるのではないか。
浅野忠信=垣原の美しさ、妖しさ、危険な個性はもう言うまでもない。いつもまったく自然体で話す浅野のしゃべり方の魅力というのはここで危険な雰囲気をさらに強めている。彼に最上の痛みを与えてくれた安生組の「親父」を探すとともに人間と思えない残虐性を持つイチに対しマゾ的期待を高める。
浅野の傷だらけの美貌はやはり壮絶に魅せられる。裂けた口をピアスで留めているのも顔じゅうの傷跡も色っぽいのだ。
ジジイの塚本晋也。この映画って主人公が誰かよく判んないの。『殺し屋1』って言う割には垣原がずっと出てるし表紙だし、その上、本当の主役はこのジジイなのかな、とも思えるし。塚本晋也さんは映画監督でありながらも様々なとこで役者として登場してるがここでも主役ともいえる重要なキャラクターである。すべてが彼の計画であり彼の駒である1たちを暗示にかけていたという設定はぞくぞくするものだった。
そして1=大森南朋。まだ全部じゃないが色んなナオさんの顔を観て来たが、この1は彼の役の中でも秀逸なものだろう。ジジイによって作られたという彼の歪んだ人間性が大森南朋の表情の上で異常な笑みとして表現された瞬間は神経がゾクゾクと毛羽立ちそうだった。
ヤクザでありながら表情の乏しい緩やかなマゾヒストである浅野と対照的に一見気弱な青年が危険な区域に入ってしまう激情型を見せ付けてくれた大森南朋にこれまでにない魅力を感じてしまったのだ。
自分はどうもこういう危ない目をしたキャラクターが好きでしょうがなくて松山ケンイチもシン・ハギュンもその危ない目に参ってしまってるのだがナオさんの中にもそういったイッチャッてる感性を見せられてますます彼に溺れてしまいそうなのである。
長身で筋肉質な体は1の変てこなボディスーツがかっこよく見えるし、いつもと違う情けないいじけ顔も可愛らしい。ジジイと1の関係、1と金子の関係もなかなかよかったし。

数年後の再観でこの映画がこんなに面白く感じられたというのも嬉しいし、浅野はやっぱり綺麗だし、ナオさんをまたさらに惚れこませてくれたというのでも観なおしてみてよかった。

監督:三池崇史 出演:浅野忠信 大森南朋 塚本晋也 SABU 松尾スズキ 寺島進 國村隼 エイリアン・サン
2001年日本


ラベル: 暴力
posted by フェイユイ at 00:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 大森南朋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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