


こういうのをラブ・ストーリーというのだろうな。
普段あまり観ることのない甘くて柔らかな物語。恋人を突然の事故で失った若い女性の気持ちを繊細に描いた3つの物語を3つの違った手法で表現していくという面白さ。主役である蒼井優が物語の紹介役も務めていて手の込んだ演出である。楽しみました。
第1話め、最初は恋人が死んだというのに妙に冷めた感じだったし、西島秀俊が離婚した妻のブラジャーをするというのも作りっぽくていやだなとか思っていたのだがチカ(蒼井優)にそれを見られて「あ、見られちゃった」という台詞がなぜかおかしくてそこから急に面白くなってしまった。
西島秀俊さんのとぼけた感じもいいがとにかく主役を張ってる蒼井優が可愛らしいし、見ていて飽きない人なのだ。ドラマを作って彼女の写真を撮ったものを見せてそれらを彼女自身が紹介する箇所があってどれも質の高い番組だったのではないだろうか。
女性写真家・嶋本麻利沙さんが撮った蒼井優の写真もとても綺麗なもので人気ありそうだなと思ってしまった。
第2話は死んでしまった恋人高崎くん(加瀬亮)がチカの夢の中に登場して夢の中でならいつでも会える、ということからチカがそれじゃずっと眠っていたいよ、と薬を飲む話。
加瀬亮の優しげな感じも甘いラブ・ストーリーのぴったりで夢の中で思い出の場所を訪れおしゃべりをする情景がゆったりと描かれる。
チカの切ない気持ちも伝わってきて3つの物語の中で最もドラマティックであった。
第3話は恋人の死から1年後、まだ傷心を引きずっているチカが希望を感じ始める過程を舞台劇風に描かれる。
チカが飼う事になった可愛い黒猫“よる”が人間の姿になるという設定が面白い。しかもそのおじさんが温水洋一さんなのでなんともたそがれていて悲しいのだ。
その温水猫おじさんにチカは失望の言葉を舞台劇風にぽんぽんと投げつけていくのが不思議な味で楽しめた。蒼井優自身もこの変わった演出を随分楽しんで演じたのではないだろうか。
密度の濃い作品だったのでそうそうたくさんできるものでもないだろうが、蒼井優の魅力をたっぷり魅せつけてくれるようなドラマ構成。こういう番組はいいですねー。蒼井優だからできる、というところもあるんだろうけど。
監督:高田雅博 脚本:高崎卓馬 出演:蒼井優 西島秀俊 加瀬亮 温水洋一
2008年日本
ラベル:ラブ・ストーリー
西島秀俊そっくりですが
実は加瀬亮